宮野真生子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
小説じゃない本でこんなに心を動かされたのは初めて
選択とは、一つの道を選ぶのではなく、その先にあるあらゆる可能性を引き受けること
例えば、標準医療の科学的根拠だって〈かもしれない〉の積み重ねでしかなく、必然なんてない。
そんな中で、何に価値を見出し、何を信頼(=わからないはずの未来に対してあらかじめ決定的な態度をとること)するのか、どの道なら受け入れられるのか。
そして、こういう人間だからこういう選択をするのではなく、選択を通して自己が現れてくる。
逆に、あらゆる可能性に開かれている状況で、一つの物語を押し付けられ、生き方をその中に押し付けられていることが「不幸」であるといえる。
-
Posted by ブクログ
正直今年読んだ本の中で1番面白かった。
哲学者と人類学者の往復書簡で、お互いが分野外の親しい人に向けて書いているせいか、哲学的だったり抽象的な内容でありながら、あまり難しさを感じずに読めた。
2人の仲の良さは感じられるが、生活感の強い話はそこそこに、病や死とどう向き合うか、お互いの専門分野ではどうか、というところに重点が置かれていたのも良かったポイントだと思う。
生活感が強すぎるとただの身内の馴れ合いのように見えてしまうが、弱すぎてもリアリティというか人肌感がなくなってしまうため、そこの塩梅が良かったように感じる。
映画化で話題になっていたので読んだが、読めて良かったと思った。 -
Posted by ブクログ
*この本を残してくれてありがとうございます。
と心から思う。
宮野さんが磯野さんと出会えて良かった。
命がけで言葉を渡してくる宮野さんも、逃げ出さなかった磯野さんも尊敬する。自分が何をするべきかを己の命が求める使命感と絶対に逃すことのできないその瞬間、瞬間に適切な形で想いを言語に変えられる力には、私の魂に響くものがあった。人間ってすごいんだな、と思う。
「くもをさがす」でも、自分のアイデンティティが病気に支配されてしまうことに言及されていた。
そして、これが自分だと思っているものは実はいろんな偶然性からその道へと運ばれたことも往々にしてある。
意図することが全て正義ではなくて、他者との関係性 -
Posted by ブクログ
生きてきて、出会えてよかったと思う本がある。
私にとってそのうちの一冊です。
たくさんの既成概念に苦しんでいるひとがいる。苦しみはいつもとても個人的なものだと思う。
普通の枠に孤独感を持つ、怒りや孤独は深い痛みになる。
死を迎えるひとと、生き残るひと。その二人は大きく隔てられて言葉も無くしてしまう。
それでも、「ただのあなたと私」で繋がり続ける物語(往復書簡)です。
病気にどう向き合うか、向き合わないか、受け入れるか、抗うか。
病気に自分らしさを削られているひとのそばに、臨床に立つものとして、自分の考えを新たにする必読の一冊だと思いました。
今年映画化され、そちらはまだ観ていませんが、映画 -
Posted by ブクログ
同タイトル映画の主演女優2人がカンヌで賞を取ったことにより、書籍の存在を知り、映画を見る前に読もうと本を手に取った。
同時期に自分の母が急に具合が悪くなり、このテーマを読むことに抵抗を感じだが、この偶然?必然?を受け入れようと読み始めた。
学者同士、人間同士、女性同士の深い言葉のやり取りに、引き込まれるように読んだ。彼女たちが書いていることは、たくさんの人たちも考えていることだが、彼女たちのように言語化できずにいるのだと思う。自分では言語化できなくても、魂のレベルの話だから、読みながら「ああ分かる」となった。かなり深い内容で消化不良感はあるが、読んで良かったし、また読み返したいと思う。
読み進