瀧澤美奈子のレビュー一覧

  • 日本の深海 資源と生物のフロンティア

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     日本の周辺に存在する深海を地形・資源・生物などの視点により分析する。海底資源が今話題になっていたので、興味を持って読み始めた。海底資源の種類から採集法、民間企業の取り組みと課題についても知ることができた。埋蔵量は大きいものの、採算が取れるかどうかは微妙なところが難しい。国との連携で上手く進んでほしいと思う。
     他には東日本大震災にまつわる内容があった。2013年に本書が出版されたこともあり、この手の内容は関心を持って取り上げられていたように思う。

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    2026年09月02日
  • 150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか

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    1. natureはどのように創刊されていったのか
    2. 科学者という職業が社会の中でどう形づくられたのか
    3. 女性の知的職業への進出
    3. チャレンジャー号による世界一周探検の中での科学研究
    4. 明治維新頃の日本と西洋(イギリス)
    という社会文化史的な話題がnatureを通して説明される。

    本書の構造はとても上手くできている。それぞれの節の中で言及されている一部を次の節で取り上げながら時代や話題を先に進めていくようになっており、一連のストーリーになっている。そうして、科学、科学者、科学雑誌という文化の醸成からはじまって、今の日本人にとっても重要な「日本人観」(ただし明治維新頃のヨーロッパ人の目を通したもの)をnatureという雑誌を通して解説される。natureがそれだけ幅広い興味と自由度をもった雑誌であったこともそうだが、雑誌の歴史を日本人著者が「今」まとめたからこその内容と言えるように感じた。自然科学、社会科学両方の観点から考えるきっかけを与えてくれる良書と言える。


    natureがイギリスで創刊したのが1869年。イギリスはヴィクトリア朝時代で二次産業革命期。ダーウィンが「種の起源」を1959年に発表し、博物学的な雰囲気が残る頃。

    そんなことが序文で説明されながら、第1章「nature創刊に託された思い」はnature創刊の歴史。創刊者であるノーマン・ロッキャーについてや社会的な背景、またダーウィンの進化論の支持者であるトーマス・H・ハクスリーが重要人物として関わり、創刊号の巻頭言を書いていること、読者は科学の専門家ではなく一般大衆であることの思いについての解説。natureという雑誌の当初の狙いがとてもわかりやすく解説されている。

    第2章「ヴィクトリアンの科学論争」と第3章「150年前の科学」ではnatureが科学雑誌として発展していく様子が描かれる。プロ・アマ問わず自由に紙面上で公開討論をしたり、博物学的な解説や海外の科学の状況を記したレポートなど。また、ダーウィンの進化論がnatureの中で中心的な話題になっていく様子がある。科学を論じるman of scienceの興味がどこにあったのかがわかる。自由な議論を許容する風潮が何よりも重要だと改めて感じられた。

    第4章「なぜ国が科学にお金を出すのか」”man of science”がプロフェッショナルとしての”scientist”になっていく社会的な議論。そのことがnature誌上で議論されているのはとても興味深い。科学者、科学雑誌という文化が出来上がっていく熱気を感じる。そして今でも通じる議論がこの段階でかなり深く議論されているのは注目に値する。日本の科学者、政治家だけでなく、大衆も一度ここに立ち返ってもよいのでは。

    第5章「女子の高等教育」時代は女性の権利が拡大した時代。その中で女性が高等教育を受けること、科学の世界にはいっていくこと(特に医学)様子がnatureで議論・報告されている。前の章から引き続き、科学は(西洋の)文化であって、社会と分離できるものではないことを改めて実感させてくれる。

    そういえば「北海道大学もうひとつのキャンパスマップ」の中にも北大に女子トイレを初めて設置するまで流れが書かれていた(この本もレビューしよう)。この記憶がフラッシュバックしながら、女性が社会と戦って権利を獲得していく(あるいは排除される)様子がありありと浮かんできた。

    第6章「チャレンジャー号の世界一周探検公開」海洋科学ってこういうものなのか、というイメージを与えてくれた。これまで縁がなかったので全然わかっていなかった。natureで詳細に報告され、新発見も論文として掲載されている。興味の幅は広く、地質学的な観点も海洋生物学もある。南極の調査もしているし、海底通信ケーブルを引くための調査もある。進化論はやっぱりここでも興味の対象として大きな影響を持っている。また、ヨーロッパにとって未知な文明との会合についても報告されている。その中には日本も入っている。

    第7章「モースの大森貝塚」第8章「nature誌上に見る150年前の日本」ヨーロッパ、イギリス、あるいはnatureが日本を発見した様子の記録。natureの創刊は明治維新の頃であり、未知の国でありながら未発達(非文化的)ではない日本の発見が彼らにとってどう写ったのか、誤解も含めて議論・報告されている。第7章では日本の文化や歴史をヨーロッパ人が発見していく様子、日本の学者と調査を進める中で彼らが見つける日本人の振舞い、偏見や誤解などがnature紙面を賑わせていたと思うと不思議な気持ちになる。

