村上宣寛のレビュー一覧
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筆者の性格に癖がある。日本や日本人、他の研究者、若者、とにかくいろんな相手を馬鹿にしているというか、上から目線で書かれている。しかし、専門性には絶対の自信を持っているようで、面白いのは面白い。数学的な話が多く、文系には難解。だが、サイエンスとしての心理学には、それが避けては通れないとのということだろう。
知能指数を自慢する人は馬鹿だ、という意味がよくわかる。
現在の知能テストは、知能のごく一部しか測定できず、高いというのは、初歩的な常識問題を非常に早く解く能力があるというだけで、それ以上のことはよくわからない。
知能テストには排斥の負の歴史がある。
知能とは何かということについて、まだ意見はまとまっていない。
ボーリング曰く、知能とは知能テストで測ったものである。
概念はそれに対応するひと組みの操作と同義である、という操作主義の考えを使った。
文化が違うと知能の見方が違う。
素人の見方と専門家の見方も違う。
群盲象を評する
暦年齢を精神年齢で割る方法はすでに原始的。
IQ85と115の間に68%の人が存在するのが、正規分布。
ビネは、6歳児が75%出来た問題を6歳児用に割り当てた。
多くの知能テストは、経験的に作成。
知能には様々な因子がある。
chc理論という知能因子の集大成。
心理学には国境がある。
知能指数は差別であるといえば、日本では居心地がいい。
知能テストは先天的能力を測るものではない。
知能テストとはこのようなもの。
知能テストには暗い影があり、現在まで受け継がれている問題もある。
測れないものは研究できない。
知能テストでは、知能の3分の一程度しか測れない。
子供の頭の大きさと脳の大きさには高い相関がある。
反応時間と知能には無視できない関係がある。
脳は劣化するが、なんとか補う機能もある、
根拠の乏しい優勢学的考えから、誤った研究成果がたくさんでた。
遺伝の影響は大きい。育ってきた環境の影響は大人になるとゼロに。
遺伝率からいうとIQの値は遺伝によって決定するように見えるが、それは間違い。遺伝率が90%であってもある個人のIQが遺伝で90%決まるわけではない。
アイスクリームの売上高と児童の溺死の高い相関。本当の原因は気温。
個人差は男女差より大きい。99.9%以上!
相関関係は因果関係を意味しない!!
心理学は、気象学のようなもの。
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世の「心理テスト」がいかに「トンデモ」であるかを明らかにした、驚くべき本。「心理テスト」といっても、テレビや雑誌でやってるような「いかにも」なものではナイ(導入として「血液型」も用意してあるが)。槍玉に挙がるのは、かの有名な「ロールシャッハ・テスト」、定番の性格検査である「矢田部ギルフォード性格検査」、職業適性検査にも使われている「内田クレペリン検査」といった大物揃い。
心理学者がつくる心理テストは信頼できるか。著者は「大部分は信頼できない」とばっさり。その実例として、定番の心理テストについて、それらがいかに恣意的な基準でつくられ、当たらないとわかっていながら運用されているか、ということが、順序立てて語られる。
結論へいたる細部もなかなか面白い。インクのシミを見せて答えさせる「ロールシャッハ・テスト」が、実際にどんなところに注目して診断されているのかがわかるとか。「占い」や「心理テスト」を「当たっている!」と感じるしくみにどんな仕掛けがあるのかとか。
「喧嘩上等」な語り口も爽快で、意地の悪い人ほど楽しめる、かも。
残念なのは……血液型診断をトクトクと語っちゃうような人は、決してこういう本を読まないことかな? 人はたとえ「偽物」であっても、口当たりのいい表現を好むものだ。この本にはそういう心理も解説してある。用意周到というべきか。この本でいかに心理テストが「当たらない」と暴露しても、やはり信じたい人はなくならないし、それを利用する人もなくならないのだろうなぁ。 -
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Big5の協調性、外向性、良識性、開放性、情緒安定性の要素の解説、環境と遺伝の影響、BIG5に至るまでにあった、類型論や精神分析の観点など、現時点でのエビデンスを元に特性とはどういうものかを細かく分析されているように感じた。この本の発売時点だとまだまだ、特性五因子との関連性はわからないことがあるので、これからの研究がこの本を覆すこともあるのだろうと思いながらもエビデンスの出し方、多角的な考察はしっかりしていて納得のいく内容で説明されているところは好感が持てる。
一部、結論何が言いたいの?と思うところもあった。
最も記憶に残ったものはやはり特定五因子の細かな構成要素の説明であった。協調性、外向性、良識性、開放性、情緒安定性の要素は自分がこれらの言葉からイメージするものだけでなく、なるほどこういう要素も含むのかと勉強になった。まだ、覚えきれていないので再度読み直して頭に入れたいと思う。 -
