竹森俊平のレビュー一覧
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世界的な貯蓄過剰状態にある。
不確実性を負う傾向。
中央銀行の最後の貸し手としての役割=バジェットルール=相手が望むだけ、高めの貸出金利をつけて、貸す。=自分がカネを持っていることを示すには、惜しみなく使う必要がある=最後の貸し手の役割を果たす
IMFへの批判=最後の貸し手にならない。
ナイトの不確実性=確率分布の描けるリスクとそれ以外の不確実性=真の不確実性
真の不確実性を前にすると臆病にも楽観的にもなれる。
楽観的になった部分に企業収益がある。
臆病の連鎖によって、バブルが弾ける
フリードマン、サベージは主観的確率を考えることで、真の不確実性はないと考えた。その結果、経済が予測可能と -
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ユーロ危機が深まるに連れ、つねづね一番の課題はドイツが歴史上初めてヨーロッパ圏の筆頭国になったこと、にもかかわらずその覚悟に欠けると見受けられることだった。筆頭国になる(帝国システムの担い手になる)のはいろいろ物質的、精神的に大変なのに、周囲の二番手国民あたりはそんなことも知らずに、あれこれイチャモンをつけてしまうわけである。というわけでドイツには同情を禁じ得ないが、そもそも英仏の覇権に挑戦して、筆頭国になるために二度も世界大戦を起こしたのはドイツ自身なんだから、こんなことになる前にもうちょっと心の準備をしておけよ、と指摘したい。ちなみに本書の結論はドイツが最終的に芋を引いてユーロが崩壊する、
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ユーロ危機について。
想定しているよりもずっと深刻な問題が最初から最後まで続きます。
ユーロ危機は劣等生のギリシャやポルトガルの財政危機によってもたらされた、のではなく、
ユーロが抱える本質的な欠点がリーマンショックによって信用市場(超短期市場)が崩壊したことで全面に出てきたことで生じたというもの。
ユーロ圏内の投資に国境を設けない取り組みを続ける一方で、優等生も劣等生も同じ通貨を使うようになったことで劣等生の為替リスクが消滅し資本が流入、リーマンショックによる短期市場の緊急停止により流入した資本が逆バブル的に流出したことでやばいーとなったと。
つまり実力の違う国が同じ通貨使っちゃだめだ -
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[ 内容 ]
アジア通貨危機が世界を襲い、日本の大手金融機関がバタバタと倒れた1997年。
金融危機が深化したこの年を境に、世界のマネーの流れが大きく変わった。
「不確実性」に支配された市場を、どうコントロールするか―。
1997年の動きを検証し、次なる「危機」への処方箋を探る。
[ 目次 ]
プロローグ 「1997年」に何が起こったのか
第1章 危機の内実―「質への逃避」を生んだ市場心理(日本の不良債権問題はなぜ深刻化したのか アジア危機を読み間違えたアメリカとIMF 絡み合う日本とアジア)
第2章 危機を読み解く―「ナイトの不確実性」というブラック・ホール(世界経済を理解する鍵 ナイトの -
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竹森俊平の新書版。1997年のタイから生まれた通貨危機、思わぬ通貨の暴落があったが、この「危機」について「返済能力危機」の欠如あるいは、「流動性の危機」と認識するかによって対処の仕方が変わってくるとして「論述」しているが、これでは、ドルペッグという固定相場制、しかも資本の移転を禁止しない固定相場制と変動相場制の「質」的な差という理論的な視点が全く欠如したマクロ認識となってしまう。竹森はあえてその理論的な「差」を無視しているのだろうが、それが何故なのかは筆者には解からない。
貯蓄と投資のバランスから米国経済から世界経済についての「資金」がありあまっているという展開は、竹森ならではのマクロ的類 -
Posted by ブクログ
2012年出版。問いかけの後にすぐに回答を明示してくれない書き口も合わさって、EUの前提知識ゼロで読むにはやや難解。
金融と通貨について少しずつ理解が進んできたつもりであったが、
改めてユーロについて問われると、何もわかっていなかったのだと気付かされる。
そもそも、国ごとの経済力の差を為替や金利で埋めていたとすれば、
経済状況が異なる国々が単一通貨で共通の金融政策をとるときに、どのような調整が必要となるのか。
例えばある国で財政危機となり通貨の信用が失われれば、そこからの資本流出は加速する。
特にユーロ圏内であれば、共通通貨特有の流動性により、安全性の差がわずかであっても高い箇所に一極集中 -
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経済学の専門家によるユーロ危機に関する本。ユーロの現状について詳しく述べ、将来を予想している。ドイツのように経済的に強い国とギリシアのように弱い国とが同じ通貨を使うことの不具合がよくわかった。このままでは、ドイツが一人勝ちになり、富の分配が進まなければユーロは成り立たないことを理解した。
「経済のダイナミズムが失われていない中国では、日本と違い、金融緩和はインフレと住宅価格の上昇につながる」p21
「経済的国際競争力の格差は為替レートの変化、つまり国際競争力に劣る国の為替レート減価によって調整することができる。ところが各国が同一の通貨を使用するなら、そのような調整は不可能となり、最も優れた国 -
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知らないことが多すぎた。
ドイツの経済力はユーロ圏では圧倒的
経済が成熟した社会では製造業は銀行から金を借りず
社債などによって調達する。
そのためドイツの銀行はリスクのある
他の国の製造業に貸さざるを得ない。
同じユーロ圏でもインフレ率に差があるため、
通貨が同じになると
インフレ率が高い国(南欧)の物が高くなるため
国際競争力が落ちる。
GIIPS(ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン)が破綻しないのは、
自国でユーロを印刷できるから
破綻しかけの国でユーロを使いまくったツケは
自国では返済できるはずもなく
最終的にはドイツが間接的に負わなければならない。