今井彰のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
まーちさんのブクレポを読んで面白そうだったので読んでみた。
フィクションの形式をとっているが薬害エイズ問題の真相に迫ったルポルタージュのような本。著者は元NHKのディレクターで「埋もれたエイズ報告書」という番組を作成し、大反響を呼んだ。
血友病患者のエイズ罹患の責任は誰にあるのか。
エイズ患者の売血により汚染された血液製剤が製造されてしまったのは仕方ないとしても、それがわかった時点で、なぜ市場への流通を止め、または回収することができなかったのか。そして何よりなぜその危険性が、医師や患者に知らされることがなかったのか。
実際の事件では、当初は日テレの櫻井よしこによる取材 -
Posted by ブクログ
名付がもつパワー
素晴らしい本でした。
年若い青年を「パパ」と呼ぶ描写に初めは気恥ずかしさを覚えたのですが読んでいくうちに懐の深さや安心感に他に呼びようがないぐらい、しっくりくる。パパより更に若い「かあちゃん」や「じいちゃん」、皆名前をつけ役割を持つとその名に相応しい行動をとるべく頑張る。「命の家」という名前もそうです。
必ずしも名は体を表すとは言えないこともあるかも知れないけれど、こうなるんだ!という強い意志を表明する言葉というのは案外大きな力となるのではと思いました。
事前情報なしに読んだのですが実話を元にした話と知り驚きました。このような方がいらしたことを教えてくれたこの本に感謝です -
Posted by ブクログ
90年代後半、停滞していた薬害エイズ訴訟を、
一気に原告勝訴へと動かすきっかけの1つともなった
NHKスペシャル「埋もれたエイズ報告」を制作した
元NHKプロデューサー今井彰氏による、回顧的小説。
自分たちが行ってきた取材をベースとしているだけに、
多少、強引とも思える取材方法や、お話の横展開にも、
十分に納得感の感じられる、とても骨太な良作でした。
その割には読みやすく、一気に読破できる作品でした。
ただし、
この手の作品で、作品数の少ない作家さんに見られがちな、
主人公の色恋沙汰は、本作品においても興醒めだったな~。
ほぼ、その点だけが、マイナス・ポイントでした…。
あと…、
巨大な -
Posted by ブクログ
ドキュメンタリーを小説に起こした感じ。
それだけに登場人物への遠慮と配慮が伝わってくる。
残留孤児の悲惨な過去を持つ幸太郎が4畳半一間から立ち上げた孤児園で1000人もの子ども達を守って社会に送り出した実話。
一般の児童養護施設では中学卒業で終わるが幸太郎は高齢児童施設として中卒から社会人として自立するまでの面倒をみた。凄い人がいるものだと感心した。
幾人もの過去や体験を取材して纏めるのは大変だっただろう。書けないことが行間から溢れている。
ただ、幸太郎を「光の人」というタイトルでもわかるようにイエス・キリストのように描いているのがなんだかなあという気分にさせられる。
戦災孤児時代と虐待親との