竹田いさみのレビュー一覧
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ネタバレ【感想】
オーストラリアの成り立ちの歴史を俯瞰できる良書。これまで、オーストラリアは穏やかで、多文化を受け入れる寛容さを持った国としての印象があったが、そこに至るまでの紆余曲折があり、また今もって米中などの大国間との関係を模索しているということが、理解できた。ウクライナ戦争において、オーストラリア在住のウクライナ系移民・ロシア系移民に対して、首相が双方を慮った言動をしたという出来事については、オーストラリアらしく心温まるエピソードだと感じた。
【要約】
オーストラリアはもともとイギリスの植民地であるが、その関係性にはアメリカに対する植民地支配における反省が大いに生かされていると言う。まず、ア -
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オーストラリアの歴史がとても丁寧に読みやすく書かれており良かったです。
〇〇なのは、3つ理由がある。1に△△、2に□□、3に~といったように最初に要旨を簡潔にまとめて伝えてくれて、その後ひとつひとつ深堀りされていく構成が読みやすかったです。
コアラくらいしかオーストラリアの知識がない人間でしたので、白豪政策も初めて知りました。今のオーストラリアの様子からは想像もつかないものでしたので今更ながら大変驚きました。
先日ニュースサイトの出生率の話題についていた興味深いコメントを読んだとき、時代が変わっても世界が直面する問題は変わらないのかもと思わされました。
仏が出生率改善に成功したかのように日本 -
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著者は本書の狙いを「大国がデザインした海洋秩序や海洋政策を時系列で整理し把握すること」としており、海洋覇権国家の変遷がよくわかる秀逸な新書だと思う。特に第2章、第3章の米国が海洋覇権を掌握していく過程が興味深かった。また英国が海洋覇権制覇のために築き上げたものが英連邦の原点であることもわかった。そして日露戦争の背後に英国の戦略があったことを知り、現在ウクライナの背後で米英がロシアの弱体化を狙って画策していることと同じ図式にも思える。そして中国による傍若無人な海洋進出が既成事実化していくことに強い懸念を感じ、日本としてはシーパワー国家として、米国、英国、豪州などと協力して、自由で開かれた太平洋、
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16世紀から18世紀にかけてのイギリスの歴史について書かれたもの。エリザベス女王がいかに海賊をうまく利用して大国を造っていったかがよくわかる。イギリスでは海賊にも英雄が数多く存在し、貴族にまで叙せられているのは驚きだ。印象的な記述を記す。
「フランシス・ドレーク:海賊の英雄」p8
「ジョン・ホーキンズ:女王陛下の海賊」p22
「爵位:Duke(公爵)、Marquis(侯爵)、Earl(伯爵)、Viscount(子爵)、Baron(男爵)ここまで世襲貴族、Baronet(准男爵)、Knight(騎士)」p24
「1582年英国情報関係費は、国家予算の15%」p66
「王室の資金源:1 海賊に盗 -
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16世紀のヨーロッパを支配していたのはスペインとポルトガルというカトリックの2大国であり、当時のイギリスは貧しい二流国だった。しかもプロテスタント国家であるイギリスは周囲のカトリック国家からの武力侵攻に怯えなければならない状況で、このまま戦争になればイギリスに勝ち目がないのは明らかだ。どうすれば手っ取り早く強い軍事力を持つ豊かな国になれるだろう。
富国強兵の方法を模索し続けたエリザベス一世が興味を持ったのが「海賊マネー」だ。早速有力な海賊を集めて海賊船団を編成させ、スペインやポルトガルの船を襲撃させた。襲撃した船から高価な商品を略奪して売却すれば現金が手に入るのだ。事実上女王主導の海賊行為だが -
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先日読み終えたのは「世界史に消えた海賊」でした。
今回は「世界史をつくった海賊」。
結論から言えば、世界史、特にエリザベス女王治世下のイギリスにおいて海賊がとっても重要な役割を果たし、それがのちの大英帝国、産業革命、を作り上げたのだということを言っているのは同じ。
「消えた」方は海賊として名をはせた各人物を中心に取り上げているのに対して、この「つくった」方は主にホーキンス・ドレークを要素として取り上げて解説はしているものの、全体的には「毛織物に偏っていた英国の貿易がどのような海賊行為にして発展、変化し、さらには諸外国と外交をしていったのか(英国の、女王の政策としてどうであったのか)」という -
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おれの期の遠航に便乗した竹田さんの本。日本にとっての海運の重要性、その脅威となる海賊がどこでどの程度起きているのか、ロイズの世界リスク一覧を紹介したり、東南アジアや西アフリカ、インド洋で違う海賊の出自や手口を紹介。インドネシアの海上警察がしょぼいけどマレーシアやベトナムが力入れてる話とか、ソマリア海賊はプントランドのクランが罰金徴収のために作ったコーストガードの成れの果てではとゆう説得力のある説も面白い。ソマリアへの物資の拠点になっているドバイ、もともと密輸を手掛けてた海賊、各国の取り組みと、根絶のためにソマリア本土にマグロなんかの水産業や通商、天然ガスの開発をしたらって提案、天然ガス開発に関
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海賊ブームもあり、海賊の資料本はたくさん世に出回っていますが、そのほとんどがチャールズ・ジョンソンの「イギリス海賊史」と、フィリップ・ゴスの「海賊の世界史」を下敷きにしたもので、あまり目新しいものはありません。
そんな中、この「世界史をつくった海賊」は海賊と世界経済の関係から切り込んでいます。
ジリ貧国家イングランドが海賊を使って大英帝国に成り上がるまでの道のりをドラマティックに描いています。
海賊が国家を救った〈アルマダ海戦〉から始まり、スパイス、コーヒー、紅茶、奴隷などの密貿易、コーヒーハウスから世界初の保険会社が誕生した経緯まで、実に興味深いお話が満載されています。 -
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船乗りになりたかったな~職選び間違えたかしら、とか最近思ってるのだけどwオモシロイ本でした。イギリスが資源がないなか、大国にのし上がって行くために海賊をどのように利用したのかがよくわかる。イギリスの諜報活動というのはこのときから盛んなのね。007とかが出てくる背景が理解できた。最近、佐藤優とかがインテリジェンスについて色んな本を書いてるけど、この時代から既に高度な活動が行われてたのね、と感心。歴史の授業では東インド会社がインド支配のために作られたみたいな語られ方がされるけど、ホントは純粋に利益を得るための海賊集団だったのね、ということが分かる。オモシロイ。