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ネタバレ心理学の研究者である筆者がダイエット、健康、ビジネス、投資、幸福感などさまざまな分野のシステマティックレビューを読んでまとめたもの。
要点をまとめると以下のような感じ。
因果関係の研究には実験群と実験群との比較の対象群(何もない)を置く必要がある
質のいい論文は二重盲検ランダム化比較実験のシステマティックレビュー。
肥満の原因としては総カロリーの現象以外は大きい違いは見えにくい。食べる時間(例えば朝ご飯は食べたほうがいい)やスピード(ゆっくり食べたほうがいい)というのは相関関係であって因果関係ではない可能性が高い。
最強のダイエットはレコーディングダイエット+適度な運動ぐらいしかない。
健康になるためには果物と野菜を積極的に食べる。煙草を吸わない。お酒は少々、心身ともに活発に行動する。
仕事のできる人間は一般知能+良識性(自己管理能力に相当するもの)が高い人間。採用面接はあまり意味がない。
幸福感は遺伝、収入、雇用状態、健康、教育、自然とのかかわり、宗教などが関係している。いわゆるポジティブシンキング系のことは相関関係と因果関係の読み間違いなことが多い。
研究者が書いているため、全体として難しい。
統計データモデルが感覚的に理解はしにくいところがある。
各章の最後にまとめがあるので、そこをしっかり読み込み、それ以外はわかる部分のみ拾えばいいかも。 -
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複数の論文を統合するメタ分析の手法を用いた研究を紹介している。諸説が入り乱れる食事や健康の分野についても、結論が出ているものが多いようだ。
scienceの語源は、ラテン語のscientia(知識)、その起源はギリシャ語のskhizein(分割する)。現象を分割すると数量化が可能になり、伝達が可能になる。すなわち、科学の特徴は、検証可能性と言える。
アーチポルド・コクランは、1972年に根拠に基づく医療(EBM)を提案し、1993年には、ひとつのテーマに関する広範な文献を重みづけを用いた統計的手続き(メタ分析)で要約して全体的結論(システマティック・レビュー)を出すコクラン共同計画を開始した。
日本人の食事摂取基準のエネルギー比は、タンパク質が9〜20%、脂質が20〜25%、炭水化物が50〜70%で、スポーツ選手でも、国によっても大きく違わない。炭水化物制限ダイエットや高タンパク質ダイエットは、総摂取カロリーを統制した通常のバランスダイエットと効果に違いはない。炭水化物制限ダイエットの死亡率は1.3倍になっている(ただし、後ろ向き追跡の調査で、優位水準にも達していない)。食品別では、野菜や果実、乳製品で減量の効果が認められ、精製した小麦粉、砂糖、ジャガイモ、加工肉と赤身の肉で体重が増えている(ただし、総摂取カロリーは統制されていない)。
死亡率が最も低いBMIは、高年齢になるほど高くなる。アメリカ人では25〜26、日本人では23前後が最も低い。ランニング程度の運動を行うと、死亡率が3割ほど減少する。肉の摂取量については、4つの研究で摂取量が少ないほど寿命が長くなったが、2つの研究では差がなかった。コーヒーを飲む量が1日8杯までの人は死亡率が低い(ただし、因果関係は証明されていない)。アルコール量は、1日30g(ビール中ビン1本、酒やワインで1合)までは寿命延長効果がある。睡眠は7時間が死亡リスクが最も低い。性格では、良識性が高いと死亡率が低いが、他の性格では差がない。
幸福感は、健康状態、婚姻状態、就業状態との関係が大きいことを示す研究が多いようだ。自然との関わりも効果が大きい。
メタ分析は結果のみを統合するものであり、論文の取捨選択という恣意的な余地もあるが、個人の医師などが書いた本よりは信頼性は高いだろう。特に、健康に関する研究については、死亡率といった客観的な数字で分析できるので説得力はある。 -
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怪しげな健康食品が溢れているが,効果に対して正確な検証がなされているかどうかに疑問を持っていたが,本書は適格な回答書だ.盲検化されたランダム化比較試験で有意差があることを証明できることの重要性をマスコミに周知させる必要がある.ビッグファイブと呼ばれる 外向性,協調性,良識性,情緒安定性,知的好奇心のうちどの要素が優位かという第6章「仕事での間違った思い込み」は楽しめた.最後の(p160),「面接の妥当性は低いので,人を見て選ぶより,見ないで選ぶほうが合理的である」は至言だ.またp126の「長寿を保証する魔法のような食べ物や,特別な薬物は存在しない.無意味で非科学的な健康情報に振り回されないようにしたい」も大事な言葉だ.
