あらすじ
宗教の本質がわかると、戦争と紛争が絶えない世界がわかる!
平和、愛、慈悲などをうたい、人を救うのは宗教である。だが同時に、暴力やテロ、殺人を犯すのも宗教である。一向一揆、十字軍など、洋の東西、時代を問わず、宗教は戦い、人を殺してきた。平和、愛、慈悲をうたう宗教が暴力と縁が切れないのはなぜか。宗教はやむなく戦い、人を殺してきたのか。それとも宗教のなかに暴力や殺人を肯定する論理や構造があるのか。宗教学者がイスラム教、ユダヤ教、キリスト教、仏教を横断的に考察し、知られざる宗教の実像に迫る!
【本書で扱う事例】
▼神とモーセによる暴力に満ちた『旧約聖書』
▼「多神教徒は殺してしまうがよい」と定めるイスラム教
▼ヒトラー暗殺計画に加担した高潔なキリスト教神学者
▼「空」の理論が殺人肯定を導く仏教 など
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Posted by ブクログ
仕事(授業)準備で流し読みをしただけですが、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教・仏教の各宗教が、どのように「暴力(殺人/(宗教)戦争)」を是認してきたのか、その歴史と背景を丁寧に解説した本でした。
文章は非常に読みやすく、高校生から十分に理解できると思います。
愛や平和を語る宗教同士が、なぜ争い続けるのか。
どうすれば解決するのか。
簡単に答えの出る問いではありませんし、本書にも解決策が示されているわけでもありません。
しかし、単純に世界史的な知識だけで争いの原因を見つけようとし、解決策を探るのではなく、それぞれの宗教の根幹にある「思想」や「性格」について把握しようと努めること、そして自身で考え続けることは辞めてはならないと思います。
Posted by ブクログ
教科書で習った歴史を思い返すと、そこには暴力と手を携えてきた宗教の姿がある。
平和や愛、慈悲や心の平穏を説く宗教が、暴力と縁が切れない理由はどこにあるのか。
代表的な宗教と、戦争や殺人の関係について書いた本です。
愛や平和や心の平安を説いているはずなのに、宗教が暴力と密接に繋がっている理由はどこにあるのか。教典の中にそもそも暴力や殺人を是とする論理があるのか。もしくは、どのような理論で暴力を肯定しているのかを解説しています。
例えば、ある宗教は邪教徒、多神教徒は殺しても良いと書かれていたり、またある宗教はたとえ誰かを殺したとしても、殺した自分も殺された相手も実際には存在していないのだから殺人は成り立たないと説く。
元々軍事的な色の強かった宗教の他にも、暴力的な要素は少なかったにも関わらず、都合のいいように解釈されたり、都合よく捻じ曲げられたりした様々な宗教の姿がそこにはあります。
簡単に解決できることではないですが、現在の社会問題などを理解する一助にはなるかもしれません。
文章も読みやすいと思いますのでお勧めです。