    序文にもあるが、nature創刊後すぐ(創刊後7週間後)にThe Japaneseという記事が掲載されている。第8章ではその3ページにわたる記事をほぼ全て解説するところから始まる。概要的であるものの、的確に理解し、日本を紹介している印象を受ける。彼らは比較的フラットな目線で日本社会・文化・人を見ていたように思える。その後日本の急速な変化の中で日本に対する印象がどんどん変わっていく。特に工学教育において、新しい時代に基づいた理論と実践を配合した新しい教育を導入しようとしたことが書かれている。確かに日本の工学教育はこの観点が今でも活きているように思うし、それが花開いた時期も確かにあったのだと思う。

    ところで、職業柄(所属柄)、この頃の日本の西洋への紹介といえば新渡戸稲造の武士道(1900年)を思いうかべる。これを頭の片隅に入れながら読んでいたら「日本には科学が存在しない?」という節があった。ここでの「科学」はどちらかといえば「哲学に基づく科学」のことを言っているようだ。本文でも論述されているが、いわゆる西洋哲学と東洋哲学の違いがベースにあるように見える。つまり、日本人的(あるいは中国を含む東洋的)思想や哲学がこの段階では彼らには理解できなかったようだ。この節を読んで、もしかしたら新渡戸稲造はこの「彼らにとっての謎」を彼らにわかるように紹介した、という役割になるのだろうか、と想像した。そういえば武士道も読まないな、と思ったまま放置している本の一つだったことを思い出した。

    付録では初期のnatureに論文が掲載された日本人として南方熊楠と寺田寅彦が紹介されている。上記で新渡戸について触れたが、南方のほうがより「科学者的なアプローチで」日本(東洋)の科学思想を正しく伝えたようだ。natureに50編の論文があるのは2005年時点で世界でも最多らしい。寺田物理も日本だけでなく、ちゃんと世界で受け入れられていたということを知ったのは驚きだった。

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    2020年02月11日
  • 日本の深海 資源と生物のフロンティア

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    2013年、博物館で深海展があったりテレビでダイオウイカのドキュメントがあったりと、一部で深海ブームがあった。本書もこの流れに乗った本かと思ったが、かなり違う。タイトルからすると、生物学系の本のようだが、地学、地震学、鉱物学、気象学など様々な面を含んでいて、海洋・深海研究の現状を分かりやすく解説してくれる。
    個人的には、日本近辺の各プレートの移動で形成される深海底の形状についての解説が一番面白かった。地図と断面図が豊富で、とても分かりやすい。
    メタンハイドレートやレアアースなど深海に眠る資源については、その豊富さを強調して人々の関心を惹きたくなるところを筆を抑えて、費用、環境への影響を含めて回収可能性を冷静に判断すべしと、冷静な態度を貫いているところが良心的。
    生物や地球温暖化と深海との関係も、最新の知見が詰まっている。
    というわけで、宇宙空間に次ぐフロンティアと言われる深海について詳しくなれ、興味を掻き立てられる一冊。分かりやすくて、とても面白い。

    ちなみに、海底地形やプレートテクトニクスに関する本書の記述について、その理論や更なる詳細を知りたくなったら、「図解・プレートテクトニクス入門」木村学、大木勇人著(ブルーバックス)がお勧め。

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    2013年10月08日
  • 深海の科学

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    本当に、科学畑ってか理系に筆の達者な方が多くいらっしゃるなあと感心することしきりです。
    スケールの大きいファンタジーのように、想像が膨らむ素敵な本ですよ。
    知らない事ってほんと、底知れずあるなあと改めて思います。
    地球は、凄いよ。

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    2009年10月04日
  • 150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか

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    当時の著名な研究者がnatureに論文を出していたり討論していた事実に驚いた 特に日本についての記述を取り上げていたコーナーから外国の視点なども知れたりとかなり興味深い内容ばかりだった

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    2025年03月18日
  • 150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか

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    現在の科学研究の枠組みが誕生するころの様子が垣間見れる

    現代では Science, Cell, Lancet などと並ぶ Nature が,まだ創刊間もないころはどういう内容だったかを元に,現在の科学研究実施の枠組みがいかに始まったかが紹介されている.

    ◆ 第1章:nature 創刊に託された思い

    創刊にあたって「第一に,一般大衆の前に科学研究と科学的発見の壮大な結果を示すこと.そして教育と日常生活のなかで,科学の主張がより一般的な認識に向かうよう促すこと.」との宣言があるそうだ.
    Nature本誌には,多くの人の関心を引く論文が載り,科学的に重要でも掲載が姉妹誌なるということが否定的に言われたりもする.でもこれは創刊者の思いに沿ったことだというのを知れたのは良かった.

    ◆ 第2章:ヴィクトリアンの科学論争

    論文に対して他の研究者のコメントが付く場合は今でもときどき見かけるが,当時はもっと読者のコメントが多く付いて誌上で議論されたというのは面白かった.今はこれほどコメントが付くことはないが,その役割は学会が担うことになっているのだと思う.

