円谷英明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
著者は特撮ファンなら知らぬ者はない円谷英二の孫で、円谷プロ2代社長の円谷一の子息である。円谷プロと円谷一族の凋落はうわさに聞いていたが、この本にはその顛末と経過が赤裸々に描かれている。もちろん、すべてをその通りに受け取るのは多少躊躇を感じる_立場がちがえば異なる意見や主張も出てくるだろうから_が、少なくとも著者の誠実な語り口は信頼するに足りる。私も「ウルトラQ」に始まって、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」と続く昭和三部作、そしてもちろん映画「ゴジラ」を観て育った世代なので、円谷プロがとにもかくにも活動してほしいと願った。しかし、結果は円谷一族の経営撤退と別会社による全面買収という無残なもの
-
Posted by ブクログ
ネタバレビックダディ?と突っ込みを入れたくなるくらい、ウルトラマンは子だくさんだ。びっくりするくらい親戚もいる。クリスマス玩具商戦になると意味のない戦闘機に乗り、お正月になれば地球の平和とは関係無く着物姿で見世物となる。「特撮の神様」円谷英二が健在のうちは想像できなかったことだ。
この本を読んであらためて、多くの疑問が氷解した。本書によると円谷プロは経営状態の浮き沈みが激しく、そのたびに幾度となく選択を迫られ、結果として苦戦を強いられるという悪循環が続いていたのだ。そのたびに派生キャラが増え、ヒーロー像が膨らんでいった。
サクセスストーリー本が多い中、挫折体験話は貴重だし勉強になると思うが、正義のヒー -
Posted by ブクログ
ネタバレあのウルトラマンシリーズを輩出した円谷プロの一族の方が著者の新書。
リアルタイム世代ではないが、夏休みのウルトラマンフェスタにより、相当はまった幼少期だった。
TBSだったことにはまったく意識していなかったが、ビジネス的な側面を本書において確認する事ができた。
バンダイなどと組んでいたにもかかわらず、ガンダムのようなキャラクタービジネスの成功にウルトラマンがなぜ至らなかったのかを当事者が赤裸々に語っているし、夢を作る仕事の現実感をありのままに語ってくれた良書であると思う。
もちろん、ウルトラマンに心酔したことがあるからだが、そうでない人にもビジネスのヒントは満載であろう。
お家騒動によって -
Posted by ブクログ
ネタバレ"ウルトラマン"という名を聞いて、知らない日本人はほとんどいないだろう。
M78星雲から地球を救うためにやってきた、あのヒーローである。
しかし、そんなウルトラマンを生み出した「円谷プロ」が幾度も失敗を重ね、ついには創業者一族全員が会社から追い出されてしまうという悲劇を迎えていたことを知っている日本人もほとんどいないだろう。
P116 L3 「二〇一二年時点では、バンダイが扱う多くのテレビ番組関連キャラクター商品の中で、最も売れているのは「機動戦士ガンダム」シリーズです。ウルトラシリーズはその一〇分の一以下に過ぎません。」
著者円谷英明は創業者円谷英二の孫にあたる人物 -
Posted by ブクログ
ネタバレウルトラマンにそれほど思い入れはありませんでしたが、興味深く読ませてもらいました。
恥ずかしながら、ウルトラマンを手がけた円谷英二がもとはゴジラの特撮を手がけていたというのを本書を読んで初めて知りました。
本書に書かれている慢性的な赤字経営、創業家の会社の私物化、お家騒動の話はファンにとってはショックな話題かもしれません。
そして、最終的には企業買収され、本来の円谷プロは消滅したということで、このことは付き合いの深かった玩具メーカー・バンダイにも影響が及んでいます。
(丁度、バンダイがナムコと合併する時期とも近い)
著者は先代の円谷英二の遺志を継ぐべく、中国での特撮番組を立ち上げようと -
Posted by ブクログ
ウルトラ世代のひとりである私は、心の奥底から揺さぶられる感覚を抱きました。
勿論それは快いものではありません。
本書は中小企業(多くが同族経営)が陥りやすい失敗の豊富な事例集だという人も多いようです。
一方で、現実とは真逆に、円谷一族が一致団結、健全なマネージメントのもと、大企業(東宝orバンダイ)の傘下に早期に素直に入っていれば、「ウルトラマン」というコンテンツはこの30年あたりでどのように変わったのでしょうか?
特オタでビジネスマンの端くれの私にも、ちょっと想像がつきません。
(少なくとも、パチンコ店の大きなウルトラマンタロウの看板は減っていたかも)
◆英明氏について
本書は暴露本スタイ -
Posted by ブクログ
円谷英二の孫にあたる著者が、円谷一族のお家騒動を語る、と言った内容。
ウルトラマンと仮面ライダー、というのはテレビ特撮の2大ヒーローなわけだが(ふたりが戦う作品もあった)、平成以降の2者の明暗を分けたのは、作家性でも時代性でもなく、ただただ円谷プロという中小企業と東映という大企業の差、という身も蓋もない現実のゆえなのかもと思わせる、そんなことを感じされる本だった。
記述には偏りがあらざるを得ないからそれを差し引くべきなのだろうが、客観的事実からすれば3代社長・皐(のぼる)に大きな原因があるのでは、と感じた。海外版権にかんするタイの企業との裁判沙汰は、真相はわからないけれど大きな要因のひとつ