“どこからか、何かが裂ける音が聴こえる。
音のほうに首を向けると、遠くにかすむ終端のほうから線路が裂けていっている。
枕木が次々と真ん中でまっぷたつになっていく様子は、まるで鋭利な刃物で肉を裂いていくような爽快さだった。
そして、まっぷたつになった線路が、空中でふたつの相似形の線路へと再生していく......。
その様子は、どこかで見たことがあるような......。
(......あのさ、DNAって、線路みたいに見えない?)
......あ......。
生物の授業のVTRで見た、DNAそのものだ......。
そんなことを思っているうちに、二本の線路の一方は空中に溶けていき、もう一本の線路は、風に舞った帽子が降りてきたかのように、静かに地上に降り着いた。
静寂が周囲を満たす。
なにかの儀式めいた線路の鳴動は、静まったらしい。
しかし、あれは......いったい何だったのだろうか......?
「平行世界との分裂が、これで完了したのだ」
不意に、背後から声をかけられ、口から心臓が逃げ出すかと思う。
振り向くと、コッペリアが立っていた。”
中身はちょっと薄いなー。
ちょっとSFだかファンタジまじりの。
砂男の下りななかなか良かった。
あと後書きも。
そういう視点だったのかっていう。
“「おはよ」
不意に、長机の対面から声をかけられる。
この声は、ねるのさんだ。
ひょっとして、僕の居眠りで待たせてしまっただろうか......そう思って、顔をあげた。
そこには——大きなメガネをカタカタ揺らしながら、
鼻から滝のように鮮血を流す僕のカノジョがいた。
「か......かわいい寝顔だったよ、直也君......うっぷ」
机や床を惨劇的に赤く染めながら、彼女はのんきにそう言った。
「ねるのさん......寝顔見ただけでそんなに興奮しないで」
彼女の妄想力はただごとではない。
特に異性がらみのことになると妄想の膨らみ方が酷いようで、急速に体温が上がり、鼻血を噴いてしまう。学校で、僕となにげない日常会話をしていても、どの言葉から何を連想したのか、たまに噴血して倒れていた。この間の告白のときもそうだ。
中学のときの彼女には、何人ものクラスの女子を血祭にあげてしまったという武勇伝まである(ただし彼女自身の血で)。”