白戸圭一のレビュー一覧

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    ★アフリカ好きなんだが★2100年には人口上位10か国の半数がアフリカの国(ナイジェリア、コンゴ民主共和国、タンザニア、エチオピア、ウガンダ)になるという予想は全く知らなかった。たかだか80年後に全く違う地勢が待っている。ただアフリカの日本にとっての重要性はなかなかぴんと来ない。経済発展はしているし、固定電話を通り越して携帯電話が一気に普及するなど新しいビジネスが生まれていることは理解できても、経済規模からしても日本からはやはり遠い。著者が力を込めれば込めるほど、「アフリカ専門だからでしょ」となってしまう。

     そのあたりを結果として冷徹に示すのが、アフリカ専門ではない篠田英朗氏が著者との対談だ。日本がアフリカとかかわる有効性について、遠いアフリカだからこそ中国や韓国と一緒に援助することで仲良くなれる、といった内容を述べる。本書の趣旨からするとなんとも皮肉だ。いっそのこと、アフリカ「から」見るに特化した方が読みごたえがあったのではないか。

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    2020年02月25日
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    アフリカに関する様々なトピックを扱った本で、アフリカと日本の関係に関するものが多くて参考になる。個人としては、広大なアフリカを一括りにして論じてしまうのは安易な発想であると思っているが、本書はタイトルに「アフリカ」が入っているものの論じられている内容は各国ベースなので、現実に沿っていると感じた。アフリカ各国の現状を知る入門書として良いと思う。日本には日本語でアフリカの実情を伝えるメディアは少なく、いかにアフリカは日本人にとって地理的にも精神的にもリモートな地域であるか実感する。
    気になったトピックは以下の通り。
    ・サブサハラでの人口爆発とその食料・飲料水の確保の切迫さ。農業の非効率性。2050年には40億人がサブサハラに。
    ・人口増加による世界に対するるレゼンス向上に加え、国連加盟国の約4分の1議席を占めている現状を鑑みれば、アフリカの重要性がわかる。
    ・しかし、アフリカ人にとっても日本はリモートな国。旧宗主国・中国・インドのプレゼンスは高い。フランス600億ドル、アメリカ500億、中国400億(2000年代から台頭)の投資に対し、日本からは90億。ODAを頑張ってきた背景はあるものの、今や日本の援助は無くても事足りる状況。
    ・エチオピアは注目国。CAGR7%。資源依存ではなく、工業国として発展してきた経緯にあるから。人口も1億人突破。2018年に最年少首相となったアビー首相の活躍。隣国エリトリアとの和平を進め、海へのアクセス獲得
    ・アフリカ・スキーマ。先進国の一般の人に蔓延しているアフリカ観。民族間による政治対立軍事対立が多い、未開で野蛮な文化、未熟な政治体制社会基盤。
    ・中国の影響力。一帯一路構想の終着点。アフリカ東端のジブチに軍事基地。インド洋へのアクセス上重要な交通の要衝。日本の常任理事国入りを目指した際も、日本の水面化交渉によってAUの代表までは押さえたが、中国の影響を受けたアフリカ各国(特にジンバブエ・ムガベ大統領)によって阻止された。
    。ナイジェリアのテロ。女性子供を使った自爆テロ。幼い子供のリュックに爆薬を入れ、周囲の警戒心を解いての自爆。
    ・南アでのXenophobia。Moz、ジンバブエなどの周辺国労働者が南アに流入(特にマンデラのアパルトヘイト解放以降)。南ア黒人最底辺層の仕事が奪われる事態になり、外国人労働者(黒人)への襲撃が始まった
    ・アフリカ人を日本に留学生として三年間で1000人招く政策を行なっている。しかし、その後の就職先がなく帰国してしまう。
    →日本の企業はアフリカに限らず、優秀な留学生の登用を進めるべき。日本企業の海外戦略において重要な役割を発揮するはず。

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    2020年02月09日
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    アフリカの歴史、アフリカの現状、日本のアフリカとの関わり、そしてこれから日本はアフリカとどう接していくか。アフリカに関する知識が少し深まった。これからも関心を持って注目していきたい。

