森崎和江のレビュー一覧
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読む前は、たぶん内容は書名どおりとても暗いんだろうな、と思っていた。だから、気になりつつ、手に取るまでだいぶ時間がかかった。ところが読み出してみたら、なんとも元気の出てくる本であり、しかも仕事頑張るぞーと思える本でもあった。ただし、著者から聞き書きをされている十一人の女性たちの語る仕事・労働や家事や性や、つまり生きることに対しての態度は、現代の我々とはかなり違う。彼女たちにとって、働かない人生など人生ではないのであり、週に一日休むなんて、とんでもないことであり、最近の若い者はなっとらん、なのである。炭鉱にもぐっていくことは怖いし、男たちに対しては、なんだ、偉そうに、という思いもあると同時に、
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すごくいい本だと思う
日本の歴史のことが書かれてて
でも残念なことに、昔の言葉と九州の方言で
意味が分からないことも多々…
現代風に書き換えてくれたら、もっと見やすいのに…
炭鉱で、採炭作業がまだ機械化される前の大正期頃の話
スラ(そり状の木箱)やセナ(竹の籠)に石炭を入れて地上へ運ぶ
これを、ほぼ女の人がやってて
夫婦で炭鉱で働いて、採炭作業が終われば家事
その頃、旦那さんは飲みに行く…
夜中に子どもを保育園に預け、また夜の寝てる頃に迎えに行く…
子供の顔は寝顔しか分からない
今じゃ考えられない
でも、それが当時は普通
14歳で炭鉱で働いたり
学校は行かなかったり
戸籍はなかったり
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衝撃の一冊。
おばあさんたちによって、炭鉱での仕事と生活が平易な言葉で語られるけれど、人間とは、歴史とは、労働とは、女性とは、産業とは、と色々な観点で考えさせられる。後を引くおもしろさ。かつ、私の人生を変える予感。
祖母と同じ語り口。祖母から話を聞いているような、あたたかい気持ちになる。
○まず、女性がこんなにワイルドで強かったということに驚愕。これが私にとって一番力になる。私の中にもこれくらいの強さがあるのかもしれない、と思えることがこの本の希望。
・偉そうなむかつく男を女子グループで手足を縛って袋叩きにして暗闇に放置してあやまらせる。
・先山となってマイトをうまくしかけて石炭を掘 -
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ネタバレこの一年半ほど、
「まっくら―女坑夫からの聞き書き―」1961、
ラジオ「にっぽんの子守唄~出稼ぎの女たち(F面)」、
ラジオドラマ「海鳴り」「いのちの木の方へ」「産湯の里」、
現代詩文庫の「森崎和江詩集」、
「からゆきさん」1976、
とぼちぼち読んでいる。
本書は1984。
作者の著作は膨大なので全容を把握するのは難しそうだが、本書は作者にとっての根っこを描いているので、読んでよかった。
まずは朝鮮植民二世としての、原罪意識。
これだけなら辛さ一辺倒になりかねないが、さらに、生きて在ることのエロスを文章の端々から感じる。
これは例えばこうの史代と片渕須直の「この世界の片隅に」や、おざわゆき -
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著者のことはサークル村の主要人物の一人ということは知っていたが、その著作で読んだのは『からゆきさん』と『まっくら』の二冊。本書は、著者が自らの原郷とする生まれ育った朝鮮での17年間の生活を回想したもの。
著者は、理想化肌の朝鮮学校の教師である父と、優しく慈しんでくれる母との間の長女であった。そして父の学校異動の関係で、慶尚北道の大邱、慶州そして金泉に住んだ。
幼き日の思い出から著者は朝鮮での生活を細部まできめ細かく描いていく。朝鮮人のアブジやオモニの姿も自らの見たままに生き生きと描かれる。こんなにも瑞々しく記憶にとどめ文章として表現できるというのは本当にすごい。
愛情を注いでくれ -
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ユリイカ2022年7月号、「スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ」特集での、佐藤泉氏による寄稿、
「とばりの向こうの声を集める」のなかで、聞き書きの代表的書き手として、森崎和江氏が、そしてこの「まっくら」が紹介されており、読むに至った。
