正木晃のレビュー一覧
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仕事(授業)準備で流し読みをしただけですが、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教・仏教の各宗教が、どのように「暴力(殺人/(宗教)戦争)」を是認してきたのか、その歴史と背景を丁寧に解説した本でした。
文章は非常に読みやすく、高校生から十分に理解できると思います。
愛や平和を語る宗教同士が、なぜ争い続けるのか。
どうすれば解決するのか。
簡単に答えの出る問いではありませんし、本書にも解決策が示されているわけでもありません。
しかし、単純に世界史的な知識だけで争いの原因を見つけようとし、解決策を探るのではなく、それぞれの宗教の根幹にある「思想」や「性格」について把握しようと努めること、そして自身 -
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宗教学の先生が書かれた霊魂についての本。
オカルト的な事ではなく、世界の宗教の霊魂への捉え方も分かります。
宗教について、今までそんなに深く知ろうとはしなかったので、思いがけなく宗教に触れられました。私は霊魂の存在や輪廻転生はあると思っているけど、実家が入っている宗教は、認めていなかったとは知りませんでした。法事や仏壇を作った時のお坊さんの話は、だからそうだったのね、と腑に落ちたりもして。
語りが穏やかで、かつ真面目な内容で、オカルトを求めると物足りなく思うかもしれませんが、
霊魂を考えるにあたって、良本だと思います。
宗教についても、もっと知りたくなりました。
お盆だったので、この機会に読ん -
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11世紀のチベットで並外れた呪力で密教界にその名を轟かせたドルジェタクという人物がいた。本書はその生涯と伝承をたどることで彼が信奉したチベット密教の原像に迫る。学術的な内容にも関わらずこんな面白い世界があるのかと興奮した読んだ。オウム真理教の一連の事件をリアルタイムで体現した人にはドルジェタクの行為はどうみても麻原彰晃を想起するだろう。著者の正木氏はそのことを意識しており、オウム真理教のテロ行為や教祖麻原の性的イニシエーションをオウム(麻原)固有の要素ではなくもともとチベット密教に内在的に孕んでいた問題とみなし、学者としてはかなり踏み込んだ筆致で批判的検討を加えている。
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「いま知っておきたい霊魂のこと」。霊魂があるって認めた方が生きやすいのではないのでしょうかという問いかけと、そういう生き方のおすすめの本です。
霊魂を信じないことが知識人の証と思っている人は是非この本を読んでいただきたいと思います。
読んでみた感想から申し上げますと、霊魂を中心に宗教をかたるとなんとわかりやすいことかということです。
本当はこれが当たり前のことなのです。宗教の成立はもともと不可知なものとの交信から始まっていると思っています。大昔の人の気持ちになってみれば、生きていくということにとって大事な事は何かと考えてみれば、食物を探すこと、身の安全を図ることです。そして、寒く暗い夜は -
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霊魂に対しての考え方が
宗派によって違う、
戒名の話もまた興味深い。
「戒名は仏教の登録名、現世における
人間像を一旦消去して仏教上の
新たなキャラクターを与えるという意味。
生前にその人の意向にもとづいて
戒名を授かるのご正しい手順。」
父の戒名がなんかしっくりこなくて
うーーん、なんか違う感じ、と思ったので。
金額や文字数やどんな漢字が入っているかとか
色んなことを話してたけど、
じゃこのくらいね、みたいな感じで決まったかな。
私の死後、変な名前(しっくりこないもの)
つけられたら嫌だな、とちょっと考えた。
えーーそれやだ、って言えないし。
また良いお葬式と悪いお葬式について
参列者の -
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教科書で習った歴史を思い返すと、そこには暴力と手を携えてきた宗教の姿がある。
平和や愛、慈悲や心の平穏を説く宗教が、暴力と縁が切れない理由はどこにあるのか。
代表的な宗教と、戦争や殺人の関係について書いた本です。
愛や平和や心の平安を説いているはずなのに、宗教が暴力と密接に繋がっている理由はどこにあるのか。教典の中にそもそも暴力や殺人を是とする論理があるのか。もしくは、どのような理論で暴力を肯定しているのかを解説しています。
例えば、ある宗教は邪教徒、多神教徒は殺しても良いと書かれていたり、またある宗教はたとえ誰かを殺したとしても、殺した自分も殺された相手も実際には存在していないのだから -
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密教の曼荼羅や法具についての解説をおこなうとともに、日本に密教をもたらした空海の生涯と思想を解説している本です。
密教美術についての解説が中心だと思って手にとったのですが、空海を中心に密教の思想について広く説明がなされており、一般の読者向けの密教入門として読むことのできる内容になっています。とくに密教では、さまざまな法具を用いた儀軌が重視されるので、本書のようなスタイルの入門的解説書は役に立つのではないかと思います。密教美術に関心の範囲がしぼられているという読者のばあいは、やや古くなりますが佐和隆研の本などを手にとるべきなのかもしれません。
多少気になったのは、密教を仏教の他の宗派に比して -
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ネタバレ奈良仏教系
法相宗:唯識曼荼羅図または弥勒菩薩:慈恩大師基、道昭:奈良興福寺:実在するのは私達の心、唯識のみとし深層意識の阿頼耶識が迷いと悟りの根源であり、ヨガ修行によって体得することを目指す。
華厳宗:盧舎那仏:法藏、道璿:奈良東大寺:華厳経が説く、壮大かつ多層的な蓮華蔵世界。一即多、多即一のあらゆる事象が互いに混じり合い転変している。
律宗:盧舎那仏:道宣、鑑真:奈良唐招提寺:信者・僧のための戒律を重視。日本仏教では戒律が軽視される傾向にある。
密教系
天台宗:多数:慧文、最澄:大津比叡山延暦寺:法華経を尊崇。諸法実相でありこの世はあるがままの姿、万人成仏であり万人がいつかは成仏できると説