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Posted by ブクログ
著者は本書の狙いを「大国がデザインした海洋秩序や海洋政策を時系列で整理し把握すること」としており、海洋覇権国家の変遷がよくわかる秀逸な新書だと思う。特に第2章、第3章の米国が海洋覇権を掌握していく過程が興味深かった。また英国が海洋覇権制覇のために築き上げたものが英連邦の原点であることもわかった。そして日露戦争の背後に英国の戦略があったことを知り、現在ウクライナの背後で米英がロシアの弱体化を狙って画策していることと同じ図式にも思える。そして中国による傍若無人な海洋進出が既成事実化していくことに強い懸念を感じ、日本としてはシーパワー国家として、米国、英国、豪州などと協力して、自由で開かれた太平洋、インド洋の維持に向けての貢献を果たすべきであり、貿易国家としての責務があると考える。
Posted by ブクログ
国際政治の専門家による、海洋における覇権争いの話。スペイン・ポルトガルの大航海時代から、大英帝国、米国へと海洋覇権が移っていくことを詳細に説明している。一部、電信など情報優位のことや石油利権など、海洋とは関係ないことも細かく書かれているが、海の覇権争いについては、わかりやすく納得できる内容であった。
「中国は、国連海洋法条約が作り上げた海洋秩序に挑戦した初めての国家となる」iv
「(米国の捕鯨)鯨油は時計、ミシン、タイプライター、各種機械の潤滑油としても重宝がられ、それ以前に普及していた蜜蝋、植物性油脂、動物の獣脂を原料としていた蝋燭(キャンドル)の灯火は、瞬く間に姿を消した。今から見れば考えられなしことだが、クジラは照明用のオイルのほか、その骨は女性用のコルセットに、そしてヒゲは歯ブラシなどにも利用でき、それ以外としては汚れを落とす洗濯用石鹸として活用されたため、クジラを解体しても廃棄する部分がないほど、クジラ一頭の有用性は極めて高いものであった。鯨製品、鯨油なしの生活が考えられないほど、クジラは生活の必需品になっていた」p55
「動物愛護や海洋環境の観点から、現在のアメリカは捕鯨反対の立場を取り、日本の捕鯨をいたく批判しているが、歴史を振り返るとアメリカこそが捕鯨の先駆者であり、クジラを乱獲して頭数を激減させたいわば当事者なのであった」p56
「ブルックス・ブラザーズの紳士服を、ルーズベルトを筆頭に歴代大統領はこぞって愛用した」p84
「(ルーズベルト)日露戦争の講和会議をポーツマスで開催し、この功績が認められて1906年に、アメリカ人として初のノーベル平和賞を受賞した」p88
「いまだにアメリカは、国連海洋法条約に調印していない。最大の理由は「深海底」とよばれる深い海底における資源開発のあり方をめぐって、反対の立場を示しているからだ」p172
「(米国)国連海洋法条約に加盟していないという事実は重く、アメリカが中国の海洋進出に対して「法の支配」を唱えても、アメリカ自身が国連海洋法条約による「法の支配」を受け入れていないため、中国から逆に批判される立場に追い込まれてしまった」p187
「「法の支配」としての国連海洋法条約を実効性のある海洋秩序として機能させてきたのは、なんといってもアメリカや西側同盟国の軍事力によって担保されているからである。アメリカの軍事力が世界中に展開されていることで、国連海洋法条約も尊重されてきたという現実を忘れてはならない」p183
「(戦後)覇権国家アメリカは、政治的な枠組みとしてトルーマン・ドクトリンを打ち出し、経済的な枠組みとしてマーシャル・プランを実施した」p188
「(2019年)海保の定員は、約1万4000人で、予算は約2500億円」p233
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