池田信太朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2013年2月期に10年連続の営業増益を達成したローソン。しかし驚異的な日販水準を維持するトップのセブンイレブンも、ampmを買収した3位のファミリーマートも出店攻勢の手を緩めない・・・。
飽和点とされる5万店を超えたコンビニ業界は、潰し合いのフェーズに入ったとされる。数年前から出店の限界が囁かれてはいたが、競争はよりシビアになっている印象だ。そこに至り業界トップと同じ戦略では体力勝負に陥る可能性がある。ナチュラルローソンにローソン100と、チェーンストアオペレーションの逆張りを行くようなローソンの戦略も、この本を読むと納得感が出る。
店舗多様化と店づくりの分権化、そしてPOSデータを超えるCRM構築は本部主導でと、新浪自身が「そんなにビューティフルではない」と言いつつ、ローソンのこの10年間は戦略的一貫性をもって進められてきたことがわかる。セブンはよく見かけるしモノも良いけど、いつも通っていたら飽きる。一方、青のレギュラーローソンの存在感では劣るけれども、トータルで生活を捕捉しようとする姿勢が面白い
やがて時が経ち、ローソンも分権化の弊害に悩む局面が来るかもしれない。その時に次代のリーダーたちが立ち向かうことができれば、新浪の経営は成功したと言えるのだろう。 -
Posted by ブクログ
なんとなく気になってポチッとした本。
ローソンの戦略というか、新浪さんの戦略がわかる本。
セブンは圧倒的やと思ってたけど、ローソンは別の道を探り続けて、新しい組織、新しいビジネスに変わってきてる。社会的変化、組織が継続できるのかって考えるとローソンが勝つ可能性はまだまだあるなと思える。
人によって受け止め方は違うやろうけど、個人的には合う。読んでて、何度か血がザワワザワワってなる。それだけ魅了される。マスコミを利用して、まわりからあいつ馬鹿だって思われるのも想定内。人を動かす、人を育てる、強い組織にする。形だけならできるけど、それじゃ意味がない。着実にやってのける、そのリーダーシップに憧れる。
ホント基本的な考え方だし、どの業界でも参考になると思う。部下の立場でも、上司の立場でも、もちろん経営者も。できる限り、こんな人になりたいと思えた本。 -
Posted by ブクログ
P:295 抜き書き+感想:3252字 付箋数:12
(対ページ付箋割合:4.07%、付箋毎文字数:150)
★★★
・祈るような気持ちで眺める松田の目の前、店からわずか50メートルほどの場所で津波はようやく動きを止めた。安堵した松田が、その次に思ったのは、自らの財産のことでも将来への不安や絶望でもなかった。「とにかく店を開けよう」
電気も水も途絶えている。商品は棚から落下して散乱している。だが「それでも店は残った。営業できる」と松田は思った。
>>/> 考えたように生きなければ、人は生きたように考えるようになる。
・タンクローリーから直接給油することは法的に認められていない。ローリーで運んだ油をひとまず貯蔵施設に入れ、そこから給油する必要があった。だがローソンには当然ながらそうした貯蔵施設はない。
「油」「タンクローリー」「運転手」「貯蔵施設」。西口はこの四つの要素について、時と場所がうまく噛み合うように調整する必要があった。
>>/> こんな規制が。。知らなかった。
・2002年3月、新浪は社長就任含みの「顧問」としてローソンへ出向した。送り出した三菱商事社長・佐々木は、新浪にこう告げた。
「新浪君、『民意』を得ることが大切だ。実るほど頭を垂れる稲穂だよ。それと、改革はスピーディーにやることだ」
>>/> 改革のスピードは、あまり考えたことが無かったが、ふむ。
・新浪が給食会社で学んだのは「基礎」の重要性だ。その給食会社は年商およそ10億円程度。大手給食会社に規模では及ばない。どう戦うか。顧客満足度を上げるには、メニューを充実させればいい。メニューの数を増やすのもよし、和食から洋食、中華などジャンルを増やすのもよし。だが、その開発のためには「体力」が必要だ。年商10億円の同社が、大手給食会社に物量で挑んでも勝算は乏しいだろう。
どこかに経営資源を集中投下する必要がある。新浪は、まずは給食会社が提供するサービスの基礎である「ご飯」と「みそ汁」の改善に経営資源を注力する方針を固め、原料や調理方法を見直した。特別なメニューを作って、それがおいしかったとしても、「おいしい」と言われるのはそのメニューについてのみ。だが、ご飯とみそ汁はどの定食を頼んでも付いてくる。これらの品質を上げると「あの食堂はうまい」という評判につながった。
>>/> 戦略でも、提供しているものの基礎が大事。
・― 商品部の仕事のやり方で、何がまずかったんですか?
