牟田口義郎のレビュー一覧
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[盛衰の地にて]ペルシャ、イスラーム、オスマン等、数々の文明が栄枯盛衰を繰り返してきた「中東」。5000年に及ぶ長き歴史を、厳選したエピソードを基に解説していく作品です。著者は、朝日新聞の記者として中東特派員などを担当し、中東報道者の会会長も務められた牟田口義郎。
一章ごとにテーマが決められており、そのテーマに沿った形で重要な出来事や人物を説明してくれるため、(次々と現れるカタカナの地名や人名に耐えられれば……)中東に興味のない方でも読み進めることができるかと。特に乳香と没薬のエピソードは興味深く読ませてもらいました。
筆者が意図したことではないと思いますが、「(あくまでその部外者であ -
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朝日新聞の中東特派員がなぜ歴史の本を出してるかと不思議に思ったが、読んでみるとなるほど、現地で実際に史跡などを巡った臨場感がよく伝えられている。受験の世界史では出てこない重要人物や事件が多数紹介されて面白いが、時代によって扱いに濃淡があり、古代オリエントやペルシアはほぼスルーされていてイスラムに重きがおかれすぎた感があり、もっとページ増やしてほしかった。
アレッポやダマスカスなど中東の地名は皮肉にもシリアの内戦で有名になってしまっている。日本も含めイスラムは原理主義のイメージが強いが、他宗教に対して寛容的だったのは伝統的にイスラムであってキリスト教国ではなかった。とくにカトリックの非寛容性はイ -
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物語 中東の歴史
オリエント五〇〇〇年の光芒
著:牟田口 義郎
紙版
中公新書 1594
時代を行ったり来たりしていて読むのが大変でした
長大な歴史を扱っているので、年表や、索引がほしかった
主軸は、十字軍と、モンゴル軍だとおもいます
このテーマでは、イスラムは簒奪ではなく、防衛にたっています
中東とは、東西のまさに十字路になっています
本書は、太古から、第4次中東戦争の終焉までの歴史を記した書です
キーワードは以下です
■中東とは何か
・古代エジプト人の二元論 自分たちの黒い土地をケメト、砂漠をデシェレトと呼びました、英語のデザートの語源になっています
・財宝や、パピルスも乾 -
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こちらは先日の「中東イスラーム民族史」と違って、読んで楽しく勉強になった本。
古代から現代までの中東の歴史の中から、主要な人物や出来事をピックアップし、物語風に書いた本。
紀伝体をかみくだいて現在風にアレンジしたものというか。
それでも背景となる知識に疎いため、Googleマップや世界史の歴史地図を参考に読んだのだが、そうさせるだけの面白さを持った本。入門編としてはなかなかの良書です。
古代から現代までといっても、1980年のエジプトのサダト大統領の時代で終わっているので、もうちょっと最近まで書いてくれたらなあと思ってWikiで著者を調べたら、2011年に87歳で亡くなっておられた。残念 -
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ネタバレ[ 内容 ]
キリストを生みムハンマドを生んだ中東は、歴史上の転換点となった数々の事件の舞台であり、まさに世界の富と知の中心だった。
ソロモン王とシバの女王の知恵くらべ。
新興イスラーム勢力のペルシア帝国への挑戦と勝利。
ムスリム商人による商業の隆盛と都市文化の繁栄。
「蛮族」十字軍やモンゴル帝国の侵攻とその撃退。
しかし、やがて地中海世界は衰退し、中東は帝国主義の蹂躙する所となる…。
ドラマティックな歴史をたどろう。
[ 目次 ]
序章 中東の風土―われわれの認識は確かか
第1話 乳香と没薬―古代を知るためのキーワード
第2話 女王の都パルミラ―西アジアでいちばん美しい廃墟
第3話 アラブ -
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まあ、当たり前のことなのだけれど、歴史は様々な視点から見なければならない。
歴史というと、知らず知らずヨーロッパ史を中心に考えがちですよね。
すると、西洋が正義でその他は悪とか、西洋が進んでいてその他は遅れているとか、そういう刷り込みが知らず知らずのうちに出来上がってしまう。
これはマズイことですよね。
現代においてのアラブは、負のイメージばかりが表に出てきてしまいますよね。
なんとなくテロリストとか、石油成金とか。
これだけ影響の強いアラブ世界なのに、何も知らないではマズイですよね。
この本を読むと、中東が世界史の中で決して無視できない重要な役割を果たしてきたことが分かります。
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