井上理のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
任天堂がDSとWiiを発売するあたりの時期がフォーカスされています。
DS発売前の64とゲームキューブはSONYのブレステーション勢に負けており(業界では10年戦争と言われているらしい)、任天堂が再起を図るための一手がDSとWiiだったようです。
当時、ゲームの性能(画質や複雑さなど)を上がる勝負になっており、特にMicrosoftもXboxで参入し、三つ巴の乱世。
ただ、任天堂はある違和感を抱いていたとのこと。それはゲーム人口の減少。ゲームは子どもや一部のゲーム好きで、少ないゲーム人口というパイの争いだったとのこと。
そこで、DSもWiiも今までのゲームとは異なる視点を入れ、ゲームをやっていない、昔やっていたが辞めてしまった世代の掘り起こしに着目。そのため、DSのようなタッチパネルやWiiの振って遊ぶ直感型にシフト。更に、DSは「大人の脳トレ」で大ヒット。ゲーム層を増やす仕組みが仕込まれており、これはすごい発想の転換だと、読むことで、任天堂の戦略に感嘆しました。
相当な発想の転換が必要だと思うし、それを成し遂げたことがすごいと思います。どんな業界・分野でも難しいと思いますが、そのような努力をしている企業がおそらくトップランナーとして走り続けているでしょうし、そんな日本企業が少しでも多く増えると良いなと、勝手ながら期待しました。
また、個人的にはswitchは携帯ゲーム機と据え置き型ゲームの両方を兼ね備えており、特に衝撃でした。ただ、企業側の視点で考えると、携帯ゲーム機と据え置きゲームでそれぞれ儲けていたものが1つのジャンルになることにより、儲け度が減ってしまうデメリットもあるのではないかと思い、ここの話を聞いてみたいとも思いました。
最後に任天堂のプライドを感じた部分を紹介して終わりたいと思います。
『任天堂が自分たちは生活必需品ではなく、役に立たないモノを作る娯楽屋だからこそ、ネガティブな要素を徹底して排除しなければ将来はないと考え、お客に対してひたすら、丁寧に振る舞ってきた結果でしかない。
言い換えれば、お客に気持ちよく遊んでもらえなければ、すぐにそっぽを向かれてしまう娯楽屋であることの宿命を真摯に受け止め、愚直に「役に立たないモノ」を作り続けたことが、結果として「強さ」や「名声」を生んだのである。』 -
Posted by ブクログ
ゲームは常に高性能・高品質に向かって行った。
しかし任天堂は性能を高める方面に向かなかった。
「ゲームの人口拡大」が目標であった。だからこそ、家族に嫌われないゲームを目指した。それがWiiである。
そして優れているところが、自分ができないことは他の企業に任せる。
任天堂が何でも屋になってしまうと個性が失われる。WiiやDSにおいて、様々なプラットフォームを作り情報端末としての機能を有したが、そのまま多方面に事業展開をせず、常に娯楽事業に留めたことが今の任天堂につながっている。
そんな任天堂イズムを読み取ることができる。この考え方はゲームに捉われず、あらゆるものづくりに応用できよう。 -
Posted by ブクログ
日本を代表とし海外でもゲーム業界において絶大な存在感をもつ任天堂。そんな日本のカルチャーを世界に発信している大企業の秘密を知りたくなり手に取る。
任天堂の発展・成功に貢献した4人の社員さんにフォーカスしながら彼ら一人一人の功績を中心としながらもそれらが関連をもち、また成功・失敗したのはなぜか、それらの理由などを任天堂の企業風土が持つ娯楽至上主義な点を絡めていて
個人的にめちゃくちゃおもしろかったです。
他の競合であるソニーやマイクロソフトなどが高画質など圧倒的な技術を追い求めたのに対し、任天堂は理念としてお客様を楽しませることを第一主義としそれを追求した上で必要な技術を応用していく点が差別化を生んでいることに関して非常に関心をもった。
エレクトロニクス産業は日本が誇っていたハード産業であるが、任天堂はそれとは一線を画し「どうしたら人を湧かせられるか、どうしたら受けるか」といったソフトの概念によるハードの選択が行われており、他のエレクトロニクスが海外での地位を落とす中、今も任天堂が海外でも評価され続けている秘密が企業コンセプトによるものであることを知り、とても感動した。
岩田社長が他の産業に手を伸ばすことをしなかったことにもその企業使命が表れており一貫した姿勢がとてもかっこいい。
任天堂が120年近く存続し続けているのは、自分達のやるべき軸を明確にもっていたから、時代の変化に対応したプロダクトを作りそれがインパクトを与えている要因だからであること。
歴史上にも、娯楽などの文化は法律や政治によって弾圧されていくものである。
そういったなかで娯楽業界に対するイメージはあまり社会貢献の度合いとして軽視していた感をずっと持っていたのだが、
自分の将来を考える上でこういったアイデアを輩出しつづけるのか、
またそれとも技術を活かしてプレゼンスを高めて行くのか
そのどっちのプロセスが楽しいかということと、自分がやりたいことをどう上手く組み合わせていけたらいいかというヒントを得られ、とても満足しています。
アイデアと企業理念、それを一貫して行い続けられる人。
素敵です。 -
Posted by ブクログ
枯れた技術の水平展開は、娯楽産業だけでなく嗜好品マーケットへの切り口にも使える
これだけモノが溢れているんだから、溢れたモノの見せ方違い、応用活用も立派なイノベーション
