林英一のレビュー一覧

  • 残留日本兵 アジアに生きた一万人の戦後

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    本書で取り上げられた方々の“戦後”は様々である。且つ、膨大な人数の一部である。
    日本に帰らなかったのには、一人一人の人生があり、理由がある。
    「『生きるため」に「残留」』を選んだ人生を想う。

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    2017年04月23日
  • 南方抑留―日本軍兵士、もう一つの悲劇―(新潮選書)

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     1945年のシンガポールにて、記録映画「デリーへの道」の撮影に来ていた報道部の小津安二郎が、戦局に話が及ぶと「"デリーよりの道"になってしまいましたね」と肩を落としたというエピソードが紹介してある。その懸念通り、戦局悪化で撮影は中止され、やることのなくなった小津は日本軍がイギリス軍から接収したアメリカ映画の鑑賞にふけっていたという。「デリーよりの道」のエピソードは、日本興業銀行から南方派遣を命じられた園部達郎の日記をまとめた『レンパンに生きて』(1979)より、アメリカ映画を観ていた話は西原大輔『日本人のシンガポール体験―幕末明治から日本占領下・戦後まで』(2017)より

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    2025年10月08日
  • 南方抑留―日本軍兵士、もう一つの悲劇―(新潮選書)

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    シベリア抑留だけではなかった南方の抑留。
    「アーロン収容所」「虜人日記」で漠然とひ知っていたが、敗戦後も抑留され労役を課された旧軍人軍属たち。貴重な一次資料を駆使して抑留生活を再現していく。

    虐待された元捕虜と立場逆転した降伏兵。戦争という狂気の中で復讐と和解。歴史になるにはまだ早い近現代について考えさせらました。

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    2025年10月03日
  • 南方抑留―日本軍兵士、もう一つの悲劇―(新潮選書)

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    林禮二さんの手記が秀逸なので紹介する。
    参謀とは、人柄を知らない時には、全く素晴らしく偉い人に思はれるのだが、近附けば近附くだけ嫌になるやうな人柄の人が多い。軍が国民と全く遊離してゐるといふ時の軍人の典型は参謀である。全くの利己主義、独善主義、そして傲慢、而も立身に対する極端なる希求。早く、こんな型の軍人の消去るべき日の来らんことを」(一九四五年七月六日)、「軍人の視界は前方にだけ向いてゐる。その癖何でも知っていると自信満々。危いことはこの上もない」
    92ページの将校の人物描写もおもしろい。
    今も昔もこういう人困った上官いるよねという秀逸な描写。

    水木先生の「総員玉砕せよ!」で登場する人物が

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    2025年09月21日
  • 南方抑留―日本軍兵士、もう一つの悲劇―(新潮選書)

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    抑留といえば「シベリア抑留」ばかりが思い浮かぶが、南方でも抑留されていた兵士たちがいたことが頭になかった。日記類を読み解いたこの本は色々なことを知ることができ、また感じられることがあり、戦後80年の今年、とても良い本であった。

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    2025年08月16日
  • 残留日本兵 アジアに生きた一万人の戦後

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    残留日本兵といえばすぐに思い浮かぶのが、横井庄一や小野田寛郎。
    しかしその他にもたくさんいた。100人以上もの人の手記を集め、分析。
    これは貴重な資料だ。

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    2014年11月02日
  • 残留日本兵 アジアに生きた一万人の戦後

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    第二次世界大戦以降、様々な理由から日本に帰国せず
    現地に残留した日本兵の実像を、
    数多くの人物を紹介する形で説明する一冊。
    サンプル数が多く、またそれらがよくまとめられており、
    当時の社会や国際環境についても触れられていてわかりやすい。
    特にインドネシアや中国で残留日本兵が果たした役割について
    興味深く感じた。

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    2012年11月30日
  • 残留日本兵 アジアに生きた一万人の戦後

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     残留日本兵というとまず思い出す,グアムの横井さんやルバング島の小野田さん。しかし彼らは一万人いた残留日本兵の中ではきわめて特殊な例で,決して残留日本兵を代表するものではない。
     本書は,アジア各地で,現地人とつながり,現地に溶け込んでいった,一般の残留日本兵の歴史をまとめたもの。一万人のうち個人史の判明している百人の記録をもとに,階級や地域による類型化を試みている。残留の動機には様々なものがあり,残留後の行動・運命も様々だ。
     例えば将校クラスでは,敗戦処理に奔走するうち,現地側に能力を買われ,それが本人のアジア解放という信念にもマッチして残留ということになった者が多い。憲兵では,戦犯として

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    2012年10月03日
  • 残留日本兵 アジアに生きた一万人の戦後

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    毎年終戦記念日のある8月になると太平洋戦争の事を考えさせられる。
    なるべく当時の関係する本を読んでいるがこの本も面白かった。横井さんや小野田さんだけじゃないんだよなあ。

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    2013年05月29日
  • 戦犯の孫―「日本人」はいかに裁かれてきたか―

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    戦争責任は当時の日本全体、それを代表していた軍部や政府、そして支持した国民全体にあると感じる。当時に生きた日本人にとって、言葉も理解できず意思も表明できないような赤子でもない限り、個人的には全体にあったと考える。勿論軍部や政府に反抗し、対抗する勇気ある国民も居ただろう。それはごく一部の人たちであり、開戦前、開戦後も一貫して態度を貫き通せた人でもなければ責任の一端はあると感じる。
    中でも、戦後に戦犯として罪名を背負った人々については、開戦への責任、戦時中の暴力や民間人・捕虜に対する殺害などは明らかな犯罪=犯罪者と言える。また、広田弘毅の様な文官についても外交官としての失敗や内閣を統率できなかった

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    2023年11月22日
  • 戦犯の孫―「日本人」はいかに裁かれてきたか―

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    ネタバレ

    満州事変から太平洋戦争にかけての戦争責任を問われた戦犯たちの子孫や、戦犯そのものの人生などをまとめた一冊。

    たくさんの書物と本人らへのインタビューを元に描かれていることからすごくしっかりとした学術書のような印象。
    その点、無知なわたしにはなかなか難しく読むのに悪戦苦闘…。
    それにしてもA級戦犯の中でも東條英機のお孫さんの話はかなり苦しい。学校の担任から担任を持つことを拒否されるなんて、どんな気持ちだったんだろうか。
    土肥原賢二や広田弘毅もA級戦犯だということくらいしか知らずで。広田弘毅だけ文官でありながら靖国神社に祀られてるのも知らなかったくらい。

    戦犯問題に関していろんな意見があるのは重

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    2022年11月25日
  • 残留日本兵 アジアに生きた一万人の戦後

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    ネタバレ

    横井、小野田に表象されるイメージの実像を丹念に辿り、残留日本兵「像」を一新する快著。敗戦後、「外地」に留まった日本兵はおよそ一万人!単一の認識に還元不可能な千差万別の人生が存在する。丁寧な取材に基づくルポルタージュ。

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    2012年10月02日
  • 残留日本兵 アジアに生きた一万人の戦後

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    残留日本兵自体への評価ではなく、あくまで本自体への評価をすればあまり面白いものではない。
    厳しく言えば「事実」的記載が羅列されているだけで、学者の仕事としてはその基本的前提を著作としてしたためただけと言えなくもない。
    ただこの分野の研究が未だ進んでいないがための結果かもしれないが、そうだとするとそれはそれで少々悲しい。

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    2012年09月09日