明治期後半から昭和初期の、女性坑夫からの聞き書きで構成されたこの本は、1961年に発行されている。その当時、まだかろうじて残っていた福岡県筑豊炭坑住宅に著書自らが暮らし、聞き取ったもの。
森崎は当時の女性としては最高とも言える教育を受けて育って、しかしその中で触れるたくさんの文字、書かれた言葉中の日本人は、「もう結構だった」と言う。
「文字に縁なく、そんな -
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明治時代、外国に売られていった女の子たち、その背景、女の子たちのその後。
綾さんの養母のキミが精神の異常をきたしている様子が、胸に迫る。
養子の綾さんに、このいんばいおなご!おまえのいんばいをようしっとるよ。ひとりの男も百人の男も同じこつ、と罵る。それは、おそらくキミさん自身の自己認識で、雇い主や客や故郷や社会からそう言われてきて、それが彼女の中に刷り込まれてしまったのだろうと想像できる。
炭坑夫を描いた「まっくら」の女たちは、まずしくてももっと、なんというか、正常だった。本来の人間の強さを持っているように読めた。それは貧しくても人間の暮らしだったからたみろう。
が、からゆきさんたちは -
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石牟礼道子は読んでいたのだが、サークル村の同志だった森崎和江は読んだことがなかった。
『からゆきさん』は昔から知っていたのだけど山崎朋子の本や『五番町夕霧楼』みたいな遊郭に娘が売られる話とごっちゃになって、なんだか暗い因習に満ちた救いのない話だと思い込んでいて、手に取っていなかった。しかし石牟礼道子や藤本和子との関係を知り、これはちゃんと読まなければと思って読んでみた。
確かに貧しい家の娘が家計を助けるため、あるいは口減らしのため、密航状態で船に乗せられ東南アジアで身を売ったわけで、労働基準法もなければ健康保険ももちろんない中、性病の危険にさらされながらの毎日も辛かっただろうが、そこまで自 -
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一昔前福岡に勤務していて、炭鉱自体はとうの昔に閉山していたが、ボタ山や炭鉱跡を見たり、上野英信の『追われゆく坑夫たち』、山本作兵衛の画文集などを読んだりして、多少の知識は持っていたつもりだった。
今回本書を読んで、聞き書きという形で語られる、かつて炭坑で働いていた女性たちの、それぞれの人生を語る生々しい肉声を読んで、死と隣り合わせの労働の厳しさや、男何するものぞとの逞しさなど、いろいろなことを感じさせられた。
お天道さまの見える地の上と真っ暗な地の下、農業に従事する者からの差別、地上に上がっても男と違い、家事や育児をしなければならない生活、今では考えられないような生活をしていた人たちが -
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ずっと読みたかった。なんとなく知っているつもりだった「からゆきさん」。思ってたより生々しく強烈に描かれていた。ディテールにいたたまれなくなり、何度も途中で本を置いた。
12、3歳で売られる子もいて、おそらく今の子供より背丈も小さいだろうと思うと胸が詰まる。そして、二十歳まで生きられなかった子がたくさんいる。娘を売らなければならないほどの貧乏、飢えが想像できないとはいえ、あまりにひどい。これだけを見れば、時代が進んで良かったと思える。確かに今の方がマシなのだが、それでも女性の性を搾取して儲ける人たちはなくならず、少女を商品と見てお金で買う人はなくならず、どうすればいいのかと思う。
後の方の、ヨシ -
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九州の女炭鉱夫への聞き取り本。
インタビューのまま強烈な方言で書かれており、読みにくいがその分、生々しく体験が伝わる。
炭鉱は暗く、狭く、陰鬱な恐怖の場所である。ガスへの引火、落盤、トロッコの暴走でいとも簡単に人が死ぬ。
そのような環境だからこそ、暗闇で蝋燭がひときわ輝くような強烈な生命の発露がインタビューから感じ取れる。
作者の解説で、炭鉱労働は無くなる一方の労働であるというくだりがあった。採れば採るほど、炭は枯渇し、深くまで掘ることとなり、最後は鉱山が終わる。そこに発展はない。殖えることのない労働だ。
そのような労働に殖やす性である女性が身を捧げるちぐはぐさ、それも作者がこの本で伝えたいこ