    ◆ 第3章:150 年前の科学

    ここでは,エネルギー保存則やスペクトル分析と共に進化論が重要な進展と紹介されている.そして,異端として火あぶりにされないまでも,宗教との軋轢が大きい時代の様子が紹介される.

    ◆ 第4章:なぜ国が科学にお金を出すのか

    科学研究に国費を使うことには,フランスやドイツに対して科学分野で遅れているという意識が関わっていたことや,どのような体制が望ましいのかという議論は面白かった.

    ◆ 第5章:女子の高等教育

    文系教授はまだ先だが,理系では女性の教授が誕生し始めたころの時代にあたる.大陸ではワイエルシュトラウスに師事したコワレフスカヤなどがいたが,イギリスでは様子が違ったようだ.この章の主役であるソフィア・ブレークも結局大陸の大学で学位を得たようだ.ヨーロッパでもやはりイギリスは違ってるのだなと思った.

    ◆ 第6章:チャレンジャー号の世界一周探検航海

    世界中を回って科学調査を行ったチャレンジャー号の航海の紹介.日本にも長く寄港したことや,チャレンジャー海淵の名前の元だったとかは知らなかった.

    ◆ 第7章:モースの大森貝塚

    汽車に乗っているとき窓から貝塚を見つけたというのはなかなかすごい.生物学というか,博物学っぽい感じが,このころのNatureだったのだなというのが印象に残った.

    ◆ 第8章:nature誌上に見る150年前の日本

    開国して間もない日本は,いろいろ欧州の関心を引き,結構な記事が掲載されていたようだ.このころは社会科学的な話題もNatureは扱っていたのだなというのが分かった.

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    2025年01月02日
  • 150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか

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    科学誌「nature」は、歴史があり、多くの科学的論争があった。モースの大森貝塚など日本に関わることの記載もあり、興味深く読めた。

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    2024年03月17日
  • 150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか

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    ネタバレ

    第8章のnature誌に掲載された、150年前の日本が興味深かった。「The Japanese」と一国を丸ごと対象にした長い記事は、natureの150年間の歴史の中でも唯一らしい。インドのコーヒーの木や、中国の宇宙論、タスマニア人の起源など、どこどこ国の〇〇というように、外国での植物学、天文学、人類学など学問の話題が定番である中。日本のみが、Theをつけて紹介された。ものすごく特殊で紹介しがいのある国だったということだろう。日本で実現させた「理想の工学教育」の夢、というのも興味深い。

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    2020年11月29日
  • 日本の深海 資源と生物のフロンティア

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    専門的な話が多いけれど、解りやすくてよみやすかったです。深海と聞くと真っ先に深海生物が頭に出てくるけど、他にも海流やプレート、資源などなくてはならないものがたくさんあることを知りました

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    2021年12月30日
  • 日本の深海 資源と生物のフロンティア

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    ネタバレ

    地球最後のフロンティアである深海について、その成り立ち、地形的特徴、鉱物資源、豊富な生物、そして海洋(特に深海)と気候との関連について読みやすくまとめられている。深海底の資源は埋蔵量はともかく、経済的に採掘するのはやはりハードルが高そうで残念である。
    おまけ シロウリガイ食べたのかw

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    2018年10月14日
  • 深海の科学

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    章立ての通り「深海」を物理、生物、地学、資源、そして挑戦(調査)の、様々な角度から教えてくれる。

    最近は深海のへんな生き物が注目されているけれど、そのへんなのがいる世界はこんなですよ、へんな世界を知るためにこんな技術が使われているんですよ、と案内してくれる楽しい科学書です。

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    2015年04月02日
  • 日本の深海 資源と生物のフロンティア

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    第2章の「深海に眠る資源」は興味ある話題満載だ.第4章の「深海と地球環境」で出てくる「深海水は地球を回る」はよく調べたなという感じ.最後の章では東日本大震災を様々に取り込む研究者達の熱意を感じられて嬉しかった.

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    2013年12月23日
  • 深海の科学

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    音の道。SOFARチャネル!
    深海ってやっぱり素敵。魅力的!
    文章のテンポがあまり良くない?やや読みづらい・・・。

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    2009年10月04日
  • 150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか

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    ネイチャーは昔より一般向けだったという話で、投稿欄や日本の話もあった。南方熊楠が最も多く掲載された日本人である。

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    2023年10月29日
  • 身近な疑問がスッキリわかる理系の知識

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    少ない説明文で1ページにまとめられてるので読みやすいが、その分端折った感はあり。でも日常の疑問を解説する内容は面白い

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    2021年05月02日
  • 日本の深海 資源と生物のフロンティア

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    ブルーバックスの本にしては珍しく浅く広くといった感じ。
    深海について触りを知りたい場合は良いが、個人的にはもう少し深く知りたかった。

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    2019年05月25日