ユーザーレビュー 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット / 佐々木孝 ちくま学芸文庫版は大学の時、さらに社会人になっても読んでいたが、今回は岩波文庫版を読んでみた。 100年前の話なのだが、個人の自由が脅かされているのではとの雰囲気がある、自らの頭で考えない人が増えている、固有の文化が転換点にある、など現代に通底するテーマと視座を提供してくれる。オルテガの歯切れ良い...続きを読む語り方もよい。 名著は出版社を超えても名著なのだと感じた。 Posted by ブクログ 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット / 佐々木孝 新しい訳であり、さすがに読みやすい。日本や中国は鼻を突き合わせて住んでいる、という言及はあったものの、やはりヨーロッパ中心、しかもスペインとフランス、イギリス中心の思想である。 Posted by ブクログ 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット / 佐々木孝 無知無能な人間が外部に開かれた目的に向かって、ーー何の介入も受けずにーー 努力できることが自由の意味であったが、内なる欲望のままに活動できることが自由の意味にすり替えられた結果、能力を過信した人間が他者の影響を排除しながらやりたいことをやりたいようにやる権利を持っていると"勘違い"人間をたくさん生み...続きを読む出してしまった、、 Posted by ブクログ 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット / 佐々木孝 激高した労働者が武装蜂起、世界初の労働者政権(パリコミューン)が成立(1871)。▼労働者たちは、労働運動など集団になると一体感をもち、無意識に同一の方向に動く。個々の労働者の性質とは異なる集団の精神が生まれる。▼群衆は衝動で動き、他人の言葉を軽率に信じこむ。熱しやすく冷めやすい。大衆主導の民主主義...続きを読むへの不信。ル・ボンLe Bon『群衆心理』1895 大衆(的な性質)。個性を持たない。同調しやすい。現状に満足している。責任感がない。わがまま。下品。社会について深く考えない。特別の資質をもたない。平均的な人たち。他の人と同じであることに喜びを見出す。自分の意志をもたず、受動的に行動する。自分の権利を押し通そうとする。こうした大衆(的な性質をもつ人々)がいま最大の権力を握っている。ファシスト党もボリシェヴィキも大衆に支えられている。自分の専門に閉じこもり傲慢で他人の言葉に耳を傾けない専門人(知識人)も「大衆」的な人々。▼エリート(的な性質)。良い意味で個性をもつ。行動が自律的。向上心がある。責任感がある。公共の利益を優先。高い品格。社会全体を導こうとする意識。常に自己懐疑を持ち、自分が愚劣に陥る危険性を感じている。▼大衆(的な人々)とエリート(的な人々)を分けるのは階級でも財産でもない。オルテガ・イ・ガセットGasset『大衆の反逆』1930 人はみな独りぼっちだと不安を感じる。仲間からの承認がほしい。そこで他人の行動を見て、自分の行動を決めるようになる。常にレーダーを張って、他人の期待や好みに敏感に反応。社会の側が個人に世界への反応の仕方を要求している(社会的性格)。▼政治に無関心か、もしくは政治について知識や情報を得ることには熱心であっても、自ら進んで政治に関わろうとしない。傍観者。デイヴィッド・リースマンRiesman『孤独な群衆』1950 自分が権力をもてる&エリートに操作されやすい「大衆社会」△。自分が権力をもてる&エリートに操作されにくい「多元的社会」◎。自分が権力もてない&エリートに操作されやすい「全体主義社会」×。自分が権力もてない&エリートに操作されにくい「共同体社会」。共同体社会では支配層と一般人が隔絶されている。ウィリアム・コーンハウザーKornhauser『大衆社会の政治』1959 Posted by ブクログ 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット / 佐々木孝 私が在籍する研究室に残された先輩の研究ノートに本書の一節が書かれていたため、手に取ってみた。 彼の言っていることをただ当時の人間に投げかけている言葉だと捉えずに、現代に生きる自分や世間の人間に照らし合わせてみれば、おそらく思い当たる節がいくつも見つかるのではないだろうか。ただ、突然やけに専門的かつ...続きを読む読みにくくなる章があるのでそこについては読み飛ばした。 Posted by ブクログ 佐々木孝のレビューをもっと見る