「お客様を見ていないということに尽きますね。いわゆるプロだと言っている連中がプロじゃないんですよ。ダイエー系だったので『For the customer(顧客のために)』というスローガンを掲げていたけど、全然できていなかった。『いつまでに新商品を出さなきゃいけない』と追われるだけで、起源に間に合わせることがプロの仕事だと思っている。本来、お客様を見て、徹底的に考え抜いていかなくちゃいけないのを怠っていたんです。それも、お客様が求めているものじゃなくて、粗利益が取れるものを店舗に流していた」
>>/> プロの基準と思っているKPIがお客様とずれている。とてもありがちな、下らないプロ意識。
・コンビニ業界は自らを「20~30代男性」の顧客に最適化することで成長してきた。その中で、周囲に高齢者しか住んでいないような田舎にぽつりと店を構えるなど、高効率の立地にドミナント展開できていなかったローソンは、つまり、立地だけ見れば、業界首位に比べて「20~30代男性」に特化しきれていなかったと言える。だが、これを反転させればどうだろう。コンビニを縛り続けてきた「20~30代男性」というセグメンテーションから、より自由な可能性、「多様」な可能性に開かれているとも言えるのだ。
>>/> 関東のベッドタウンに住んでいると意識できないけれど、コンビニは均一化を追求するしかないように見え、セブンイレブンがその王者であるように感じる。個々の店の多様化を一つのチェーン、フランチャイズで可能だと、狙っているとは、思わなかったなあ。
・新浪が加盟店オーナーに要求したのは、店舗運営におけるたった三つの「基礎」だけだった。ローソンでは「三つの徹底」と呼んだ。すなわち「マチのお客さまに喜んでいただけるお店・売り場づくり(個店主義)」「お店とマチをキレイにする」「心のこもった接客」。言いかえれば、品揃え・接客・清潔さの三点だ。マクドナルドなど外食産業でも「基礎」とされる「QSC(品質・サービス・清潔さ)」とも一致する。
>>/> 100点満点で、80点以上がA、70点台がB+、60点台がB-、36~59点がC、35点以下がF。古参社員や役員の意識では加盟店は顧客であったため、猛反対だったと言う。
・「全店舗を調査するのに毎年およそ30億円のコストをかけています。手間もかかっています。ただ、実はMSは余剰人員を活用する方策でもあったんです。社長に就任してから、意欲の下がった社員がやっている不採算の直営店をどんどん閉めました。当然、そこで働いていた社員たちは余剰になってしまう。」
>>/> ダイエーの経営不振を支えるために、株式上場する必要があった。そのため、出店スピードを無理に上げていて、そのつけを清算する必要があったそう。
・― 「MS(ミステリー・ショッパー)でCランクだが売り上げが大きい店」というものもありますね。
「ありますよ。ただ、『三つの徹底』ができていない店というのは、競合にぶつけられた時に弱いんです。実際、MSでCランクだが売り上げが大きい店というのは、どんどん競合に出店され潰されている。立地が良好なだけで商売をやっていれば、当然です。常に横に競合チェーンに来られることを大前提に、既存店を守っていかなくちゃいけない。MSの評価はそのバロメーターになります」
>>/> へえ。評価や結果が良くても基礎が出来ていない人(や店)は、そうか競合にやられるのか。
