あらすじ
宗派や時代を超えて愛誦される「般若心経」。人々の幸せを願い続けた空海は、最晩年にその本質を〈こころ〉で読み解き、後世への希望として記した。名言や逸話とともに、空海思想の集大成をわかりやすく読む。
※本作品は紙版の書籍から解説が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
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Posted by ブクログ
般若心経を忠実に読み解くというよりも、
空海が密教の教えから般若心経を大胆に解釈したというのが『般若心経秘鍵』
すこしぶっとんだ内容のように思ったが、宗教書であるならこれくらいの大胆さがあるべきだろうと納得した。
空海の壮大な精神には感服するほかないし、
それをなさせた般若心経とはやはりものすごい哲学だ。
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空海によれば、般若心経には仏教のあらゆる教えが含まれているということ。どんな仏もすべてを語り尽くすことはできない。
仏陀の悟りは、心の一番近くにるということ。
優れた医師は、道端の草をすぐれた薬として見ることができる。
帝釈天の宮殿の網には、ひとつの珠にすべての珠が映えあって映っている。
般若心経は一字一字が法界に蔓延しており、その内容は、過去、現在、未来の三世を貫いて妥当するものであり、私たちの心の隅々にまで行きわたっている。
般若心経によって、社会の現実を仮の姿と認識し、極端な偏見を離れて中道の立場に立つトレーニングを試みよう。
あらゆる思想や宗教にそれぞれの価値をみいだして、それぞれの地位を与え、それぞれが違いは違いとして認識しながらも、手を握り合って大道を歩むこと。
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美しい現代語訳によって、誰もが、弘法大師空海の灌頂を受けることができる。
訳者?である加藤精一さんは、かねてから「弘法大師空海の著作を、できるだけ正確な現代語訳にして、多くの人々にその概略を理解できるようにしたい」と願っていらっしゃったそうです。
そして、空海の処女作である『三教指帰/さんごうしいき』(空海24歳)、『秘蔵宝鑰/ひぞうほうやく』(空海57歳と考えられる)を上梓された後、平成23年、この『般若心経秘鍵/はんにゃしんぎょうひけん』(空海61歳)を出版されました。
空海の著作が、加藤精一さんが訳してくださった現代語のように、丁寧な言葉づかいだったのか?そのニュアンスは、私にはわかりませんが、その優しいことばから、いやきっとそうだのだろうと、弘法大師空海のお人柄が偲ばれます。
この、私でも理解できる美しい現代語訳によって、誰もが弘法大師空海の灌頂を受けることができます。こうして、加藤さんが、成し遂げられた、このようなお仕事を人は、ライフワークと呼ぶのではないでしょうか?
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顕教をしのぐ真理であるはずの密教(真言宗)が、大乗経典である般若心経をなぜ重んじるのか。空海お得意の我田引水的な論理が展開される。悪くないです。
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真言宗開祖・空海による般若心経の解説。
とてもわかりやすい現代語に訳されていて、
それを見ながらだと、古文が苦手な人も
原文がなんとなく読めてしまうのではないかと思います。
ただし、あくまで「真言密教」から見た般若心経の解釈です。
必ずしもオーソダックスな般若心経の解釈ではないと思います。
ですが、般若心経を、大乗仏教のためのお経にとどめず、
逆に密教のものであると主張するわけでもなく、
あらゆる教えを包摂したお経であるとしています。
訳者が述べています。これが空海がこの『秘鍵』にこめた想いだと僕も感じます。
「 あらゆる思想や宗教にそれぞれ価値を見出してそれぞれの地位を与え、それぞれが違いは違いとして認識しながらも、手を握り合って大道を歩んでいけば、構想や対立を避けることもできるし平和と共存が可能になるであろう。 」
9世紀にこんな思想を打ち立てた空海はやはり常人ではない。
Posted by ブクログ
こちらは流し読みしてしまいましたが、
飲茶さん著「史上最強の哲学入門 東洋編」の
釈迦、龍樹の章で補完され自分の中で理解が進みました。
空海の求めた(であろう)、宗会派を超越した世界に通じる原点である、釈迦「縁起」⇒龍樹「空」と進む概念の変遷と経緯を知れたので、あらためて
本書の「空」について実感が深まりました。