宮野真生子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ良すぎた。まごう事なき⭐️5、手元に置いて何回も何回も読みたい本。
序盤は元気があるから、がん患者に収まりたくない!の強い気持ちがすごい。8年も癌と付き合ってたらそんな風に思うのか?全身状態も深刻じゃないみたいだし、全ての癌患者には当てはまらんなーって白けた頭で読む医療者目線の自分がいた。磯野さんも失礼だなー、なんで宮野さんを逆撫でするような事ばっかり、と思ってた。→これは患者と非患者に2人を固定して、理想の関係とのギャップに不満を感じていたから!と気づく。
〇〇の接し方、多様性の話(9便)では、ハッとすることが多かった。言語化できない違和感が輪郭を持ったように感じた。医療者として働く自分とそうじゃない自分が棲み分けられてなかったんだと理解。医療者でないときに、役割固定して点にならなくて良い、ラインを描くことこそが大事なんだ、と。
他にも選ぶこと、不運と不幸、徒歩移動と輸送どれも心に刺さった。私はこんな風に生きたいんだ、と思った。登山が苦手でハイキングが好きなのもこの理由だよー、と嬉しくなった。
どんどん具合が悪くなると、心情も刻々と変わる。あんなに強気の宮野さんとストレートを投げ続ける磯野さんではなくなって、、ただ、2人はずっとまっすぐ向き合って言葉を紡いでいた。かっこ良い。素敵な関係を2人で作っていくのがとても良かった、、 -
Posted by ブクログ
映画を見なかったら読まなかった本。というのは、映画を見た頃、資本主義のシステムのなかで働くことに疲れていた。映画のなかで、全く同じ課題について自分の感じていたことが言語化されていて感激したので、改めて文章で読みたくて本書を買った。が、映画とは、二卵性双生児ですらなく、かなり歳の離れた姉妹みたいなものと思ったほうがよい。
それでも、読んでよかった。二人の学者の魂の往復書簡は、事態の緊迫とともにドライブ感が増していく。人と生きること、世界に自分を開くこと、未来に誠実につなげることができている二人の交わす言葉は、大袈裟でなく、胸を打つ。
もう一度映画を見たい。 -
Posted by ブクログ
濱口竜介監督の同名映画を観て、面白かったので、原作として購入。
内容について、とても良かった。
一便一便が短くまとまってて読みやすく、それもよかった。
2/3ほど読んだところで、各書簡の日付を確認して、時間の濃密さに驚いた。
第一便の宮野さんの、リスクと可能性を知ることによって、細分化された人生の分岐が示されたようでいて、本来の無限の可能性を見落としてしまうのでは無いか という話で、かなり引き込まれた。
医師の診断・説明を正しく理解し、そこから今後の人生の道筋を決めるのが患者の自律、自己決定であり大切だと思っていたので、別角度からのこの問いかけは、目から鱗だった。
偶然の話、運命の話、どれも面白かったが、特に心を動かされた言葉は(心は常にうごされっぱなしなのだが)、9便での磯野さんの 「関係性を作り上げることは〜〜次の一歩を踏み出してゆく。」のところ。
「ラインを引くこと」「にも関わらず」この書簡で出てきた色々な言葉、やり取りが、流動的に二人の関係性を構築したことがわかる一節。そしてこれは、10便の宮野さんの、選択した先で自分が立ち現れてくる という話と繋がったいる。
とても面白かったです。おすすめです。 -
Posted by ブクログ
書簡ってテキストなのに、会話みたいに温度の変化が表れるの面白い。
いい本に出会った時の気分って、自分がずっと思ってたことをうまく言語化してくれてるっていう感覚に近いって聞いたことがあるけど、まさにそれがある。後半の"タイミング"の話であるように、偶然は無為に起こるようで、たしかにそこに自分が介入して掬い上げてる。例えばある映画に何も感じない人もいれば、人生に大きな影響をもたらされる人もいるということに近い気がする。たしかにその映画を見て感銘を受けて、新しい歯車がまた人生を駆動させていく。その映画は自分にとって何の記憶にも残らない可能性があった"にもかかわらず"、たしかに自分は感動したのだという事実。素晴らしい映画を見たときに心から生きててよかったと感じるが、その感情の内訳にはもちろんその映画の素晴らしさもありつつ、その映画にここまで深く感動できる自分へのこれまでの人生の肯定感も大きく含まれていると思う。そういった感覚をより明晰に教えてくれた気がする。
また、それとは逆ではっとすることもあって、自分の未来が良くなるようにあれこれ考え、コントロールすることは、その世界に自分しかいないことが前提であるということ。それは、まるで現代社会の中であらゆるものをテンプレート化し、わかりやすく整理して平面的に捉えることととても近い。そしてそれは確かに傷つかないのかもしれないが、その先に果たして何があるのだろう。
「多くの点たちが降り立つ世界を想像し、遠い未来を思いやること、そのとき、私たちは初めてこの世界に参加し、ラインを引き、生きていくことができるのではないでしょうか。」
本当にその通りだと思った。ただ、この世界に存在するのではなく、世界と関わって生きねばという力をくれる言葉だった。
最後に。原作より先に映画を見てしまったのだけど、原作を読んで映画の凄さがよりわかってしまった。やっぱりあの出会いのシーンが本当に凄まじい。2人が一緒に過ごした時間の長さなんて関係なく、あのときあの場所での会話だけで、ぐっとお互いがお互いにとってのかけがえのない存在になるのだと急に気付かされる。あの奇跡を映像化してくれて本当にありがとう!
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Posted by ブクログ
「リスクの話をしましょう。病気を得た人は、常にさまざまなリスクと可能性の語りのなかにいます。」
それぞれに引き出す勇気を持ち、偶然を必然として、引き受ける覚悟を持って出会えたからです。だから、不可能だったかもしれない偶然が生まれた。偶然を「邂逅/出会わせた」のです、私たちのそれぞれの勇気と覚悟が。
具合が悪い人の日常は、具合が悪いことだけで埋め尽くされているわけではなく、そこに異なったものが入るスペースが残されています。それは具合が悪くなるにつれ、どんどん少なくなるかもしれないけれど、具合の悪い人と、そうでない人たちが、互いの間でそれを守り続けようとすること。そこに出会いの中で生きることが意味がある。私はそう感じます。 -
Posted by ブクログ
医療従事者にぜひ読んでほしい。少なくとも私は読んでよかったと心から思う。自分の看護観がいかに一方通行なのか思い知らされるような感じがした。でもそれが決して押し付けがましくなくて、論理的に書かれているからじんわりと受け止められる。
患者さんの意思を尊重する、このワードを医療従事者はある意味都合よく使っていることを実感を伴って自戒した。その上で医者がある程度の道筋を決めてあげる、この案には同意できるところもある。いかに患者さんが狭い選択肢の中で決断を強いられているか、そこに医療従事者がたてる道筋がどう介入するのか、今一度よく考えたいと思う。
後半になればなるほど、おふたりの関係性が深まっていくのが手に取るようにわかる。お互いの領域をいい意味で踏み抜き、鼓舞しあう姿が印象的だった。