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    2019年11月09日
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    日本人に馴染みがなさ過ぎて、数十年前の
    イメージがまだ一人歩きしているアフリカ。

    日本が対アフリカ交流に出遅れていることも含め、
    現状をわかりやすく描いている。

    2100年には世界の人口の三分の一が、
    サブサハラ(サハラ砂漠以南の国々)の人に
    占められている現実を
    みんなで考える必要がありそう。

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    2019年10月22日
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     アフリカから見える日本の視点を通じて、日本に警笛を鳴らすものとして受けとめた。アフリカへの入口になる一冊ではあるが、各論への広がりはそれほどのところはない。むしろ、日本への警鐘だろう。
     その意味ではアフリカだけに限らない論点に溢れている。そもそも東アジアの中にあっても戦略をたてられない日本が、アフリカへ出ていってうまくいくなどと考えることではない。
     自己満足と偏見、時代遅れの視点、これらを克服できるかどうか現状では悲観的なのだが、もし乗り越えられる時が来たとき、本書は真の意味でその意味を持つだろう。

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    2019年09月23日
  • ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

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    この本を読んだら、この豊かな日本で格差社会到来などと騒がれていることが戯言のように感じられてくる。
    アフリカの大地における壮絶な現実。

    著者は、南アのヨハネスブルク特派員として2004年から4年間を過ごした、毎日新聞社の現役記者。
    1970年生まれということで、自分とほぼ同世代です。

    南アといえば、来年のFIFAワールドカップ開催国。
    先日も日本代表が訪れて、南ア代表とテストマッチを行いましたが、その治安の悪さについては、いろいろと噂に聞くところ。
    第一章では、そんな南アの治安について、犯罪者・被害者双方へのインタビュー取材などを通じて生々しく伝えられます。
    これだけでも想像を超えた悲惨な現実に驚かされるのですが、まだまだ序の口でした。

    第一章と第二章のナイジェリア編で伝えられるのは、まだ「犯罪」のレベルです。
    これだって日本じゃ考えられないような現実なんだけれど、第三章のコンゴ、第四章のスーダンになると、もはや「犯罪」を超えて、「内戦」「虐殺」となっていきます。
    政府自らが村々への虐殺行為の後ろ盾となったり、隣国の反政府勢力と結んだり、映画「ホテル・ルワンダ」や「ブラッド・ダイヤモンド」で描かれていた世界がまさに現実なんだということを思い知らされます。

    そして、第五章の「ソマリア」に至っては、「無政府」。
    著者は命を賭してソマリアの首都モガディシオに二度にわたり取材のため訪れるのですが、「無政府」とはどういうことなのか、交通法規も警察もない国家を身をもって体験します。

    著者は、この貧しく悲惨なアフリカ諸国の状況と、豊かな先進国の間の関係を、「資源」というキーワードで読み解きます。
    ここで紹介される諸国は、ソマリアを除き資源国。
    欧米や中国の資源メジャーがアフリカ諸国の貧富を拡大させ、資源の盗掘が武装勢力の資金源となる。
    一方で、日本に住む我々は、遠いアフリカの地で発生している内戦や虐殺のニュースなど気にも留めない。

    それにしても著者がアフリカ特派員生活で繰り返した、決死の取材の数々には驚かされます。
    犯罪集団や、武装勢力のリーダーへの命を賭したインタビュー取材。
    時には、密入国という手段で国境を超え、内戦の渦中にある地域に潜入する。
    大手新聞社の記者といえば、記者クラブでぬくぬくとしているイメージだったけど、そのイメージをよい意味で壊された。
    といっても、著者は今は帰国して政治部記者として民主党を担当してるらしいんですが…

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    2019年01月06日
  • ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

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    毎日新聞の元ヨハネスブルク特派員による本なので、掲載当時の紙面で読んだことのある内容もあった。それだけ紙面でも印象的だったわけだが、ここでは記者の取材苦労話も含めて掘り下げられている。

