宮野真生子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
映画を観て、気になって原作を読んだ。
映画もよかったけれど、それとはまた違う魅力があって良いい。
感動とも違うし、面白いとも違うんだけど、なんだかいいものを読んだな、という快感だけがじんわり残る。
往復書簡という形式で展開される、哲学者と人類学者の美しいやり取り。
序盤は穏やかにやり取りされる中で、ちょいちょい感心させられたり、考えさせられたりしながら進む。
しかし時間が進むにつれ、宮野氏の症状が悪化していく。
これに伴い、二人はより具体的な事象を取り扱うようになり、言葉に熱がこもっていく。
哲学者宮野の生き様はこうだ、と見せつけられ、魂を震わせられる。
ぜひご一読あれ。 -
Posted by ブクログ
癌の転移を経験しながら生き抜く哲学者・宮野さんと、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者・磯野さんが、死と生、別れと出会いについて交わした往復書簡
。宮野さんの具合が悪くなっていく過程は読んでいて辛いものがありましたが、お二人が真摯に生と死に向き合い、言葉を紡いでいることが文章からひしひしと伝わってきました。
特に印象的だったのは、6便の『転換とか、飛躍とか』で、宮野さんが日常フェーズと患者フェーズを分けて考えられていたこと。100%患者でいたくない宮野さんならではの考え方で、病状が進行すると日常が患者フェーズに塗れつぶされそうになってしまう。本来、日常生活というのは、いろいろなフェーズが混じり合 -
Posted by ブクログ
「急に具合が悪くなるかもしれません」「3週間ほどで亡くなった方もいます」と医師に言われるも、確率の罪深さ、あくまで可能性の問題だと。
また人類学者ならではの少数民族の話を引き合いに「確率」と「運命」について論じてみたりする中で、哲学者は「私がガンになったのは不運ではあるが不幸ではない」ことに考えいたる。
病はモルヒネを使っても痛みが取れない状態まですすみ、まさに「急に具合が悪くなる」
「あなたのやってきた学問は、今のあなたの病や心を助けられませんか」と問う。
ガンサバイバーの私としてはこの前半も興味深かったけれど、後半の「出会い」「偶然性について」語り「運命」という言葉に辿り着く。
やっぱり待 -
Posted by ブクログ
映画を観る前に、と思って読んだが、とんでもない熱量の本でした。最初は1速。ゆっくりとしたペースで、他者のエピソードも交えながら始まった偶然性を巡る対話は、書簡を往復するごとに加速し続け、最終盤ではさながらラップバトルのように、互いに自らを差し出し合って言葉という言葉を乱打する。
哲学と文化人類学、偶然と必然、ラインと連結器。議論が抽象的な概念の間を高速で移動しているかと思ったら、次のページでは具体的な病状にグッと着地して、の繰り返し。読み終わった後、しばらく動けなくなりました。泣くかと思ったら泣かなかったし。2人の生き様をライブで追体験するような、不思議な読書体験でした。 -
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来週の映画公開に向けて、おそらく5度目?の再読 言葉ひとつひとつに血と汗と涙と体重を感じて、どんどんソリッドになっていくやり取りに目を見開く 10便「ほんとうに、急に具合が悪くなる」以降の張りつめた緊張感、大切なものが目の前で結実しながら同時に手からこぼれ落ちていく混乱と奇跡にどうしても泣いてしまう 特に印象に残る箇所を引用するのは文脈から言葉を切り取ることで根の張った植物が花束に変わってしまいそうで躊躇するけど、出会い直しのきっかけを蒔くため残しておく たったの9ヶ月で魂を分け合う、そんな運命的な「偶然」に立ち会う その時間を目で追いながら追体験する 過ごした時間やその重みは負えなくても、そ
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久しぶりに読書で食らった。
読み終わって5分程度動けなかった。癌を患った宮野さんの内容も凄いが、その回答を引き出す磯野さんも凄い。後半の2人の鬼気迫るやりとりと内容が胸に刺さった。特に点とラインの話が特によかった。
何か分かり合えないことがあった時、一方的に何かを浴びせるのではなく、分かり合えないとしても、分かろうとする態度でいること、ともに考える姿勢で歩んでいくことが自分も含めて必要なんだろうな、と現時点の僕は受け取った。
沢山のものをこの本から受け取った。読む前と読んだ後で世界の見え方が異なる。
また一年後に読みたい。そのとき自分が何を感じるのか。この本を読んで少しでも自分が思う良い方向に -
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ガンが進行し、医師から「急に具合が悪くなる」ことがあるからそれに備えるよう告げられた哲学者が、今後は起こり得るリスクを想定し、つど合理的な判断を下さねばならないというライフステージに立つことになって、ふと「急に具合が悪くなる」ことは誰にだって起こるといえば起こることなのに、ふつう分岐点や選択肢について一々意識して人生送ったりしてないよな、と、分岐点と選択を伴う人生の在り様への違和感について疑問を抱くことから、同年代の文化人類学者との間で往復書簡という方法で思索の旅が始まって行く。
違和感の正体は「分岐点でそのどちら側かを選んでも、選んだ結果としての未来を選びきることができない(選択の判断基準 -
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泣いた。めちゃくちゃ泣かされた。
ガンを患う哲学者の宮野さんと人類学者磯野さん二人の書簡集。
序盤は、ガンという病を「偶然」患うということについて、その偶然性というものに関する解釈を哲学と人類学から行う。
このあたりは実に学者同士らしい。実に客観的なもので、同じく偶然を扱うも、その偶然はあるいは統計的な誤差とか、平均からは離れた値として処理する私のような職業の者にとっては「なるほど」と膝を打つような、若干アカデミックな視点でやりとりを読む。
両者は終始このスタンスを崩さない。
崩さないのだが、書簡の中で、明らかに両者の関係が深まっていくのが見て取れる。
常に客観的なのだが、深い愛情のようなも -
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濱口竜介監督が映画化するとのことで。まさしく濱口映画のモチーフである「偶然と必然」「他者との対話と関係性」の究極のような書簡集で、完全にくらってしまった。奇しくもアルモドバル監督作『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』にも通じる思想を感じた。
がんに侵された哲学者・宮野真生子と彼女に伴走することとなった人類学者・磯野真穂。哲学者ならではの緻密な視線で生死や己の思考を見つめる宮野さんと、驚異の真摯さと引き出し力で相対する磯野さん。お互いの知性や人間性への信頼と尊敬がなければ構築し得ない関係性。一年足らずの間にこの出会いのわくわくと喪失の恐怖が急降下しながら同時にやってくる稀有な体験を走り抜き、文字にし