山鳥重のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレわかるということは当たり前に起きている出来事だけど
それができるようになるためには
それはそれはたくさんの段階が必要になること。
時には繰り返し、繰り返し行って
定着させることが必要になることが
ままあります。
と、思うと人の理解というものは
長い時間をかけなければできないということ。
そして、きちんとそこに目的や
考えがなければ身につかないということ…
何気に恐ろしいこと言っていますよね。
この中には深い言葉が1つあります。
それはわかるということは理解できたものの、
それをおろかな手段に使い
後世にもさらし者になった人たちに対する
批判です。
分かりやすい集団ですけどね。
あの人たち -
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ネタバレ『本当にわかったことは応用できます』とある。『うまくまとめられると、わかったという感情が生じる』し、『わかる』と『自分のもの』にすることができる。
ただ、それがむつかしい。著者は『訓練さえすれば、われわれの知覚はすごい弁別能力を発揮します』という。いくつかポイントがある。ひとつは『見当をつける』こと。『小さな状況の理解(小さな意味)はたいして重要でない』、『遠い距離から眺め、他の問題とのかかわりがどうなっているのか』など『全体像を掴む』ことだ。ただ、『あらかじめある程度の考えを持っていないと、見当をつけらない』とのことなので、『わからない場合はまず図を作ってみる』とよいとある。人は『表現しよ -
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「言葉が出ない」「発話できない」ってそもそもどういうことなの?「言葉を失う(文字通りの意)って、何??」という疑問から手にとった本。脳・神経医学の著者が症例を元にわかりやすく説明してくれていて非常に興味深かった。
言葉を失う、というか言葉がどのように脳で生成され発話されていくのか、に至ってもまだまだ解明されている部分が少ないんだね。「脳と心は別もんです」と序盤ではっきり言ってくれているのも好印象。失語症患者でも歌はうたえる、呼称できないモノや意識できない身体の麻痺について脳が勝手に補填して文をつなげてしまうことがある、というのが特に印象深かった。脳損傷によって「心理的空間」が壊れてしまう・・・ -
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☆☆☆☆
この本を読みながら常に頭に置かれていたのは【心像】と言うイメージです。記憶するにも、感じるにも自分の内部に存在するこの心像という器という自分の外に想像した心像という器に、砂を注いで満たしていくそんなイメージで読み続けました。
・「知識の網の目のお話し」は『天網恢々疎にして漏らさず』という老子の言葉が良いイメージ創りをしてくれました。
・「絵の極意はひたすら見ることにある」という高名な日本画家の言わんとすることも、外の心像が自分の内部の心像の器に砂を注いでそれを創り上げていくことをイメージして読んでいました。
そのほかにも、「いい表現だなぁ」「そう言うとらえ方もあるなぁ」と自分の -
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筆者は神経心理学を専門とする医学博士で高次機能障害の研究を中心にしている。本書は脳を医学的な立場から分析し、心という極めて曖昧な対象を科学的に分析しようとする学問的立場を分かりやすく述べたものである。
脳の研究にはさまざまな立場があるが、不幸にして機能障害に陥った人の研究から逆に脳の機能を分析的に考えることが可能になることがある。脳の一部の機能を失ったことによってどのような障害が発生するかを観察することによって、脳の部位とその機能の関連が分かるというものだ。言語機能は数々ある脳の機能の中でもかなり高度なものであり、人間だけにことばがあるのもその脳の機能の複雑さがもたらすものである。だからこ -
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平易な言葉遣いで、これまでの研究と自説を展開しつつ失語症についてまとめてくれている新書です。
