からゆきさん 異国に売られた少女たち

からゆきさん 異国に売られた少女たち

小説・文芸
825円 (税込)

4pt

3.9

戦前の日本で、貧しさゆえに外国の娼館に売られた少女たちがいた。国外に売られ、狂死したキミ。南方で財をなし、壮絶な自殺を遂げたヨシ。綿密な取材と膨大な資料をもとに、ふたりの からゆきさん の人生を綴った傑作ノンフィクションが復刊。

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からゆきさん 異国に売られた少女たち のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    『サンダカン八番娼館』の山崎豊子にも大きな影響を与えた本。作者が谷川雁などと一緒に活動していたのは知らなかった。それはさておき、何故、からゆきさんは天草、島原に多かったのか。その理由を歴史的背景から、土地の貧困さ、農村・漁村の貧しさという経済的側面、また鎖国時代に唯一海外に窓を開いていた長崎の近くという地理的理由など、なるほどと思わせる考察が沢山あった。また、国から捨てられたからゆきさんの海外での行動範囲には舌を巻いた。幕末の頃から多数の芸妓が勤王の志士を支援するしたが、明治になって大陸浪人が活動するようになったら、今度はからゆきさん達が支援していたなど知らない歴史もあった。

    しかしこの本の中での読みどころは様々なからゆきさんの人生。もちろん不幸なものがほとんどであるが、その限られた生を自信と誇りを持って生きた人たちの話に感動を受ける。特に島木ヨシの死に様には強い共感を持つと同時に自分には絶対無理だと。そのヨシの言葉で印象に残っているものを列記して終わりたい。

    「がんばらんば。あんたどま、がんばりが足らんばい。日本人ちゅうことを忘れちゃおらんな。あんたどま、なんとも思うとるまいが、いくら日本が強い国でも、外国にいる日本人が笑われるようなら、国はしまいにはなかごとなるばい。‥あんたどま、ひとりひとり生きた日の丸ばい。あんたどんが、じだらくすれば、日の丸をじだらくにしよるのと同じばい」。I am japanなどと大見え切ってる阿保に聞かせてやりたい。さらに「日本はアメリカには勝たんど。日本は三年も持ちきるもんじゃなかっど。えらか人はなんば考えとっとじゃろうか。日の丸のおかげで助かっとる者は外国にどがしこおらすとかわからんとに。ばかなこっばして。外国へ行ってみればわかっとに。こがんこまか国が世界の白眼ばうけて、なんのよかこっがあろうか。日の丸ば、よごして」

    身体一つで海外で働いたからゆきさんの目こそ正しかったのだ。

    0
    2026年04月08日

    Posted by ブクログ

    明治時代、外国に売られていった女の子たち、その背景、女の子たちのその後。

    綾さんの養母のキミが精神の異常をきたしている様子が、胸に迫る。

    養子の綾さんに、このいんばいおなご!おまえのいんばいをようしっとるよ。ひとりの男も百人の男も同じこつ、と罵る。それは、おそらくキミさん自身の自己認識で、雇い主や客や故郷や社会からそう言われてきて、それが彼女の中に刷り込まれてしまったのだろうと想像できる。

    炭坑夫を描いた「まっくら」の女たちは、まずしくてももっと、なんというか、正常だった。本来の人間の強さを持っているように読めた。それは貧しくても人間の暮らしだったからたみろう。

    が、からゆきさんたちは、アウトオブノーマル。底辺よりも、さらに下。

    日露戦争とか安重根の伊藤博文襲撃とか朝鮮の鉄道敷設とか。そういう歴史の背後にこんな物語があったことを、覚えておこう。

    わたしは、選択肢を多く持ち、お腹いっぱいで自己実現とか平和に暮らせることを感謝しよう。

    森崎さん、すごい仕事をありがとう。あなたの女性への眼差しが、本当に励みになる。女性が幸せであることを、こころから願った人。

    1
    2022年07月18日

    Posted by ブクログ

    想像していた内容とは少し違っていた。
    けれどもからゆきさんとはどんな人達が何故からゆきさんになったのか。
    それの事に関する時代背景や国、その地域での暮しからからゆきさんを知る事が出来た。

    0
    2023年01月22日

    Posted by ブクログ

    石牟礼道子は読んでいたのだが、サークル村の同志だった森崎和江は読んだことがなかった。
    『からゆきさん』は昔から知っていたのだけど山崎朋子の本や『五番町夕霧楼』みたいな遊郭に娘が売られる話とごっちゃになって、なんだか暗い因習に満ちた救いのない話だと思い込んでいて、手に取っていなかった。しかし石牟礼道子や藤本和子との関係を知り、これはちゃんと読まなければと思って読んでみた。