・「ひるぜん焼きそば」の売上分析。発売一週間で8万6719個売上。ponta会員の売り上げ比率が49.3%。30代男性が一番多く18.9%、女性全世代で34.9%。店舗の立地パターンでは「男性職場の立地」が最も多いが店舗数も多いので、一店あたり、一日当たりで計算し直すと、「女性職場の立地」だった。併売率ではカテゴリーで見るとチルド和洋菓子がトップで12%、おにぎり、フライドチキンと続く。単品だと「Lチキ」が15%弱と最も多い。ただ、そもそも良く買われる商品なので、「ひるぜん焼きそば」と同時購入される率の高い商品(リフト値という)は「直巻なんこつ入焼つくね」だった。
>>/> 従来のPOSでは、レジ打ちの際に年齢キーを押さないとレジが開かないようになっていて、大抵「12」(~12歳)、「19」(12~19歳)、「29」(20代)、「49」(30~40代)、「50」(50代以上)で店員がキーを押す。ポイントカードは更に詳細に顧客動向を掴み、個人への販促まで視野に入れた可能性を持っている。
・POSシステムと比べてポイントカードの仕組みが優位な点は「正確性」と「データの詳細さ」だけではない。それだの違いであれば、ポイントカードは「より正確なPOSレジ」にすぎないということになる。両者で決定的に違うのは、「リピーター」を補足できるかどうかどいう点だ。
ある20代の男性が牛乳を買い、翌週にまた牛乳を買ったとする。POSシステムからは「20代の男性による購買が2回あった」と見えるが、ポイントカードによる販売管理システムからは「ある顧客が一週間おきに牛乳を二回買った」と見える。この違いの意味は、品揃えを考えていく上では小さくない。
>>/> リピートが大きいものを補足することは、新商品だけ連打して新しいもので売り場を埋めるのとは違う顧客への訴求が可能になる。質が良くて何度も買われるものを残せる。また、リピートされ、コアなファンがいて販促が地味で売上が伸びていないものを押し上げることもできる。
・2010年の店舗パターン10類型。
A1徒歩(高齢者)、A2徒歩(単身者)、A3車で5分程度、B1男性職場、B2女性職場、B3事務所、C1高校、C2大学、D1立ち寄り、D2旅先。
>>/> 駅は無いんだな~。 -
Posted by ブクログ
新浪社長の著書、と思いきや、新浪氏を永年見てきた著者による書籍だった。
一点突破でおにぎりから改革を始めたのは、ローソンの保有する経営資源、特に社内外の人的リソースに着眼したことによる、というのは興味深い。何でもかんでもやるのではなく、できることを着実に実行に移すようにしているのは、以前の給食会社経営を経験したことによる。そうしながら、タコツボには任せず、バックアップをしながら仕事を任せ、社員の個の力を引き上げている。
POSデータでは個客が見えず、購入者の50%に近づいたPontaデータだけでやれそう、というのは時間をかけて戦略を実行してきた成果。確かに、アルバイト従業員による世代別入力では活用範囲も狭いだろう。Tポイントとの契約を解除したのも理解できる。
MOとの情報共有を重視し、メーリングリストを作ることなど、刮目。顧客ではなく、ビジネスパートナーと認めている証だと思う。コンビニと大括りせずに、セグメントしてそれぞれでトップになり、個性あるコンビニ事業を展開し、個々の店舗も光らせるという仕掛けが、セブンとの差別化につながる。
BPRもリストラや生産性向上という単純なものではなく、経営戦略に基づいて資源を成長領域にシフトするプロセスの一つというのも合理的。そうして、本社を小さくして、何をするのかが明確。
もっとも、新浪氏の声が途中で少なくなって、著者による客観的コメントが増えるのは残念だが、全体からすると致し方なしか。