中條ていのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ短編集だけど少し繋がっているところもある話。
最後の話まで読んで、タイトルの意味はこういうことかぁ、と分かった。読み終えた時に感じるのは全体の優しい繋がりだった。とりあえず最初の彼の話を読み返したくなった。
各話で出てくる人たちには、それぞれの持つ悲しみや寂しい、悔しい感情があって、でも少し希望みたいなものも見れて、じんわり心が動いた。もちろん、当の本人たちは、自分の行いが知らない人の何かに少し影響してるだなんて思ってもないけど、皆少しだけ、上向きになっている感じが、なんかいいな、現実にもそういう事があるかも知れないなぁ、と思えた。
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Posted by ブクログ
何の予備知識もなく映画を観て、とても良かったので原作を、と普段の逆のパターン。
5つの連作短編の本作でも気づいてないところでの人と人とのつながりがあったが、映画の脚本はそれを見事に組み替えて、より強いものに仕上げていた。叶海と両親とサンシャインハウスの章はそのまんま映画に取り込まれていて、思い出して泣けた。梓と叶海をつなげたことで、全部がひとつに繋がった感があって、映画の脚本に軍配を上げたい。小学6年生の中学受験の章は、映画では取り上げられなかったけれども、独立した話としても良かった。ひったくられたおばさんがあのお母さんで、自転車屋さんや栄光中学に合格した子らが最後の章に少し出てくるぐらい。 -
Posted by ブクログ
不登校少女・イオが、盗まれた自転車を引き取りに行った商店街事務所(念力研究所)で、中年男・オショさんと引き取りの署名を書いてくれとのやりとりをしている最中に11歳の少年・カオルが、弟がどこで死んだのか知りたいとやってくる。
念力でどうなるものでもなく…話を聞いてみるとなかなかの訳ありで。
弟が最後に暮らしていた廃屋へ3人で行くことになる。
謎なオショさんだが、子ども相手にもなかなか刺さることを言う。
廃屋で見つけたものは物だけではなく、見えないけれど心に刺さるものだったのだろう。
大人になったカオルが、オショさんに会いにいきイオの現在を知ることもできたのだが、それ以上にその場所で出会ったリリ -
Posted by ブクログ
黒木華さん主演で映画化されるとのことで、偶々その予告編を目にしたご縁で、原作の本書を手に取りました。
こちらは五話の短編が収録されておりまして、一見それぞれ独立した話かと思いきや、二話目、三話目と読み進めていくと、実はそれぞれがちょっとずつリンクし合っていることに気付きます。
正直、ちょっと展開が地味だなー・・と思って読んだ第一話「定刻の王」が、第三話「夏の終わり」で思わぬ繋がりを見せてきて、これには心震えちゃいました。
なので、もし一話目だけ読んで“なんかイマイチかも・・・?”と、思いそうになったあなた!(←誰?)“とりま、三話目まで読んでみて!”と、言いたいですw。
個人的に好きだった