     確かに貧しい家の娘が家計を助けるため、あるいは口減らしのため、密航状態で船に乗せられ東南アジアで身を売ったわけで、労働基準法もなければ健康保険ももちろんない中、性病の危険にさらされながらの毎日も辛かっただろうが、そこまで自分を犠牲にして働いても、故郷に帰ればまともに扱われない、というところはもちろん辛い。
    しかしもっとずっと前から貧しさのため身を売る女性たちを「醜業婦」「淫売」「売女」と蔑む女性観が、経済・政治・ジャーナリズムなどすべてを握る男たちにあったのでである。娘を農村漁村から集めて(家畜同様)売りさばいていたのはほとんどが男であったのだが。

    確かに悲惨である。しかし、意外にも救いのない暗さとは違う。
    それはまず村の若い男女の性意識が現在とは全く異なることがきちんと取材されていること。性行為を淫靡なものとは思わず、「性が人間としてのやさしさやあたたかさの源である」(p64)と感じて育った娘たちは「おおらかでふてぶてしいエネルギー」(p65)があった。武士層やその後の中産階級が規範とした「二夫に見えず」といった貞操観念とは無縁であった。しかしそういった性意識と貧しさに付け込んだのが明治の男たちであった。

    この本には「からゆき」になった後実業家として成功した女性も出てくる。悲惨な人生を送った者ばかりではなく、混乱の時代をたくましく生き抜いた姿に救われる。

    しかし、男が集まるところには身を売る女が必要であるという男たちの意識は昭和になっても変わることはなく(石牟礼道子も水俣にチッソの工場ができるとすぐに女郎屋ができたと書いている。)、これが戦争中従軍慰安婦の流れになったことは容易に想像できる。女たちを集めて売る業者の男たちは役所からはお目こぼしで咎められず、女たちはつかまれば実名報道と「淫売」の烙印。
    そこが一番暗澹とするところである。
    売らせた男や買った男は咎めを受けず、売った女だけが貶められることは今も続いているのではないか。

    取材を重ねるというより、「からゆき」だった女性と身を一つにしているといった書きぶり、貧しい人、蔑まれている人の中にある強さや美しさを描いている点も石牟礼道子と近いものを感じた。
    男が書いた歴史には書かれなかった、たくさんの女性の声が聞こえてくるようだった。

    0
    2022年04月17日

    Posted by ブクログ

    ずっと読みたかった。なんとなく知っているつもりだった「からゆきさん」。思ってたより生々しく強烈に描かれていた。ディテールにいたたまれなくなり、何度も途中で本を置いた。
    12、3歳で売られる子もいて、おそらく今の子供より背丈も小さいだろうと思うと胸が詰まる。そして、二十歳まで生きられなかった子がたくさんいる。娘を売らなければならないほどの貧乏、飢えが想像できないとはいえ、あまりにひどい。これだけを見れば、時代が進んで良かったと思える。確かに今の方がマシなのだが、それでも女性の性を搾取して儲ける人たちはなくならず、少女を商品と見てお金で買う人はなくならず、どうすればいいのかと思う。
    後の方の、ヨシさんの話は痛快だったが、最期を思うと、やはりスタートがダメで、いくら本人の才覚で運命を切り開いたとしても、深く窺い知れない闇が中に巣食っていたのだろう。それがわかりやすい形で現れたのがキミさんだった。

    ずっと前に書かれたものに、現在を強く感じることが最近続く。

    "「可哀さうに人民は重い税と、少数の金持の懐中を肥すために、なけ無しの銭を搾られて居る」。"
    184ページ

    一時の日本より貧富の差、「人民と金持」の差が開いてきたのだろう。
    二度と「からゆきさん」が出ないとは言えなくなってきたのかもしれない。

    0
    2021年06月27日

    Posted by ブクログ

    貧しさゆえに子どもが売られていた時代、
    主に天草、島原出身の海を渡っていった少女たちの話。公娼制度があった時代とはいえ今の感覚からすると信じ難い話だった。

    0
    2025年09月27日

    Posted by ブクログ

    なんとなくこういうことなんだろうな、と思っていたことが本当に甘すぎて、いい歳をして我ながら無知すぎていやになる。

    0
    2018年01月21日

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