村上宣寛のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
世の「心理テスト」がいかに「トンデモ」であるかを明らかにした、驚くべき本。「心理テスト」といっても、テレビや雑誌でやってるような「いかにも」なものではナイ(導入として「血液型」も用意してあるが)。槍玉に挙がるのは、かの有名な「ロールシャッハ・テスト」、定番の性格検査である「矢田部ギルフォード性格検査」、職業適性検査にも使われている「内田クレペリン検査」といった大物揃い。
心理学者がつくる心理テストは信頼できるか。著者は「大部分は信頼できない」とばっさり。その実例として、定番の心理テストについて、それらがいかに恣意的な基準でつくられ、当たらないとわかっていながら運用されているか、ということ -
Posted by ブクログ
Big5の協調性、外向性、良識性、開放性、情緒安定性の要素の解説、環境と遺伝の影響、BIG5に至るまでにあった、類型論や精神分析の観点など、現時点でのエビデンスを元に特性とはどういうものかを細かく分析されているように感じた。この本の発売時点だとまだまだ、特性五因子との関連性はわからないことがあるので、これからの研究がこの本を覆すこともあるのだろうと思いながらもエビデンスの出し方、多角的な考察はしっかりしていて納得のいく内容で説明されているところは好感が持てる。
一部、結論何が言いたいの?と思うところもあった。
最も記憶に残ったものはやはり特定五因子の細かな構成要素の説明であった。協調性、外向性 -
Posted by ブクログ
ネタバレ心理学の研究者である筆者がダイエット、健康、ビジネス、投資、幸福感などさまざまな分野のシステマティックレビューを読んでまとめたもの。
要点をまとめると以下のような感じ。
因果関係の研究には実験群と実験群との比較の対象群(何もない)を置く必要がある
質のいい論文は二重盲検ランダム化比較実験のシステマティックレビュー。
肥満の原因としては総カロリーの現象以外は大きい違いは見えにくい。食べる時間(例えば朝ご飯は食べたほうがいい)やスピード(ゆっくり食べたほうがいい)というのは相関関係であって因果関係ではない可能性が高い。
最強のダイエットはレコーディングダイエット+適度な運動ぐらいしかな -
Posted by ブクログ
複数の論文を統合するメタ分析の手法を用いた研究を紹介している。諸説が入り乱れる食事や健康の分野についても、結論が出ているものが多いようだ。
scienceの語源は、ラテン語のscientia(知識)、その起源はギリシャ語のskhizein(分割する)。現象を分割すると数量化が可能になり、伝達が可能になる。すなわち、科学の特徴は、検証可能性と言える。
アーチポルド・コクランは、1972年に根拠に基づく医療(EBM)を提案し、1993年には、ひとつのテーマに関する広範な文献を重みづけを用いた統計的手続き(メタ分析)で要約して全体的結論(システマティック・レビュー)を出すコクラン共同計画を開始し -
Posted by ブクログ
怪しげな健康食品が溢れているが,効果に対して正確な検証がなされているかどうかに疑問を持っていたが,本書は適格な回答書だ.盲検化されたランダム化比較試験で有意差があることを証明できることの重要性をマスコミに周知させる必要がある.ビッグファイブと呼ばれる 外向性,協調性,良識性,情緒安定性,知的好奇心のうちどの要素が優位かという第6章「仕事での間違った思い込み」は楽しめた.最後の(p160),「面接の妥当性は低いので,人を見て選ぶより,見ないで選ぶほうが合理的である」は至言だ.またp126の「長寿を保証する魔法のような食べ物や,特別な薬物は存在しない.無意味で非科学的な健康情報に振り回されないよう
-
Posted by ブクログ
類似のテーマの、異なる調査結果を統合する方法があるということを、この本から知ることができた。
それを、メタ分析と呼ぶのだそうだ。
本文の中ではどういう手法なのかの説明がなく、いらいらしながら最後まで読んだ。
そうしたら、最後に付録としてその説明があった…。ちょっと脱力。
効果的なダイエット方法についての研究を検討すると、まず摂取カロリーの総量についてのコントロールがなく、その方法が効いているのか、摂取カロリー量が効いているか弁別できない研究が多いとのこと。
RIASECで知られる職業興味調査の妥当性係数を検証した研究によると、この調査はほとんど無意味という結論になるらしい。
なかなかショッキ -
-
Posted by ブクログ
『「心理テスト」はウソでした。』の著者つながりで。こんどは「知能は測定できるか」という、なんつーか「触らぬ神に……」と言いたくなるような分野で、言いたい放題。刺激的なだけでなく、きちんと「研究」という地に足がついている記述になっているので、安心して読める。たとえば「IQってなんなの?」(はい、知能検査で測れるもの、デス!)とか、「IQ180の天才少年!」というあたりのどこらへんにウソがあるのか、みたいなこともわかる。(いまはそんな点数出るわけないです。それ、テストが古すぎるに決まってますから!、みたいな)
オレは受けたことないけれど、SPIつーのがあるよね。リクルートがやってる適性検査。あれ