・納得ができないものを商品として世に出すことが、ただ耐えられない
「ティンクルポポ」→発売直前に中止→1年後「星のカービィ」
・「一つのテーマにちて長くしつこく考え続けることが大切で、考え続けていることの蓄積の量が、ヒットを生んでいる部分というものもあるんだなと、私は思っています(岩田)」
・潤沢なキャッシュをM&Aなどの巨額投資には振り向けず、一定額を貯蓄しつづける資本政策を貫く
→失敗した時のダメージが大きい
→稲盛和夫「土俵の真ん中で相撲をとる」に近い思想
・「本来、娯楽って枯れた技術を上手に使って人が驚けばいいわけです。別に最先端かどうかが問題ではなくて、人が驚くかどうかが問題なのだから。」
・娯楽産業:人間が生きるために必要なモノを扱うわけではないので、喜びや驚きがないと見向きもされないし、わかりやすく快適でないとそっぽを向かれてしまう。
・任天堂:人生一寸先は闇、運は天に任せ、与えられた仕事に全力で取り組む
-
Posted by ブクログ
リーマンショックに世界中が沈む中、対象的に力強く成長を見せた企業、任天堂。
2009年3月期の売上高は過去最高の1兆8,200億円、営業利益は5,300億円を見込み、トヨタを抜いて国内首位に躍り出た。
しかしながら、その経営の秘密を滅多に明らかにしないのが任天堂である。
任天堂だけが持つ独自の哲学、その源流について、貴重な会談や取材を通して集めた情報に基づき、明らかにしていく書籍である。
幼い頃から何の気なしに触れてきたビデオゲーム。
スーパーマリオやドンキーコング、星のカービィなど、今でも印象深いキャラクターを生みだした企業である任天堂は非常になじみ深い存在です。
その反面、任天堂がどのような企業かと言われても満足な答えを用意することは難しい。
「娯楽に徹せよ、独創的であれ」
人々に笑顔を提供するために活動している企業の普段表に出ない努力や苦悩の姿が、現社長である岩田さんをはじめとする関係者の言葉からにじみ出ています。
任天堂という会社のエッセンスが詰まった、読んでいて引き込まれる本です。 -
Posted by ブクログ
○結果のために正しいと思うことをしたのではなく、正しいと思うことをしたら結果がついて来たからである。(中略)だから、正しいと思うことが市場のお墨付きを得て、予想を上回る結果が出たとしてもそれに慢心したり、戦略を変更することはしない。言い換えれば、調子に乗ることはない。(78p)
○枯れた技術の水平思考(185p)
○「失意泰然、得意冷然」-山内が掲げる座右の銘である。運に恵まれない時は、慌てず泰然と構え努力せよ。恵まれた時は、運に感謝し、冷然と努力せよ。(256p)
★岩田聡さん、宮本茂さんがどのようにDS、wiiで巻き返したか、横井軍平さん、山内 溥さんがどのように任天堂を世界的企業に押し上げたか、よく分かる。
2009年、強い任天堂が復活した頃の出版だが、最後の章にスマホの影がもう見えている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[読んだ理由]==================
「スミスの本棚」で紹介があった。放送作家の鈴木おさむ推薦。
[読んだ後の感想]==============
前半は、企業としての任天堂の最近の凄さを延々と語られる。でも最近の任天堂はもう散々各所で語られ済みなので、あまり新鮮さ/面白さを感じなかった。個々人の半生にフォーカスが当たる後半から俄然面白くなる。前半は飛ばし飛ばしで、後半だけしっかり読めばいいんじゃないかな。
[備忘録]======================
■第一章:ゲーム旋風と危機感
■第二章:DSとWii誕生秘話
■第三章:岩田と宮本、禁欲の経営
■第四章:笑顔想像企業の哲学
Wiiを付けているテレビは市販のテレビより使いやすい。もう全部、テレビのコントロールをさせてくれたらいいのにって思うんですよ(笑)。家電屋さんはインターフェースという部分で何かをサボっている。でも僕らは、一番そこを真摯に考え、一番厳しい環境で戦ってきましたから。
■第五章:ゲーム&ウォッチに宿る原点
枯れた技術の水平思考:電卓を構成する成熟した部品や技術を応用するものの、全く違う目的や使い道の娯楽商品を作るということだ。
TVゲームにはアイデア不足の逃げ道があった。それがCPU競争であり、色競争なんです。そうなると、任天堂のようなゲームの本質をつくる会社ではなくて、いずれ画面作り、CG作りが得意なところがのしてくるだろうと。そうしたら、任天堂の立場はなくなってしまうんですね。
■第六章:「ソフト体質」で生き残る
大容量ゲームはダメ。そんなことをしていたら世界中のメーカーが潰れてしまう。重厚長大なゲームは飽きられている。ゲームビジネスの本質は、常に新しい楽しさを開発し、ひたすら完成度を高めていくことである。
■第七章:花札屋から世界企業へ
人生一寸先が闇、運は天に任せ、与えられた仕事に全力で取り組む。山内が定義した、任天堂の社名の由来である。
■第八章:新たな驚きの種
だんだんお客さんも刺激に慣れ、驚けなくなってしまった。驚けなくなるどころか、ひと通り味わったら「ああ、底が割れた」と思うわけです。底が割れるとお客さんは、もう遊ばないとか、中古屋さんに売ってしまおうとなりやすくなる。
UGC(User Generated Contnts):「素人」が次々と作る作品の内容は予測不可能であり、何が出てくるかわからない玉手箱のよう。簡単には底が割れない持久力が有る。