J・K・ユイスマンスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ひょ、評価に困るなあー!
作品としては、数十年後にまた読みたいような面白さがあるのだけど、個人的な好みからは少し離れているので。
ブルジョワが徹底的に引きこもり、徹底的に自分の好きなものだけ摂取して生きていこうとする話。
文學、音楽、絵画など、それはもう偏愛に次ぐ偏愛を綴ってゆく。それらの作品が分かればこのアイロニーも分かっただろうに、と少し残念。知らないからこそ、偏屈なおっさんが延々と文句や皮肉をひりだしているようにしか見えないからね。
ここに出てくるものを全て知ってからまた読みたいような気がした。
ドリアン・グレイに出てきたので余計にそう思うのかもしれない。彼が影響を受けた世界観として。 -
Posted by ブクログ
デカダンスの聖書ということだが、要するに元祖ひきこもり小説という趣き。
確かにデカダンを感じさせるんだけど、ヨーロッパのキリスト教事情に明るくないと完全にその思想を理解するのは難しいと思う。
だから少し置き去りにされた部分があるかも。
何だか小説というよりも文芸評論的な章もいくつかあったし(それらの作品に興味を湧かせるところは流石だが)。
でもこういう内省的に沈んでいくタイプの小説は基本的に好きだ。
それは自分がそういう人間だから(笑)。
固い文体なんだけどサクサクと読める。
澁澤龍彦が一番気に入ってる翻訳らしいが、その通りだと思った。