澤田典子のレビュー一覧

  • 古代マケドニア全史 フィリッポスとアレクサンドロスの王国

    Posted by ブクログ

    本書は前7世紀の建国から前4世紀末の滅亡に至るまでのマケドニア王国の歩みを辿る400ページ超える歴史の本。
    マケドニアと言えば、なんといってもアレクサンドロスの存在が際立つ。世界史に比類なき足跡を残した。そのアレクサンドロス。33歳で病没していることを踏まえるとなんと短い人生だったことよ。

    最も印象的だったのはアレクサンドロスの父、フィリポス2世の暗殺の場面。
    前338年、フィリッポス2世は、カイロネイアの会戦でこれまでだれも果たせなかったキリシア制覇を成し遂げた。次はアカイメネス朝ペルシアに照準を併せていた前336年、自身の娘クレオパトラの婚礼の祝典の場が、フィリッポスの暗殺の場になった。

    0
    2025年11月05日
  • アテネ民主政 命をかけた八人の政治家

    Posted by ブクログ

    クレイステネスの改革による民主政の始まりから,ペロポネソス戦争を経た180年を,政治家の人間関係や民衆の反応などから読み解く本。常に裁判による評価にさらされ,直接民主政のもと不断の緊張におかれた政治家の苦労が窺える。ギリシア史では省かれがちな,家の系図に詳しいのも面白い。

    0
    2021年09月06日
  • よみがえる天才4 アレクサンドロス大王

    Posted by ブクログ

    数ある英雄伝説の中でも影響力の大きいアレクサンドロス大王。身にまとった伝説がぶ厚すぎるだけに、「研究者の数だけアレクサンドロス像がある」状態。等身大のアレクサンドロスに迫るのは生易しいことではないのだと感じた。その中でも本書は丁寧に研究史を整理し、最新の研究を取り入れてアレクサンドロスの実像に迫る。数々の英雄譚が生まれた背景、実像に近いと思われる姿、後世への多大な影響などなど、アレクサンドロス大王がいかなる存在であるのか、平易な文章でわかりやすく紹介してくれる入門の一冊。

    0
    2021年06月01日
  • よみがえる天才4 アレクサンドロス大王

    Posted by ブクログ

    紀元前300年という事を忘れて、何か物足りなさを感じて読んだが、ふと考えると紀元前300年でよくここまでわかって書けたなというのが正直な感想。歴史のもっと生々しい部分を知りたかったが、よく考えると紀元前300年の時代にそれを求めるのは酷でしょう。父への対抗意識で大帝国を作ったという説は今でも通じる理屈で本当かよと思うがそれも紀元前300年に免じて許そう。

    0
    2021年02月13日
  • アテネ 最期の輝き

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    紀元前338年、アテネを中心とするギリシア連合軍はフィリッポス2世率いるマケドニア軍に歴史的大敗を喫した。
    しかし、アテネが誇る民主政はそれを契機にかつて無い平和と繁栄を謳歌する…。

    デモステネスを中心にカイロネイアの敗戦からの繁栄とラミア戦争での民主政の終焉まで。読みやすくて良い。
    ギリシアの歴史はカイロネイアの敗戦からはアレクサンドロス大王の話になり、アテネを中心としたポリスの話はあまり出てこなくなるので、こういう本は嬉しい。

    0
    2025年09月21日
  • 古代マケドニア全史 フィリッポスとアレクサンドロスの王国

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    世界に比類なき足跡を残した英雄たちの王国マケドニア。
    紀元前七世紀半ばとされる建国、天然資源と外交術を駆使した版図拡大からフィリッポスのギリシア制覇、アレクサンドロスのペルシア打倒を含む東方遠征、後継者戦争の果に滅亡に至る。

    マケドニアが文字での記録を残さない「声なき民」だったので、ギリシア側の記録しか無い上に、ギリシア側の主観と言う難しさの中、伝説的な建国から資料の残る王たちの業績と興味が尽きない。割と分厚めの本だけど、楽しくてあっという間だった。

    0
    2025年09月21日
  • アテネ民主政 命をかけた八人の政治家

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    前半のミルティアデス、テミストクレス、ペリクレスは資料が色々あるからか内容的には充実してる。後半になってくるとトラシュブロス、イフィクラテスなどはちょっと微妙。それでもトラシュブロス、イフィクラテスは気になるな~。参考文献になってる本とか読んでみたい。ギリシアの歴史も気になるけど、マケドニアの歴史も気になる。フィリッポス2世より前の歴史とか知りたい。やっぱり歴史はもっと勉強したい。この人の本は『アテネ最後の輝き』に続いて当たりだな~。

