加藤精一のレビュー一覧
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さすが
言葉では表現できない悟りの境地を限りなく近いニュアンスで空海は文字にしている。
巷に溢れているスピリチュアル本を読むくらいだったらこの本を読んだほうがよっぽど良い。
もちろん釈迦が無敵(最強ではない)なんだが、日本だと空海が無敵かな。道元も好きだけど。 -
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「はじめに」から引用しますと、法律や道徳だけでは十分でないなにかと信じ込んでみても空しいとすればどうすればよいのというのか、かぞえ24歳の空海は、大乗仏教の精神に活路を見出したのである。
<略>
健全な宗教は爽やかなものでなければならない、まさに泥水から頭を出して花開いた純白の蓮の花の如きものでならない。「三教指帰」にはこの爽やかさが感じられる。
私たちは、この純粋な一青年の、いつわらない心の推移とようやく求め得た大目的とを、すなおに受けとめてみようではないか。
となっておりまして、中身ですが
序章 この書物を書いた理由
第1章 亀気先生の主張
第2章 虚亡隠士の主張
第3章 仮名虎児の主知
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「儒教」の亀毛先生の主張。
人間は動物のように本能に偏った生活をしてはいけない。
口を慎み、孝を実践しなさい。
学問の道や政治の道でもしっかりしなさい。
善い連れ合いを持つべきです。
その上を行くという、「道教」の虚亡隠士(きょぶいんじ)の主張。
彼はわざと愚か者のふりをしていた。
彼は仙人の道を説く。
万物を生成し育むもののの差別のなさを説く。
道教を伝えるには人を選ぶ。
仙人の優れた境遇、秘術について。
そして、世俗への批判。
そして、最後に、「大乗仏教」の仮名乞児(かめいこつじ)が現れ、前者の二人を諌める。
それは孔子の道も、道教の道にも通じるものである。 -
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どこまで行くんだ悟りの世界、って感じです。
分かりやすい日本語訳でしたが、上にいくほど、「こりゃついていけねえわ」でした。
青年期の空海が三教指帰によって明らかにした課題と解答を57歳という円熟期において拡大し構築したもの。
人間の心の在り方を第一住心から第十住心までランク分けしたものであり、それぞれの心の在り方に対応する宗教も説いております。
いえ、ランク分けというよりかは、多様性を乗り越えた共通の帰着点、比較しながら同時に共存できるありかたを空海は見出そうとしていたのかもしれません。
空海の時代には、奈良時代までに大陸から輸入されてきた儒教、道教、小乗仏教、大乗仏教、密教な -
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空海によれば、般若心経には仏教のあらゆる教えが含まれているということ。どんな仏もすべてを語り尽くすことはできない。
仏陀の悟りは、心の一番近くにるということ。
優れた医師は、道端の草をすぐれた薬として見ることができる。
帝釈天の宮殿の網には、ひとつの珠にすべての珠が映えあって映っている。
般若心経は一字一字が法界に蔓延しており、その内容は、過去、現在、未来の三世を貫いて妥当するものであり、私たちの心の隅々にまで行きわたっている。
般若心経によって、社会の現実を仮の姿と認識し、極端な偏見を離れて中道の立場に立つトレーニングを試みよう。
あらゆる思想や宗教にそれぞれの価値をみいだして、それぞれ -
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逝く川の流れは常に流転して住(とど)まることがない。急風(つむじかぜ)は幾たびか、音たてて過ぎかつ消えていく。このように六塵(ろくじん)(色・声・香・味・触・法)の世界はすべて無常であり、人々を溺らせる「迷いの海」であり、常・楽・我・浄という四つの徳性を備えた涅槃の境涯こそが、彼岸にそびえる目標の岑(みね)。三界(このよ)は私たちの真の自由をさまたげる束縛である。空海『さんごうしいき』弘仁貞観。平安初期
三密。印を結び、真言を唱え、仏の姿を感得する。手の指で様々な形を作り、神聖な言葉を唱え、心に大日如来を観ずる。そうすれば、大日如来と修行者は合一し、現世でその身のまま悟りを開くことができる( -
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美しい現代語訳によって、誰もが、弘法大師空海の灌頂を受けることができる。
訳者?である加藤精一さんは、かねてから「弘法大師空海の著作を、できるだけ正確な現代語訳にして、多くの人々にその概略を理解できるようにしたい」と願っていらっしゃったそうです。
そして、空海の処女作である『三教指帰/さんごうしいき』(空海24歳)、『秘蔵宝鑰/ひぞうほうやく』(空海57歳と考えられる)を上梓された後、平成23年、この『般若心経秘鍵/はんにゃしんぎょうひけん』(空海61歳)を出版されました。
空海の著作が、加藤精一さんが訳してくださった現代語のように、丁寧な言葉づかいだったのか?そのニュアンスは、 -
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空海が若干24歳にして記した宗教本。当時の言わば"不良"とも言える蛭牙公子を改心させるため、釈尊の仏教、老子の道教、孔子の儒教それぞれの教えを仮名乞児、虚妄隠士、亀毛先生の三名に語らせるという形式を取る。最終的に加名乞児の語る仏教に軍配を上げ、以って仏教の素晴らしさを説くという内容。
これがなんと千年以上も前に書かれたというから驚きだ。本書には原文も付されているが(読んでないけど)、現代語訳がとても自然なので、この現代語訳だけ読むとあまり違和感を感じないところに一番感銘を受けた。古典というと言葉だったり漢文調だったりその文章形態によって近づき難いものだという印象を受けるが、現代の言葉で読むと結 -
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真言宗開祖・空海による般若心経の解説。
とてもわかりやすい現代語に訳されていて、
それを見ながらだと、古文が苦手な人も
原文がなんとなく読めてしまうのではないかと思います。
ただし、あくまで「真言密教」から見た般若心経の解釈です。
必ずしもオーソダックスな般若心経の解釈ではないと思います。
ですが、般若心経を、大乗仏教のためのお経にとどめず、
逆に密教のものであると主張するわけでもなく、
あらゆる教えを包摂したお経であるとしています。
訳者が述べています。これが空海がこの『秘鍵』にこめた想いだと僕も感じます。
「 あらゆる思想や宗教にそれぞれ価値を見出してそれぞれの地位を与え、それぞれが違 -
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空海が24歳の時に書き記したとされる書。ですから空海の思想のすべてが述べられているわけではありません。ですが、原点はここ。そしておそらくはそれほどぶれることなく空海の思想を完成させていったと思われます。
また、空海の学びに対する真摯で強烈な想いも伝わってきます。これに比べれば現代の受験戦争など、、、と思うはず。
結果的に儒教や道教の批判になっているので、その道を信じる方々には不満もあろうかと思います。一般的な意味での処世術、現実社会を生きていく上では儒教のほうが有効性が高いとも考えられてますから。
ただ、もし読む機会があるのなら、大乗仏教のスケールの大きさを感じてほしいと思います。目先のこと