とても良い本だった。良い歳なのでタスク管理とか時間術はすでに何周かしているつもりだけど、それでも「良いな」と思える内容がけっこうあった。
特に、タスクでも個人プロジェクトでもなんでも、達成したいゴールから逆算して考える進め方ではなく、やりたいと思ったことを一日いちにち少しずつ進めていく実行にフォーカ
...続きを読むスする「順算思考」的なアプローチの言語化はとても良い。
実際には、いわゆる仕事だと、締め切りまでにどんな成果を求められるかというのが決まったいることも多いし、関わる人が増えれば逆算的な見通しで認識を合わせることも必要になるから、目標からトップダウンの考え方が不要になることはない。
が、誰の言葉だったかな、「プランそのものは大事でない、大事なのはプランニングだ」という考え方もあって(個人的に至言だとおもっている)、実際逆算の見通しというのは、その見通し通り進むことはまれ。
大抵の場合うまく帳尻を合わせてどうにかしていくわけだが、目標からの逆算にフォーカスしすぎると、うまくいかないことが心理的な負荷になりすぎるし、「自分たちはうまくいってないのか?」という認識をもってしまうことにもなりうる。
その点で順算の考え方は心理的負荷に対してのセーフティネットになる。ゴールに向かうなかで日々変わる環境に自分たち自身が適応していっているということをちゃんと実感でき、自己効力感の安定にもつながる。
プロダクト開発におけるスクラム開発みたいに、メンバーで日々のやること、やったことにフォーカスしながら進めて生産性を高めていく、というやり方もある(そこまで、詳しくないから間違ってるかも)ので、仕事の出来という意味でも効果はかなりあるだろう。
実際には、関わる人が増え、規模も大きくなれば、順算思考「だけ」で仕事に向かうことは難しくなるから、そのあたりのハイブリットな感覚、バランス感覚も、仕事のキャリアを積んでいく上では大事だと思う。
とはいえ、仕事術、タスク管理的ノウハウの分野では、この順算思考というアプローチは、これまであまりなかった考え方ではないか。ノウハウの盲点でありつつ、人間が(仕事に限らず)何かに取り組むにあたって、行動と思考のコアな部分に刺さっているように思う。