ただ、じゃぁどうやったら失語症が治るのかという問いには答えていませんというか答えられないというのが現実なのではないかという感想も抱きました。
脳と心の違いに最初に触れていただけてるのもありがたいです。
ただ概念についてはもう少し踏み込んで欲しかったかなぁというのはこれは心理学的な立場から飲み方でしょうか。
最後、山鳥さんご本人が
「読み返してみて、俺はまだまだなにもわかってないな」というもどかしさだけが残っています
と記してらっしゃるのですが、本当に読みながら「ことばとはなんぞや意識とはなんぞ -
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[ 内容 ]
われわれは、どんなときに「あ、わかった」「わけがわからない」「腑に落ちた!」などと感じるのだろうか。
また「わかった」途端に快感が生じたりする。
そのとき、脳ではなにが起こっているのか―脳の高次機能障害の臨床医である著者が、自身の経験(心像・知識・記憶)を総動員して、ヒトの認識のメカニズムを、きわめて平明に解き明かす刺激的な試み。
[ 目次 ]
第1章 「わかる」ための素材
第2章 「わかる」ための手がかり―記号
第3章 「わかる」ための土台―記憶
第4章 「わかる」にもいろいろある
第5章 どんな時に「わかった」と思うのか
第6章 「わかる」ためにはなにが必要か
終章 より大 -
Posted by ブクログ
先ず、ことば、というものの性質と成分を分けて、
健常人がどのように言葉を使っているかを解説した上で
具体的な失語症の症例を分類し、その損傷脳部位を併せ見て脳と心と言葉の関係を紐解く一冊。
深く突っ込まなければとりあえずは全くの素人でも読めるました。
初めの「言葉の音」の定義や、脳部位の名前などは見慣れない単語が並んで戸惑いましたが、
著者が一般読者に伝えたいものは概要だと思うので、
脳、こころ、ことば、の関係がどのように絡み合っているかのイメージをつかめたらそれでヨシ。
失語症という病に興味のある人、言葉というものが、本来他人と共有されるはずのない心という現象を外界へ表出する、ということに -
Posted by ブクログ
ネタバレ仕事をしていると、よく「分かりやすい説明」を求められます。でも、その「分かりやすい説明」は往々にして相手が代わると通じなくなります。
分かりやすいって、なんて分かりにくい概念なんだろうと思い、本書を手に取りました。
内容的には、言語学や心理学の入門書や、資料の作り方のハウツー本を、「わかる」をテーマに整理し直したものといったところ。
著者の専門である高次機能障害学も、脳損傷の方のエピソードとしては使われますが、理論的な説明に踏み込むわけではなく、読むためのハードルにはなりません。
筆致も平易に語ろうとする姿勢が感じられます。
ただ一点、個人的に目から鱗だったのが、わかる・わからないは、感情 -
Posted by ブクログ
む、難しい……。断片的にしか理解できてないけど、興味深い部分はたくさんありました。
特に印象に残ったところメモ。
●脳機能に異常が生じて認知機能に障害が出ると、「それが認識できない世界」がその人にとっての普通になってしまう
認知症の人が「自分の記憶や認知機能に欠けがある」ことを自覚できなくなるのって、そういうことなんだなぁって納得した。
と同時に、自分が本当に世界を正しく知覚できてるのかどうか、少なくとも危ないものをちゃんと認識できているのか怖くなってもきた……。
●脳細胞の成長=既にある記憶のアップデートしかできない
これ『独学大全』の読書猿さんもネットのコラムで言ってたりしたので、既に -
Posted by ブクログ
精神科の先生が書かれた本。
「わかる」と一言にいっても様々なグラデーションと種類がある。
同じ言葉でも人によって捉えている「心像(メンタルイメージ)」は異なり、それが共通しているとい前提が成り立つから会話も可能になるそうだ。
たしかに、誰かと会話していて、ある言葉に対する認識が違っているせいで誤解が生まれて、衝突しているケースは多い。
中には意味を理解せずに言葉だけが先走っていることもあり、コミュニケーションとは言葉の前提にあるメンタルイメージが共有できるからこそ成り立つものなのだと感じた。
とはいえ、見えないし聞こえないメンタルイメージを共有するのは難しく、話し合ったり、同じ経験を共有したり