小松正之のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
マグロが回転寿司やスーパーからなくなる、世界的シーフード・ブームで日本の業者が魚を買いつけられなくなる等、連日報じられる魚をめぐる危機。
しかし事態はもっと深刻だ。
このまま手をこまねいていれば、多くの魚が日本人の口に入らなくなる日は遠くない。
国際捕鯨会議のタフネゴシエーターとして世界に名を馳せた著者が、あまりに世界から立ち遅れた日本漁業の惨状を指摘。
マグロだけじゃない!
サバ、イワシ、タラはいつまで食べられるのか。
[ 目次 ]
第1章 日本の食卓から魚が消える?(二〇四八年、海から魚が消える? 七五パーセントは、もう獲ってはいけない魚 ほか)
第2章 日本の漁業は倒産状 -
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世界から見た日本の漁業の実態について注意喚起を促す本。(1)FAOからみて、世界の主要な漁業資源の75%は過剰利用状態、(2)日本の漁業の生産量は2005年段階で572万t(ピークは1984年の1282万t。但し、海洋環境に伴うマイワシの大量発生による嵩上げで実態は1970年代から縮小)。(3)地産地消されず大都市圏に流れる魚、(4)漁業従事者は22万人。うち半分の10万人は60歳以上、(5)海洋予算2700億円中、2/3は港湾整備。全土開発的な港湾整備へのバラマキの結果、肝心の漁船建造やシステム改善には使われない。米(3000億)、EU(5500億円)は漁船にも補助金を投入、といった問題点
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日本の漁業が今どうなっているか?一般に知られていない事実が次々に明かされます。(実際にはここで明かされるのではなくずっと前から議論されていた内容で、私が知らなかっただけなんでしょうが)農業では「地産地消」が定着しつつありますが実は漁業は非常にお寒い状況にあります。価格が低いという理由で豊富にとれるサバを獲らず、結局ノルウェー産のものを輸入。カツオはペットフード用のものを輸出する一方、鰹節用のものを輸入…と日本漁業のちぐはぐさが指摘されます。一番考えさせられるのが所謂、「地魚」が絶滅寸前(種としても減っていることに加えて沿岸漁業が壊滅寸前)という事実です。
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ネタバレ水産庁において、タフな国際交渉をこなしてきた著者の経験を中心に、一筋縄ではいかない交渉のダイナミズムを知ることができる。
特に印象的だったのが、200カイリ漁業水域の設定による、アメリカの排他的経済水域内での漁業権益交渉の帰結である。
サケマス漁業のための重要な漁場であった、同水域について、日本はアメリカの定めた200カイリ内での漁業権を確保するために、劣位な交渉を続け、最終的には撤退を余儀なくされた。
元々、サケマスの消費が少なく、加工技術もないアメリカにとって同海域は、日本にとって価値があるが自らは利益を得られないという環境にあった。
しかし200カイリの制限により、日本は漁をしたけ -
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日本と世界の漁業の現状や資源量について学ぶために読んだ。著者は、水産庁で働き、IWCなどの国際会議に出席していた人。本書も、建前はほとんど感じられず、個人的な主張を交えたざっくばらんな語り口で書かれている。ただ、内容は表面的な印象が強かった。
30〜50年周期の魚種交代について説明し、マイワシやマサバを食べるのをやめて、カタクチイワシやサンマ、ゴマサバ、ホッケを食べることを勧めている。
・親潮が強かったときに豊富だった魚種:マイワシ、マサバ、スケソウダラ
・1990年以降、親潮が弱くなってから豊富になった魚種:カタクチイワシ、サンマ、カツオ、ホッケ
・カツオ:もっとも赤道の近くに生息してい -
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「多くの漁師が、たくさんいる魚を獲ろうとせず、わざわざあまりいない魚を獲りに行こうとするケースが多い。彼らが求めているのは『簡単に獲れる魚』ではなく『高く売れる魚』だからだ」。恐らくこの考えが日本の漁業を荒廃させた原因だと思います。
著者は水産庁を経て、現在は独立行政法人水産総合研究センター理事を務める、小松正之氏。様々なデータを提示しながら、日本の水産業の現状について警鐘を鳴らす。
・ピーク時の1982年には全体で3兆円近くあった日本の漁業生産額は2005年には1兆6000億と半減。
・1964年には113%だった日本の食用魚介類の自給率は2005年には57%に落ち込む。
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★魚の名前も多く手ごろな水産政策入門★岩手出身の元農水官僚による入門書。マグロが安く食べられるようになったのはつい最近の話、取れる魚を食べろ、(このペースで減れば)22年後には漁師がいなくなるなど個別の魚をテーマに日本の水産の現状を分かりやすく説明する。日本の水産予算(2600億円)は米欧に見劣りしないが、日本は予算の3分の2が漁港整備を中心とした公共事業に使われる。諸外国は漁船の整備にも3割ほどかける(日本は7%)。東日本大震災からの復興に絡み、民間企業にも漁業権を与える宮城県の特区構想に漁民が大反対しているが、10年もすればそうした人すらいなくなってしまうのでは。漁港と漁民の集約・企業化は