宮野真生子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
書簡ってテキストなのに、会話みたいに温度の変化が表れるの面白い。
いい本に出会った時の気分って、自分がずっと思ってたことをうまく言語化してくれてるっていう感覚に近いって聞いたことがあるけど、まさにそれがある。後半の"タイミング"の話であるように、偶然は無為に起こるようで、たしかにそこに自分が介入して掬い上げてる。例えばある映画に何も感じない人もいれば、人生に大きな影響をもたらされる人もいるということに近い気がする。たしかにその映画を見て感銘を受けて、新しい歯車がまた人生を駆動させていく。その映画は自分にとって何の記憶にも残らない可能性があった"にもかかわらず&q -
Posted by ブクログ
小説じゃない本でこんなに心を動かされたのは初めて
選択とは、一つの道を選ぶのではなく、その先にあるあらゆる可能性を引き受けること
例えば、標準医療の科学的根拠だって〈かもしれない〉の積み重ねでしかなく、必然なんてない。
そんな中で、何に価値を見出し、何を信頼(=わからないはずの未来に対してあらかじめ決定的な態度をとること)するのか、どの道なら受け入れられるのか。
そして、こういう人間だからこういう選択をするのではなく、選択を通して自己が現れてくる。
逆に、あらゆる可能性に開かれている状況で、一つの物語を押し付けられ、生き方をその中に押し付けられていることが「不幸」であるといえる。
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Posted by ブクログ
正直今年読んだ本の中で1番面白かった。
哲学者と人類学者の往復書簡で、お互いが分野外の親しい人に向けて書いているせいか、哲学的だったり抽象的な内容でありながら、あまり難しさを感じずに読めた。
2人の仲の良さは感じられるが、生活感の強い話はそこそこに、病や死とどう向き合うか、お互いの専門分野ではどうか、というところに重点が置かれていたのも良かったポイントだと思う。
生活感が強すぎるとただの身内の馴れ合いのように見えてしまうが、弱すぎてもリアリティというか人肌感がなくなってしまうため、そこの塩梅が良かったように感じる。
映画化で話題になっていたので読んだが、読めて良かったと思った。 -
Posted by ブクログ
往復書簡集。磯野さんも宮野さんも、最初から結末がこうなるのはわかっていたと思う。そのうえで「負けねーよ」「勝ちに行くぜ」と言い合っている。死を克服して生き延びるのではなく、確実にくる最期まで生き抜こうぜという掛け声の交換だったのだろうと思う。最初から運命や確率を話題として始まった往復書簡は、宮野さんの専門の一つであった九鬼周造を参照しながら「(前略)偶然と運命を通じて、他者と生きる始まりに充ちた世界を愛する(後略)」(p235)という宮野さんの結論で幕を閉じる。宮野さんはここで、勝ち負けというモードから自身と他者の生と死を愛するモードへ歩みを進めたのではないか、と感じた。