    統計面ではGDPが伸びていてもそれは資源輸出が伸びているだけで、その金は権力者の懐や軍事費に回ってしまい、足元のインフラや医療はグダグダの資源国(コンゴ、スーダンなど。ナイジェリアもそうか)。マクロ経済だけでは推し量れない、ガバナンスであるとか、国民の文化みたいなものの重要性を感じる。それを突き詰めると、ダルフールの虐殺、コンゴの内乱のようなことが何故起こるか、となる。原因は複合的なように見えるが、ひとたびタガが外れると恐ろしい。

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    2018年11月05日
  • ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

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    すごい記者もいたもんだ。04−08のヨハネスブルグ特派員時代に紛争地域に潜入している。
    アフリカ50数カ国のうちサハラ以南の48カ国ということは地中海側以外ほぼ全てを一人でカバー丸々1年間は取材旅行である。

    普通は経済が発展すると治安は良くなる。アフリカでは軍部、政府や外資と結びついたごく一部だけが裕福になり一般庶民は貧しいままで貧富の格差がそのまま犯罪や暴力につながっている。中国がアフリカの資源に手を伸ばしているがそうそう日本のサラリーマンが手を出せる世界とは思えない。筆者自身も娘が遊びに行った同級生宅で強盗に遭っている。

    南アフリカ
    アフリカで最も経済が発展しているが殺人事件は未遂を含め111件/10万人で日本の110倍で統計がある国の中ではおそらく最悪。WCを控えて通常は含める未遂件数をのぞいて発表していたらしい。ジニ係数でも世界一を争っている。アパルトヘイトの崩壊後の混乱に乗じて外国から組織犯罪が入り込み国際的な犯罪の中継基地になるとともに国内では小規模な犯罪組織が数多く生まれた。アフリカの中では最もインフラが整備されているが国境警備は甘くアフリカ各地の犯罪者を引きつけるだけの経済力もある。

    ナイジェリア
    2006年南アに滞在する10万人のナイジェリア人のうち合法的な滞在許可を持つのはわずか4千人とナイジェリア人が組織犯罪を輸出している。なかでも金融詐欺と麻薬が大きい。オランダでカリブのオランダ領からのナイジェリア人乗客増加を調べたところ83人中63人が麻薬所持をしていた。06年北米でオンライン取引を行う上で最も危険な国のアンケートで31%がナイジェリアと2位のロシア(9%)を大きく引き離した。石油の産出は地元を潤わさずむしろ漏れだした原油が農業と漁業を破壊している。政府と石油企業に宣戦布告した住民運動には真面なものもあったが弾圧され、現在活動している武装組織は石油の密売組織である。04年にシェルが盗まれた石油は1日5万バレル。また国別腐敗調査で01から4年連続1位であった。

    コンゴ民主共和国
    90年代後半からの内線の後06年に和平合意と大統領選が行われたが国内には武装勢力が乱立し実行支配できていない。特に東部はルワンダ大虐殺の加害者フツ族が移住しコンゴ政府・フツ系ルワンダ人対ルワンダ政府・コンゴ国内のツチ族組織の対立から政府間が和解し反政府組織掃討作戦が進んでいる。豊かな鉱物資源を持つコンゴの武装勢力の資金源は不法採掘と密輸であり政府の混乱状態の維持を望んでいる。そしてそのために全く無関係な住民を虐殺していた。

    スーダン
    今も続いているダルフール紛争では2百万人を超える避難民が発生し史上最大の人道危機と呼ばれている。政府軍と政府系民兵そして反乱を起こした反政府組織のいずれもが住民を虐殺していた。政府軍と民兵が優勢になった後も住民を標的とし続けた理由は反乱軍の兵站を根絶するためらしい。予算の2/3が国防、警察などに使われているがそのための資金の出元は石油の輸出で中国との結びつきが強い。武器も主に中国から輸出されている。しかし07年統計では輸出総額の82%をしめる中国に続いて日本は8%と2位なのだ。

