澤田典子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書は前7世紀の建国から前4世紀末の滅亡に至るまでのマケドニア王国の歩みを辿る400ページ超える歴史の本。
マケドニアと言えば、なんといってもアレクサンドロスの存在が際立つ。世界史に比類なき足跡を残した。そのアレクサンドロス。33歳で病没していることを踏まえるとなんと短い人生だったことよ。
最も印象的だったのはアレクサンドロスの父、フィリポス2世の暗殺の場面。
前338年、フィリッポス2世は、カイロネイアの会戦でこれまでだれも果たせなかったキリシア制覇を成し遂げた。次はアカイメネス朝ペルシアに照準を併せていた前336年、自身の娘クレオパトラの婚礼の祝典の場が、フィリッポスの暗殺の場になった。 -
Posted by ブクログ
ペロポネソス戦争後のギリシアというと、B.C.338年、フィリポス二世率いるマケドニア軍にカイロネイアの戦いで敗れ、その後のアレクサンダー大王の東征もありで、すっかり脇役の存在になってしまったとの印象を持っていた。
しかし、カイロネイアの敗戦後、アテネはフィリポス二世から極めて寛大に扱われたため、B.C.323年のラミア戦争(アレクサンドロス王死去後のギリシア・マケドニア間の戦争)勃発まで、前例のない「平和」と「繁栄」の時代であったという。そして著者は、この時代の代表的な政治家・弁論家であるデモステネスを主人公に、アテネ民主政の実態を描き出していく。
だいたいこのデモステネスという人物 -
Posted by ブクログ
アレクサンドロス大王は当時、世界一の王で、32歳の若さで亡くなったが、人々をひきつける魔力のような輝きを持っていた。
超強力兵器の「サリッサ」すごい。
父はヘラクレスの末裔、母はアキレウスの末裔。アレクサンドロスはギリシア神話の2大英雄の血を引いている。
武力征服、侵略、民族絶滅戦争のような凄まじい戦いを繰り返して世界一の王になる。
アレクサンドリア都市を創建。
王室日誌によると、アレクサンドロスの死因は熱病。マラリア、急性膵炎、腸チフス、西ナイル熱、毒殺など様々な説がある。
英雄であるアレクサンドロスは、死後2千数百年たった今でも威光を放ち伝説になって語り継がれているすごい人。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ民主主義の源流は、教科書によれば、古代ギリシアのアテネ。
直接民主制というスタイルだから現代の間接民主制とは大きくことなるが、だれでも参加と責任をおうとう意味では同じ。
しかし様相は大きくことなる。
まず官僚も政党も存在しないから自分で説得してリーダーになるしかない。それは何を意味するか。市民は政治家を絶えず監視したというから、問題があればいつでも弾劾裁判にひっぱることができたという。
そこで有罪をうけるとほぼ死刑という命がけ。だから逆説的に言えばソフィスト的議論が蔓延することにもなる。
本書は、歴史に残る政治家に焦点を宛てた人物史というスタイルをとりながら、その内実を平易に紹介した