    0
    2025年09月21日
  • よみがえる天才4 アレクサンドロス大王

    Posted by ブクログ

    経歴を華々しく語る偉人伝や伝記と違い、研究者目線で今分かる範囲のアレクサンドロスを記した本。
    アレクサンドロスの逸話の幅広さ故に実像に迫ることの難しさも伝わってきた。
    アレクサンドロスに関する著書は初めて読んだが、この本を読んで歴史小説でアレクサンドロス・ロマンスに触れてみたくなった。

    0
    2024年06月02日
  • よみがえる天才4 アレクサンドロス大王

    Posted by ブクログ

    数多の伝説に彩られたアレクサンドロス大王に関して、歴史学的手法に基づき、最新の研究成果をもとにその実像を可能な限り手繰り寄せると同時に、それぞれに時代や地域においてアレクサンドロスがどのように解釈されてきたのか紹介した著作。

    0
    2021年08月06日
  • よみがえる天才4 アレクサンドロス大王

    Posted by ブクログ

    英雄アレクサンドロスの一生と評価の変遷を辿った興味深い一冊。
    短期間であれほどの広大なエリアを征服した王だが、獅子身中の虫たる支配した地域の管理や、過度の疲労とストレスを強いられた兵士達への対応など私の疑問に答えてくれた内容に大満足。
    アレクサンドロスを英雄と見るか暴君と見るか?まだまだ興味は尽きない。

    0
    2021年01月21日
  • アテネ 最期の輝き

    Posted by ブクログ

     ペロポネソス戦争後のギリシアというと、B.C.338年、フィリポス二世率いるマケドニア軍にカイロネイアの戦いで敗れ、その後のアレクサンダー大王の東征もありで、すっかり脇役の存在になってしまったとの印象を持っていた。
     しかし、カイロネイアの敗戦後、アテネはフィリポス二世から極めて寛大に扱われたため、B.C.323年のラミア戦争(アレクサンドロス王死去後のギリシア・マケドニア間の戦争)勃発まで、前例のない「平和」と「繁栄」の時代であったという。そして著者は、この時代の代表的な政治家・弁論家であるデモステネスを主人公に、アテネ民主政の実態を描き出していく。

     だいたいこのデモステネスという人物

    0
    2024年07月11日
  • よみがえる天才4 アレクサンドロス大王

    Posted by ブクログ

    名前は知っているし、とにかく広大な領土を手にした人だということは知っていたけど、もう少し詳しく知りたいと思って読んだ。今となってはわからないこともたくさんあるが、そこが想像が膨らみ、面白い。父親の影響の大きさ、コンプレックスとか人間味あふれるアレクサンドロス大王を感じられた。

    0
    2021年05月02日
  • よみがえる天才4 アレクサンドロス大王

    Posted by ブクログ

    アレクサンドロス大王は当時、世界一の王で、32歳の若さで亡くなったが、人々をひきつける魔力のような輝きを持っていた。
    超強力兵器の「サリッサ」すごい。
    父はヘラクレスの末裔、母はアキレウスの末裔。アレクサンドロスはギリシア神話の2大英雄の血を引いている。
    武力征服、侵略、民族絶滅戦争のような凄まじい戦いを繰り返して世界一の王になる。
    アレクサンドリア都市を創建。
    王室日誌によると、アレクサンドロスの死因は熱病。マラリア、急性膵炎、腸チフス、西ナイル熱、毒殺など様々な説がある。
    英雄であるアレクサンドロスは、死後2千数百年たった今でも威光を放ち伝説になって語り継がれているすごい人。

    0
    2021年04月06日
  • アテネ民主政 命をかけた八人の政治家

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    民主主義の源流は、教科書によれば、古代ギリシアのアテネ。

    直接民主制というスタイルだから現代の間接民主制とは大きくことなるが、だれでも参加と責任をおうとう意味では同じ。

    しかし様相は大きくことなる。

    まず官僚も政党も存在しないから自分で説得してリーダーになるしかない。それは何を意味するか。市民は政治家を絶えず監視したというから、問題があればいつでも弾劾裁判にひっぱることができたという。

    そこで有罪をうけるとほぼ死刑という命がけ。だから逆説的に言えばソフィスト的議論が蔓延することにもなる。

    本書は、歴史に残る政治家に焦点を宛てた人物史というスタイルをとりながら、その内実を平易に紹介した

    0
    2012年05月25日