    ソマリア
    世界の脅威となった無政府国家。スエズ運河の出口アフリカの角に位置し海賊対策が1年延長になったニュースがちょうど流れた。映画ブラックホークダウンの舞台でもある。無政府状態が続いておりソマリア経済は海外に移住したソマリア人からの送金で成り立っている。地下資源も貧しく産業もない。ここにつけ込んだのが反米をうたうイスラム原理主義組織でアルカイダの拠点になっている。すごいのはこの無政府国家の最も危険な街にある携帯電話会社に中国企業が進出して8人の技術者を派遣していること。リスクを考えればとてもできない。

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    2013年02月19日
  • ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

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    資源価格の高騰に伴い今後の成長拠点として注目されるアフリカ。その一方、テロや暴力の渦巻く貧困大陸としてのアフリカ。本書は丹念な取材に基づき、アフリカの影の部分を明らかにした努力作。南ア、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、スーダン、ソマリア、アフリカの抱える闇は限りなく深い。貧困削減がテロや暴力を失くす開発に伴い貧困は削減され、テロや暴力も減少すると信じるものの、現実はあまりに厳しい。ナイジェリアでは、石油の開発は地元住民に富をもたらすどころか、むしろ収奪が行われた。スーダンでも石油利権がダルフール紛争における人権侵害に結び付いているといわれている。しかし、テロや暴力の削減に結びついていないといって開発への歩みを留めることが適当なのか。答えはノーと確信するものの、具体的な処方箋を提示することは難しい。すべての道のりは試行錯誤の連続であり、開発に携わる者には常に覚悟が求められることを忘れてはならない。

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    2011年08月21日
  • ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

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    著者は毎日新聞のヨハネスブルク特派員だった2000年代中盤の4年間ほどで、アフリカの暴力の根源に迫ろうとする。

     ロバート・ゲストは「アフリカ 苦悩する大陸」で、「アフリカの苦悩は、環境や歴史に起源するものではなく、腐敗した「政府と行政」にある。」と書いたが、白戸のレポートは、根源のところは、というか始まりはやはり列強の植民地支配であり、いまだに先進国、あるいはすでに覇権国家となった中国の思惑こそが主たる要因であることを暴いていく。僕らの生活だって、それとは無縁ではないというか、石油や資源を通じて、コミットしているのである。

     「暴力の洪水は、資源開発ブームに沸くアフリカの広い地域で顕在化している問題である。アフリカ最大の産油国ナイジェリア。コバルトや金などの宝庫のコンゴ民主共和国。石油増産に沸くスーダン。机上でマクロ経済の数値を調べれば「好調」としか言いようのないこれらの資源国で、武装組織が結成され、人身売買が横行し、住民虐殺が行なわれている。」

     これらのことと、今僕らが生きているということが決して「無縁」ではないということが明らかになる。やっぱり僕らは、それらの上に今生きているのである。

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    2010年11月07日
  • ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

