井上史雄のレビュー一覧
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ネタバレ新・敬語論
なぜ「乱れる」のか
(NHK出版新書508)
著者 井上史雄+
2 0 1 7年1月10 日発行
NHK出版
謙譲語Ⅱと美化語、分かる?例示できる?
2007年の文化審議会で敬語が3種類から5種類に増えた結果出てきたもの。なんじゃそれ?初めて聞いた、という人もいるかも。
この本の著者、日経新聞の「現代ことば考」でおなじみ、東京外大名誉教授・井上史雄氏は、敬語は難しく、自分も自信がないと書いている。最新刊でそのあたりもちゃんと解説。
言葉の研究者は、「言葉の番人」ではなく「言葉ウオッチャー」である。だから、まともな研究者はみんな、言葉使いのダメだしではなく、変化を分析する。こ -
Posted by ブクログ
敬語の変化がわかる本。
大勢としては、尊敬語が拡大し、使うのが難しい謙譲語が後退しているらしい。
まず、 尊敬語。
個人的には、尊敬語を添加するタイプのものを「つぎたし敬語」、特別な敬語動詞に置き換えるのを「言い換え敬語」と呼んでいるのがわかりやすくてよかった。
なお、前者は一般形、後者は特定形という言い方もあるらしいが、断然つぎたし敬語の方がわかりやすい。
今誤用とされる二重敬語も、ものにより「気になる」人の率が変わるのが面白い。
「おっしゃられた」は気になるのに、「お召し上がりになる」「お召し上がりください」は気にならない人の方が多い。
筆者はやがて二重敬語は普及すると見ている。
よ -
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言語に見られる普遍的傾向として敬意低減の法則がある。使っているうちに効果が薄れ敬意の度合いが下がっていく現象である。待遇価値の下落とも言われ、敬語の使用範囲が時間の経過とともに下位の方へ拡大していっている。「貴様」は中世では敬意の高い言い方で武家の書面で使われたが、今や対等どころか目下へのののしりの言葉に下落している。二重敬語も敬意低減の法則の一つの類型であり、非難されながらも着実にその裾野を拡げてきている。正用・誤用の基準は時代によって変化している。慣用には寛容が肝要。多様性と変化を認めながらゆったりと生きていけば世の中はもっと楽しくなるはず。
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Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
インターネットから映画タイトルに至るまで、あらゆる分野で国内に侵入してくる英語。
さらに、日本経済の衰退、英語第二公用語論の登場などにより、日本語の地位は脅かされている。
一方、敬語と文法、カナ・漢字の使い分けの難しさ…日本語そのものにも国際化を阻む要因は数多い。
このような内外の圧力によって、日本語はこのまま絶滅していくのだろうか。
本書では、日本語が置かれている現状報告と他言語との比較による難易度の客観的データを通して、その生き残り策と未来像を探っていく。
[ 目次 ]
序章 言語の国際化と難易度―経済言語学の視点
第1章 日本語の価値変動
第2章 言語の日英戦争
第3章