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長年、子供たちに夢を与え続けた「円谷プロダクション」。その裏側では大人の事情によって一族間でも内紛が絶えず、映画会社、テレビ局、おもちゃ会社の思惑に振り回され、ついに創業者一族が経営から退場せざるを得なくなりました。本書は、そんな裏事情を生々しく描いたノンフィクションとしても読むことができます。ヒーローの設定が、こんな勝手な事情で決められていたのかと哀しくなりつつも、赤字を積み上げながら良いものを創ろうとした初期の頃の熱気も存分に味わえます。
なぜ、ウルトラマンが泣くことになって、仮面ライダーは復活することができたのか。非常に興味深い内容です。著者は、特撮の神様・円谷英二の孫にあたり、円谷プロダクションの社長も務めた方です。
Posted by ブクログ
著者は特撮ファンなら知らぬ者はない円谷英二の孫で、円谷プロ2代社長の円谷一の子息である。円谷プロと円谷一族の凋落はうわさに聞いていたが、この本にはその顛末と経過が赤裸々に描かれている。もちろん、すべてをその通りに受け取るのは多少躊躇を感じる_立場がちがえば異なる意見や主張も出てくるだろうから_が、少なくとも著者の誠実な語り口は信頼するに足りる。私も「ウルトラQ」に始まって、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」と続く昭和三部作、そしてもちろん映画「ゴジラ」を観て育った世代なので、円谷プロがとにもかくにも活動してほしいと願った。しかし、結果は円谷一族の経営撤退と別会社による全面買収という無残なものになった。
したがって現在の円谷プロは、発足当初の会社とは体制が全くちがうことになる。円谷プロの公式ホームページは現在も充実した内容で誰でも閲覧できる。ウルトラマンシリーズも、新作がでているようなので、旧作のコンテンツ管理上もこれで良かったといえるかもしれない。古い特撮は特撮として、私のような世代は多少の甘酸っぱさを感じながら今も楽しめる。著者には複雑な心証となるだろうけれども。
本当は、「ウルトラセブン」12話の話がでてくるか、と思って読み始めたのだが、さすがにそれは完全なタブーであるようだ。
Posted by ブクログ
ウルトラ世代のひとりである私は、心の奥底から揺さぶられる感覚を抱きました。
勿論それは快いものではありません。
本書は中小企業(多くが同族経営)が陥りやすい失敗の豊富な事例集だという人も多いようです。
一方で、現実とは真逆に、円谷一族が一致団結、健全なマネージメントのもと、大企業(東宝orバンダイ)の傘下に早期に素直に入っていれば、「ウルトラマン」というコンテンツはこの30年あたりでどのように変わったのでしょうか?
特オタでビジネスマンの端くれの私にも、ちょっと想像がつきません。
(少なくとも、パチンコ店の大きなウルトラマンタロウの看板は減っていたかも)
◆英明氏について
本書は暴露本スタイルです。
紛争当事者の英明氏は、自陣営に甘く、敵対陣営に厳しい表現が散見されています。
記述情報も公平性がどこまであるかは不明です。
ちょっと、帰りマンまで偏愛気味で、平成三部作に厳しすぎるかな?
ネクサスは、同意見ですがw
子供を対象としたマーケティングは賛同します。
もっと、オタク層ビジネスにも言及してほしかったです(パイが小さいのかな)。
後半、英明氏が危惧した「円谷商法の破綻」は、現在でもアニメなどコンテンツ産業全般が抱く問題です。
製作費の圧縮(CGの大幅導入)、円盤、スマゲーなど二次回収の多様化。アニメ作品放送自体が広告となっているバランスです。
あと、海外進出は今でも難しいようです(KADOKAWAがアジアで書籍から地道にやっていますが)。
終盤、中国ビジネスの破たんを恥をさらすように開陳されています。
困難でリスク過多の中国での製作に、妄執の果てに私財まで投じて破滅していく様は、これまで英明さんが改めようとしていたはずの円谷プロの惨状をそっくりトレースしているかのようです。
円谷の遺伝子?それとも「特撮」作りってそれほどに麻薬なのでしょうか?
ラスト、父親の一氏に少年時代に早朝に叩き起こされて連れていかれた海釣りを思い起こす一節があります。
往年の活気ある円谷プロ全盛期と現在の悔恨にくれる英明氏の対比が何とも言えないですが、家庭不和のもたらした父親を決して悪く思わずに懐かしまれているのにはわずかに救いが感じられます。
Posted by ブクログ
円谷英二の孫にあたる著者が、円谷一族のお家騒動を語る、と言った内容。
ウルトラマンと仮面ライダー、というのはテレビ特撮の2大ヒーローなわけだが(ふたりが戦う作品もあった)、平成以降の2者の明暗を分けたのは、作家性でも時代性でもなく、ただただ円谷プロという中小企業と東映という大企業の差、という身も蓋もない現実のゆえなのかもと思わせる、そんなことを感じされる本だった。
記述には偏りがあらざるを得ないからそれを差し引くべきなのだろうが、客観的事実からすれば3代社長・皐(のぼる)に大きな原因があるのでは、と感じた。海外版権にかんするタイの企業との裁判沙汰は、真相はわからないけれど大きな要因のひとつには皐のワンマン的経営にあるのだろう。
著者は原点回帰を求めているのか、実相寺昭雄の発言等を引用するするいっぽう、セブン以降のウルトラマンシリーズの評価が不当に低いように思う(半ばわからなくもない部分はあるけれど)。それが愛なのか出来ない言い訳なのか、それはわからないけれど。
ともかく、作品を見ているだけでは決してわからない内幕を知ることのできる本であることは間違いない。
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