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    著者は毎日新聞の記者で、2004年から2008年にかけて南アのヨハネスブルクに特派員として駐在していた。ヨハネスブルク特派員はサハラ砂漠以南の国を全て担当することになっていたらしく、南部アフリカ各国を精力的に取材してまわっていたようである。本書は、著者のヨハネスブルク時代の記者経験を基にした、南部アフリカ各国(南ア、モザンビーク、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、スーダン、ソマリア)に関するレポである。題名の「ルポ資源大国アフリカ」、および、副題の「暴力が結ぶ貧困と繁栄」が示すとおり、問題意識は、これら各国は豊富な地下資源が眠る国であり、実際にそれら資源の開発も始まり、収入が入ってきているにも関わらず、なお、貧困が存在し、その貧困がこれらの国々の現状−それは暴力と犯罪と内部抗争であるが−を生んでいるのではないか、というものだ。筆者自身が述べているように、筆者は、あえて、これらの国々の負の側面にのみ焦点を当ててルポをまとめているので、読後感はこれらの国々の悲惨な現状へのショックが第一であった。例えば南アフリカ。アパルトヘイトで悪名高かったこの国は民主化し、マンデラ氏が大統領となった。地下資源にも恵まれているこの国の将来は暗いものではないと思った人も多かっただろうが、事態は全くそういう具合には進んでいない。むしろ貧困層が増えて、スラムに住む人口が爆発的に増加しそこで生活に困った人たちが犯罪を起こすという構造がある。また、資源が出ることにより国全体としては裕福になっているわけで、周辺の貧困国から流入してきた外国人が、個人であるいは組織的に犯罪を犯す構造もある。実際に統計上、南アの殺人事件発生率は日本の40倍という驚異的な数値を示している。民主化後、少なくとも表面上は人種差別がなくなり、実際に豊かな生活を営む黒人層はそれまでとは比較にならないくらい増加しているようである。が、アパルトヘイト時代に学齢だった人たちは、まともな教育を受けておらず、そのため、仕事が知識化・グローバル化した現状においては、なかなか良い仕事にありつけず、失業率も高止まりしている。この本の中でレポートされている他の国の状況も似たり寄ったり、あるいは、もっとひどいところばかりである。ショックを受けたのは、そういった現状に対してということも勿論であるが、一読、解決の方法を全く思いつくことが出来ないことである。例えばソマリア。文字通りの無政府状態が続いている。国連のPKO活動も今のところ目だった成果をあげていないし、今後成果をあげられるかどうか分からない。海賊退治のために日本を含め、各国が協力して対策にあたっているが、それは海賊という具体的な目標に対する対処療法であり、ソマリアという国自体を良くすることとは全くと言って良いほど関係がない。もちろん、ソマリアという国に自浄作用があるとは考えられない(あればもう少しはまともな状態のはずだ)。本件は、もう少し色々と本を読んでみようと思う。

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    2011年07月25日
  • ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

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    悪評高い毎日新聞に、こんなに優秀なジャーナリストがいたのかと驚いた。(笑)(もちろん、ある程度はこういう記者がいるのだろうが)
    アフリカの現状について、ここまで詳細な現地目線の情報を知ることができる本はあまりないので、アフリカの貧困について知るのにピッタリの本です。
    資源大国アフリカという題名だが、副題にある通り、飽くまで資源についてではなく、資源がもたらした富による弊害が取り上げられているのだが、想像以上であった。
    マクロ目線では、経済成長率や豊富な資源などポジティブな報道も増えてきてはいるが、富をもたらす筈であった資源は市民には配分されず、一部の富裕層が独占しているだけでなく、暴力を生みだしていることがとても皮肉だ。
    先進国の国民としてその資源を享受しているだけにとても複雑な心境だ。
    ソマリアのように政府が崩壊した国に先進国は何ができるのだろうか。腐敗した政府に国際機関や他国が何ができるのだろうか。
    その中でも必死に生きている市民が報われる日は来るのだろうか。

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    2010年02月06日
  • はじめてのニュース・リテラシー

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    記者経験者によるメディアリテラシーの入門本。一つ一つは事実でも全体として実態と異なる像を結ぶ伝え方があること、これが見破られた時の信用失墜などは自分自身にも関連することだな。記者経験(在外経験あり=国内で高い評価を得た)があるので、メディアの内側事情の紹介もあり。情報が多すぎると処理できない、少なすぎても処理できない。少な過ぎないようにメディアを守り育てる必要がある一方で、メディアからの情報を吟味する力(とりあえず、すぐに反応しない、くらいから)を持たないと不本意に誘導され、加害者や被害者になる可能性がある。情報処理のコストが高いので信頼を得るメディアをAIで作るといい気がする。失敗も全て公開して。人は失敗を隠すし、忘れてしまうから。

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    2023年10月03日
  • はじめてのニュース・リテラシー

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    ネタバレ

    誰でも情報発信できる時代の情報との付き合い方。

    なぜフェイクニュースや陰謀論に振り回されてしまうのか。それはそのニュースが「事実」かどうかを評価するのがとても難しいことだからだ。著者は若い読者に対して情報との付き合い方を伝えようとしている。なるべく一次情報に近いものを得ること、発信元を確認すること、明らかになっていないことに注目すること、未確認情報を適切に扱うことである。

