あらすじ
1000人の孤児を救うため、ひとりの男が立ち上がった。
戦後。
廃墟と化した東京を中心に、全国で十二万三千人の「戦争孤児」が生まれた。自ら飯を調達して食べることができず、寝泊りする場所すら持たない子供が、唐突に十二万人以上現れたのだ。
国から見捨てられた孤児たちの命と未来を守るため、一人の男が立ち上がる。当時、彼は十七歳の少年先生。
職も我欲もなげうって、半世紀に及ぶ茨の道を歩いた――。
「プロジェクトX」元プロデューサーの著者が、実在の人物をモデルに描く感動の物語。
「この国の歴史には記されなかった 切なく雄々しい愛の物語である」(今井彰)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
どんな大変な時期を過ごそうと一点の光に照らされていれば頑張れることもある。この人に出会えただけで生きている環境が180℃変わってる子供が何人もいると考えるとやはり偉大な人だと思う。こんな慕われる人間になりたいけど、あそこまで自分を犠牲にできるのは簡単ではないのも事実。良い本です。
Posted by ブクログ
敗戦後の日本を目の当たりにした。
親のいない戦争孤児と呼ばれる人たちが、ここまで粗末にされてきたのかと非常に酷くて胸が痛んだ。
強い者が弱い者を支配する環境。戦争を経て全てを失った孤児には、どうあがいても太刀打ちできない。そんな中に、まるでキリストのように現れた幸太郎。どんなに傷ついて廃人寸前のような孤児でもたちまち生きる希望を与えてしまう。本当に神と呼んでいいと思う。
Posted by ブクログ
名付がもつパワー
素晴らしい本でした。
年若い青年を「パパ」と呼ぶ描写に初めは気恥ずかしさを覚えたのですが読んでいくうちに懐の深さや安心感に他に呼びようがないぐらい、しっくりくる。パパより更に若い「かあちゃん」や「じいちゃん」、皆名前をつけ役割を持つとその名に相応しい行動をとるべく頑張る。「命の家」という名前もそうです。
必ずしも名は体を表すとは言えないこともあるかも知れないけれど、こうなるんだ!という強い意志を表明する言葉というのは案外大きな力となるのではと思いました。
事前情報なしに読んだのですが実話を元にした話と知り驚きました。このような方がいらしたことを教えてくれたこの本に感謝です。
ちなみに戦争の描写が苦手な方は初めと終わりに出てくるのでお気をつけください。かなり苦手な方ですが必要な描写だと思ったのでなんとかその部分も読みました。このお話全体の素晴らしさは他の方も書いてくださっていると思うので割愛します。
Posted by ブクログ
「水の一滴は、岩に穴を穿つ
力によってではなく、しばしば落ちることによって」
営々たる努力をすれば、いつの日か思いは叶うという意味。主人公が一番好きだという言葉である。
巻末に実在の人物をモデルにしたと記されている。
千人の孤児を育て上げた主人公、登場人物たちのあまりにも壮絶な生き様に不覚にも涙。
Posted by ブクログ
戦争孤児や、育児放棄やネグレクトで保護された
高齢児童施設を立ち上げた実在の人をモデルにした
小説。多分NHKで放映されていた石綿さんがモデル
かなと思います。
なかなか重たい話で、胸が締め付けられるような
話ではありますが。
一番思ったのは、親の責任の重さ。
子供を守るのは親なのだという思いと、実在の自分の
息子や妻のために生きていくのだと思えました。
Posted by ブクログ
ドキュメンタリーを小説に起こした感じ。
それだけに登場人物への遠慮と配慮が伝わってくる。
残留孤児の悲惨な過去を持つ幸太郎が4畳半一間から立ち上げた孤児園で1000人もの子ども達を守って社会に送り出した実話。
一般の児童養護施設では中学卒業で終わるが幸太郎は高齢児童施設として中卒から社会人として自立するまでの面倒をみた。凄い人がいるものだと感心した。
幾人もの過去や体験を取材して纏めるのは大変だっただろう。書けないことが行間から溢れている。
ただ、幸太郎を「光の人」というタイトルでもわかるようにイエス・キリストのように描いているのがなんだかなあという気分にさせられる。
戦災孤児時代と虐待親との時代の違いにも考えさせられることが多い。