佐々木孝のレビュー一覧
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これからの時代に大切な事は、未来への思考である。過去に立脚した教訓を持ち、そこから未来と言う共同目標を持つことで、国民が1つとなり、あらゆることを成し遂げていくことができる。19世紀の時代は大量生産社会であり、分業の時代であった。だからこそ、機械的な人間が模範となる人間であったし、そういった人間を教育するようになっていた。しかし、上の命令を聞くだけの人間は、これからの時代には全く通用せず、路頭に迷うことになる。だからこそ、教育の大転換が必要である。過去の歴史から教訓や周りへの尊敬の念を高め、そこから開かれた未来を想像できる人間を作っていかなければならない。これは、これまでの中で1番質の高い人間
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「言葉はこれまでの濫用によって、その権威を失墜してしまった。ここで言う濫用とは、他の多くの場合と同じく、配慮なしに、つまり道具としての限界について意識なしに使用することである。ほとんど二世紀も前から、話すとは「万人に向かって」(urbi et orbi)話すことだと言じられてきたが、これは結局、誰に対しても話さないに等しい。私はこうした話し方を嫌悪するし、自分が誰に対して話しているか具体的に知らないときには胸の痛みさえ覚える。」
このオルテガの言説からおよそ95年が経った現在、「万人に向かって」(urbi et orbi)話すことを理想とする言説が過去になったとは言い難い。むしろ、テレビから -
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※激高した労働者が武装蜂起、世界初の労働者政権(パリコミューン)が成立(1871)
人間は集団になると一体感をもち、無意識に同一の方向に動く。個々の人間の性質とは異なる集団の精神が生まれる。大勢の中にいると個人を抑制する責任感が消滅し、本能に負けてしまう。催眠・暗示を受けやすくなる(1-1)。群衆の中の個人はもはや彼自身ではなく、自らの意志で己を導く力を失った自動人形となる。群衆は衝動で動き、昂奮しやすく、他人の言葉を軽率に信じ込み、感情が誇張的で単純、偏狭で横暴。また、個人がなし得るよりも高度の犠牲的な無私無欲な行為も行い得る(1-2)。ギュスターヴ・ル・ボンLe Bon『群衆心理』189 -
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原著1930年。
このあちこちでやたらと言及される本について、かつて読んだと思っていたが、所有はしていなかったのでこの岩波文庫の「新訳」を購入してみた。が、読んでみると、どうやら読んだことが無かったようだ。何故か読んだと思い込んでいただけらしい。
解説によると著者のオルテガは観念論的な哲学者のようで、社会学者でも歴史学者でもない。本書は本格的哲学のおもかげはなく、多分にエッセイ的な文明批評である。もともとスペインの新聞に連載された文章なので、こういう書き方になったのだろう。
ヨーロッパに台頭し街に溢れかえるようになった「大衆」について、自分だけは正しく、確実であると信じ込んでいて、遠い