    情報の信頼度を評価するには、発信元を意識し、明らかになっている発信元について調べてみる必要がある。匿名の情報は確認が取れないという面で信頼に欠ける。もちろんインターネットの発展が、自由な発信を保障し、それまで報道の自由がなかった世界に風穴を開けて民主主義の背中を押したのは評価される一面である。でも、匿名の発信に責任はないのだ。そこで人はどんな暴走もできてしまう。

    しかし事実を元にしたからと言って、真実が伝わっているかというとそうでもない。たくさんの事実の中からどの事実を選び出すかで伝わる全体のストーリーが変わる。特にマスメディアには何を報道するか、記者の判断や会社としての判断が関わってくる。読者が求めている(と思われる)情報を伝えようとしても、それが実際の読者の感覚とズレていることもある。また、メディアの特徴によって選ばれる情報が変わることも、伝わるメッセージが変わることもある。

    著者はインターネットが悪いとも、マスメディアが悪いとも言っていない。トランプ大統領や新型コロナウイルスの話題を取り上げ現在に着目しているが、著者が重要視しているリテラシーはそれほど新しいものでもない。発信元の確認、伝達経路の意識、明らかにされていない部分や未確認の情報への想像力、これらは普遍的なリテラシーであると思う。

    ただ、以前の知りたいことも知りたくないことも一定の情報を与えられるマスメディアにニュースの入手を頼っていた時代には、業界人にはともかく個人にここまで情報リテラシーは求められていなかった。しかし今は情報の発信も受信も個人が行える。だから個人がそれぞれ知的負荷の高い情報リテラシーを求められている。情報社会にももちろんメリットとデメリットがある。この時代を良いととるか悪いととるかは、どれだけ個人に情報リテラシーが浸透するかによるだろう。

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    2022年01月10日
  • はじめてのニュース・リテラシー

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    ネットだけじゃないけど、今ほど情報に満ち溢れ、かつ情報に振り回される時代はないだろう。殆どがガセの情報にもかかわらずだ。そしてこれはどんどんと加速している。
    では情報の信用度を評価するにはどうすればよいのか。
    これに分かりやすい指針を提示するもので、分かりやすいのもありがたい。ちょっとジャーナリズムを信用し過ぎだとは思うけど。あっ、著者は元新聞社の特派員か。しょうがないね。

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    2021年06月24日
  • はじめてのニュース・リテラシー

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    タイトルに関する部分は、終わりにと後書きだけ読めば十分。
    ニュースリテラシーについて書かれた本というよりは、筆者のこれまでの記者としての経験や、メディアの内情について書かれた本。
    記者やメディアの内情についてもまぁそんなもんだろうなという内容。

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    2021年05月30日
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    著者が思うアフリカの現状と未来について色々綴ってくれている。
    アフリカの巨大なポテンシャルに対し、日本の動きがあまりに鈍く、ガラパゴス的でこれでいいのか?といったメッセージがじわじわと伝わってきた。

    さて、視野を日本周辺から”世界”全体に広げて知識や情報を吸収しつつ、物事を考えていく時代に突入しているんだなと感じた一方、ネックは語学(英語)...、挫折したらそれで終了なので、もっと英語を頑張らなければとひしひし思いました。

