黒野耐のレビュー一覧
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「たられば」で歴史を論じても意味がないと考えるのはおかしなことだ。だって歴史から教訓を得るためには必要条件でしょ?
この本は、果たしてどのような選択をしていたら、日本はアメリカと開戦せずに済んだか、ということを研究している。どうやればアメリカに勝てたかということではなく、勝てないとわかっている戦争をどうすれば回避できたか、ということ。
表紙は変だけど、とても真面目な本だ。
日清戦争の時代から真珠湾攻撃まで、時系列に沿いながら、その時点での回避できた点を浮き彫りにしていく。
特に重要な転換点だったと思われるのは、第一次世界大戦で欧州が戦場になっているとき、イギリスなどから参 -
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ナポレオン戦争の頃から近代のイラク・テロ戦争までの戦争の移り変わりを解説。
地政学に基づき大戦略がかわり、同盟国・敵国がかわり
技術的進歩に伴って戦い方が変わっていく。
戦争そのものの意味すらも戦争のたびに変わってきていることがわかる。
時代にそって戦争学的視点を養った後、
最終章では日本を取り巻く東アジアの現状を紐解く。
まさに今までにないほどの緊張状態。
核を持たず、武力を持たず。
さらには防衛費用を削減する。
そんな日本でも立ち向かうべきなのにヘコヘコ頭を下げているという状況。
軍をもたなければ戦争なんて起こらないなんて誰が言った。
周辺各国はそんなことは言いやしない。
一度始ま -
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戦争という行為、それに至るまでのプロセス、そしてその後のプロセスを論ずる「戦争学」の入門書と言える一冊。基礎とも言うべき「地政学」の解説から始まり、事例として取り上げた戦争はナポレオン戦争からイラク戦争までと幅広い。
著者によれば、欧米の大学には戦争学あるいは軍事学の講座があり、これを持たない日本との意識の差は歴然としているとのこと。とは言え、著者は戦争を奨励しているわけではもちろんなく、「戦争を勉強し、戦争を知れば、戦わずして国益を損なわない途は必ず見つけられる」という考えで書いている。今の日本に徹底的に欠けている学問であることは間違いない。
7年前に出された本書に今 惹句をつけるとすれば「 -
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6年ほど前に読んだ本だが、集団的自衛権の行使容認やイスラム国の台頭など、新しい情勢を踏まえて再読。
はじめに、「戦争学」の基礎として地政学を位置づけた上で、マッキンダー、マハン、スパイクマン、ハウスホーファーなど歴史を動かしてきた代表的地政学者を取り上げ、「ランドパワーとシーパワー」「ハートランドとリムランド」、ナチスに影響を与えた「パン・リージョン」などの概念を解説する。
また、プロシアのフリードリヒ大王に代表される常備軍による「制限戦争」と、ナポレオンに代表される国民軍による「絶対戦争」との違いが説明される。
クラウゼヴィッツは、「戦争の目的は相手に我が方の意志を強要すること」とし、そ -
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[ 内容 ]
日露戦争に勝利した新興国家はなぜ破綻したのか。
組織の欠陥と無定見な教育に敗戦の真因を見出す新史観。
[ 目次 ]
第1章 山県有朋の参謀本部
第2章 幻となった統合参謀本部
第3章 陸軍大学校とメッケル
第4章 参謀本部の初陣―日清戦争
第5章 問われた陸大の真価―日露戦争
第6章 衝撃と迷走―第一次世界大戦
第7章 石原莞爾の挫折―日中戦争
第8章 組織が生んだ狂気―大東亜戦争
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の -
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[ 内容 ]
「愚かな戦争」は「愚かな政治家」が起こす!
日本軍の敗因を前著『参謀本部と陸軍大学校』で喝破した著者が、戦史から導いた「戦争回避」の原理。
[ 目次 ]
第1講 地政学と大戦略
第2講 二一世紀への地政学
第3講 ナポレオン戦争とクラウゼヴィッツ
第4講 第一次世界大戦とリデルハート
第5講 第二次世界大戦と絶対戦争
第6講 核の恐怖下の戦争―冷戦
第7講 冷戦下の制限戦争とゲリラ戦
第8講 二つの新しい戦争―イラク戦争
第9講 アジア太平洋の戦争学
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆ -
Posted by ブクログ
日本はなぜ太平洋戦争へと突き進んでいったのか?陸軍、関東軍の暴走というのはよく言われている。ではなぜ陸軍がそうなってしまったのかを、陸軍の士官を養成する陸大の教育の分野から問い直している。その対象は広く、陸大・参謀本部の成り立ち、関係性や海軍、政府との関係について詳細に説明されている。また私が今まで勉強して来なかっただけだが、太平洋戦争に至るまでの動きが細かく書かれていたので、勉強になった。
人材教育の重要性と難しさは企業や現在の義務教育の場面にも当てはまると思った。また何を教えるかとはどんな人材を作るかであり、それは数十年後の日本や世界のビジョンをきちんと描かれていなければならず、今の日本に