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類似のテーマの、異なる調査結果を統合する方法があるということを、この本から知ることができた。
それを、メタ分析と呼ぶのだそうだ。
本文の中ではどういう手法なのかの説明がなく、いらいらしながら最後まで読んだ。
そうしたら、最後に付録としてその説明があった…。ちょっと脱力。
効果的なダイエット方法についての研究を検討すると、まず摂取カロリーの総量についてのコントロールがなく、その方法が効いているのか、摂取カロリー量が効いているか弁別できない研究が多いとのこと。
RIASECで知られる職業興味調査の妥当性係数を検証した研究によると、この調査はほとんど無意味という結論になるらしい。
なかなかショッキングな話だった。
主観的な幸福感についての検証も面白い。
最も効果量が大きいのが健康だそうだ。
セリグマンのポジティブ心理学への批判も出ていた。
これはやっぱりそうだったか、という感じだったが、データを示されて納得できた。 -
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『「心理テスト」はウソでした。』の著者つながりで。こんどは「知能は測定できるか」という、なんつーか「触らぬ神に……」と言いたくなるような分野で、言いたい放題。刺激的なだけでなく、きちんと「研究」という地に足がついている記述になっているので、安心して読める。たとえば「IQってなんなの?」(はい、知能検査で測れるもの、デス!)とか、「IQ180の天才少年!」というあたりのどこらへんにウソがあるのか、みたいなこともわかる。(いまはそんな点数出るわけないです。それ、テストが古すぎるに決まってますから!、みたいな)
オレは受けたことないけれど、SPIつーのがあるよね。リクルートがやってる適性検査。あれも結局は知能テストの一種なんだが、その「予測力」は「低い」と断じているのが興味深かった。その原因として、問題作りが「因子分析的だから」と考察。因子分析的というのは、最初に「知能とはこーいうものだ」というモデルがあって、そっからおろして問題をつくるやり方。そうではなく、実際に問題をつくってみてやらせてみて「頭のいい人、悪い人」を分別するといったやり方で、問題の妥当性を経験によって検証しなければ、使える知能テストはできないのだと。
もひとつ、これは知能テストに限ったことではないが、「相関関係」と「因果関係」の混同というのが、この分野にも色濃くあるという話。いわゆる「ベルカーブ」をはじめとする「人種や性別によって知能には差がある」という主張は、だいたいこの混同をやらかしていると。
結局、知能は測定できるのか。知能の本質そのものが定義されてないし、まだまだ「完全に測定できる」かどうかはあやしいが、この本を読む限り、妥当なテストを妥当な方法で使えば、かなり「測定できる」といっていいような。でも、日本人ってば「知能はそんなに単純じゃない」「頭のよさというものは、測れない」という考え方が人気あるんだよね、と。こーいう研究を推し進めていくと、幼い頃から「選別」されるようになっちゃうんじゃないのとか、いろいろとよくないイメージも浮かぶ。けれど、だからといって検証しないんじゃ、学問にもなんにもなりゃしないじゃん、という著者のいらだちがところどころに伺える。そこらへんも含めて、なまなましく、おもしろい本。