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    2020年04月05日
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    ジャーナリストであり、アフリカの専門家でもある著者による、アフリカの話。アフリカでの出来事やアフリカ諸国の事情、考え方についての記述は精緻で、参考になった。日本のPKOの取り組みに対する指摘もそのとおりだと思う。
    ただし、アフリカの状況についての記述は素晴らしいものの、著者の意見はあまりに視点が低く、全体が見えていないと思う。国際政治と経済の知識に欠けており、世界の動きのメカニズムと現在の覇権争い、資本主義を中心とした市場主義の中で、各国あるいは企業を含めた組織が何を考え動いているかを理解していない。日本政府に対する批判も、狭視的で参考になできない点が多く残念。日本もアフリカばかりを見ているわけではなく、限られた予算とマンパワーをどこに向けるのか、プライオリティ付けをしているわけで、国内政治を含め検討した結果が現状ということだ。実際、不安定なアフリカは経済発展をしても、そのことがより不安定さを増すため、リスクが大きいと考えるのが自然であろう。
    「(アフリカの人口爆発)アフリカはまさに史上空前の「人口爆発」と形容するほかない。人口が爆発するサブサハラ・アフリカは、食料、若者の雇用機会、エネルギー、土地や水資源などの環境への負荷など様々な課題に直面するだろう。とりわけ対策が急がれるのが、人口爆発によって増え続ける胃袋を満たすための農業改革である」p17
    「(紛争の現実や国連の基準から遠くかけ離れた日本の自衛隊派遣・運用基準)紛争地の現実に正面から向き合おうとしない点では、野党のリベラル・左派勢力も変わらず、政権批判ばかりして理想を並べ立てるという点では、政権よりもその病は重いかもしれない」p159
    「世界の他の地域と比べると、アフリカに対する日本人の関心がものすごく低い」p173
    「(日中GDP差3倍)中国は、カップラーメンだけ持たせて飛行機借り切るような感じで人をアフリカに送っちゃったりする。一方で、日本だと相当に面倒な手間をかけている。そうなるとアフリカに入ってくるお金と人間の量が違って、それはGDPの3倍ではきかないほどのプレゼンスなので、申し訳ない話ですが、アフリカで中国と張り合おうというのは、現実感覚としては対等にはいかないですよ」p185
    「(国連PKO活動)マリや中央アフリカ共和国のほうがハードです。中国人はそういう場所で殉職しています。マリは南スーダンとは違って、アルカイダ系やIS系といったテロ組織もいるわけだから。中国人はちゃんとマリのMINUSMAを支えていますよ。ところが日本は、南スーダンがあまりにも激しすぎて、怖くなって逃げてきましたというのはやはり。」p201
    「日本の場合は、憲法9条など余計なことを考えているだけ。一方で中国人は、アフリカに戦略的な利益を見出して、それを国家政策の最も大きな看板にして、体系性のある形で進んできているという印象があります」p213

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    2020年03月12日
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    アフリカ、特にサブサハラ地域では、今後の人口増加に伴い経済の著しい成長が期待されています。2019年8月には横浜でTICAD7が開催され、日本政府や企業がアフリカでの存在感を拡大しようと、政治や経済のみならず文化面での交流の促進も図られていました。

    かつて日本はアフリカへの援助で秀でていたのですが、現在では、アフリカへの直接投資において、欧米諸国は言うまでもなく、中国、シンガポール、香港やインドといったアジア諸国の後塵を拝し、実業界のアフリカへの投資への意欲も強いとは言い難い現状を、著者は日本企業経営層の内向きでリスクを回避する傾向が一因と分析しています。

    一方、アフリカでは民主化の定着と経済発展により、エチオピアのGDPは1998年から2017年の20年間で10倍へと躍進。またサブサハラ地域と中国との貿易額は、輸出入ともに11-12倍へと膨らんだと言います。日本の経済が停滞していた平成の間に、アフリカ地域は発展を遂げ、新たな国際関係を構築していることを著者は指摘します。

    また、日本は貿易のみならず、政治の分野でもアフリカへの影響力を失っている状況に陥っているといいます。日本の安保理常任理事国入りが、中国のジンバブエの取り込みにより阻止された経緯は、この本を読んで初めて知りました。

    中国の一帯一路政策と米国のインド太平洋戦略がせめぎあう状況で、ジブチやソマリアといった東アフリカ地域において日本が存在感を確保することが肝要と、後半の対談で語られています。アフリカはもはや辺境の地などではなく、グローバル政治経済の枠組みの中での重要性がとみに増していることを、本書は良く示してくれています。

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    2019年11月04日
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    表紙には、『日本企業の皆さん、ぜひ投資せて下さい。』とあったが、読み終わって、あまりそういう気持ちにはならなかった。
    ただ、アフリカの国の現状がわかり、またアフリカを通して日本の見られ方を認識できたことはよかった。

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    2019年10月16日