【感想・ネタバレ】急に具合が悪くなるのレビュー

あらすじ

もし明日、急に重い病気になったら──
見えない未来に立ち向かうすべての人に。

【濱口竜介監督 最新作】
映画『急に具合が悪くなる』
2026年6月19日全国公開
第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品決定!

哲学者と人類学者の間で交わされる
「病」をめぐる言葉の全力投球。
共に人生の軌跡を刻んで生きることへの覚悟とは。
信頼と約束とそして勇気の物語。

もし、あなたが重病に罹り、残り僅かの命言われたら、どのように死と向き合い、人生を歩みますか?
もし、あなたが死に向き合う人と出会ったら、あなたはその人と何を語り、どんな関係を築きますか?

がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者と、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者が、死と生、別れと出会い、そして出会いを新たな始まりに変えることを巡り、20年の学問キャリアと互いの人生を賭けて交わした20通の往復書簡。

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1便:急に具合が悪くなる
2便:何がいまを照らすのか
3便:四連敗と代替療法
4便:周造さん
5便:不運と妖術
6便:転換とか、飛躍とか
7便:「お大事に」が使えない
8便:エースの仕事
9便:世界を抜けてラインを描け!
10便:ほんとうに、急に具合が悪くなる

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宮野真生子(みやの・まきこ)
福岡大学人文学部准教授。2000年、京都大学文学部文学科卒業。2007年、京都大学大学院文学研究科博士課程(後期)単位取得満期退学。博士(人間科学)。専門は日本哲学史。著書に『なぜ、私たちは恋をして生きるのか──「出会い」と「恋愛」の近代日本精神史』(ナカニシヤ出版)、『出逢いのあわい──九鬼周造における存在論理学と邂逅の倫理』(堀之内出版)、藤田尚志との共編著に『愛・性・家族の哲学』(全3巻、ナカニシヤ出版)などがある。

磯野真穂(いその・まほ)
国際医療福祉大学大学院准教授。1999年、早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業。オレゴン州立大学応用人類学研究科修士課程修了後、2010年、早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は文化人類学、医療人類学。 著書に『なぜふつうに食べられないのか──拒食と過食の文化人類学』(春秋社)、『医療者が語る答えなき世界──いのちの守り人の人類学』(ちくま新書)、『ダイエット幻想──やせること、愛されること』(ちくまプリマ―新書)などがある。

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Posted by ブクログ

映画を見て原作が気になり読んでみました。
この本に出会えたことに感謝したくなる、
素晴らしい一冊でした!

人類学者の磯野真穂さんと
哲学者の宮野真生子さんの往復書簡。
宮野さんはガンを患っていて、
“急に具合が悪くなるかもしれない”と医師に告げられる。

2人の書簡から導き出されるのは、
病を患うのは不運ではあるが不幸ではない、ということ。
がんになることは必然ではない、偶然である。
急に具合が悪くなる“かもしれない”という確率論の話だ。
父は「遺伝子のせいで申し訳ない」と言うし、
未来の可能性が狭められたと思うことで悲観的になる。
そういう偶然に起きたことの前後に脈絡をつけることで、単なる偶然の「不運」が「不幸」になってしまう。

ぼくたちは資本主義の社会に生きていて、この社会は
コントロールの欲求で動いている。だから、
合理性にのっとったもの、必然を求める。しかし、
ぼくらがここにいること自体が、原始偶然といわれるものだ。

磯野さんは「輸送と徒歩旅行」というインコルドのコトバを引用する。出発点と目的地を線でつなぐ輸送は、点をつなぎ知覚していく徒歩旅行のつながりを消失することだと。

2人ががん、死というのを目前にして、それでも言語でそれを紐解こうとしている。その姿勢に心打たれたり泣きそうになりました。そしてそんな言語化からこぼれ落ちるように溢れ出る「死ぬんじゃね―ぞ」という原始的な言語が胸を打ちました。

何度となく読み返したい。そんな一冊でした!

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

世に二つとない傑作と思う。インテリの営みは死に際しても面白い。最後まで質問を投げかけ続けた磯野さんと、最後までそれに哲学者として応えた宮野さん、まさに魂のやり取り。

確率論とリスク/専門職セクターと民族セクターと民間セクター/偶然に身を委ねること/不運は点 、不幸は線/整った、遊びのない言葉からの解放/哲学するものの業/運動の中でラインを描くこと

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2026年07月17日

Posted by ブクログ

書かれていたことすべて読み解き切れたか定かではないけれど、とにかく魂が奮い立たされる言葉に触れて、末期癌で母を亡くした私だけれど読むことができた。映画もとてもよかったです。(映画を見る前に読んだこちらの原作もとてもよかった)

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2026年07月17日

Posted by ブクログ

この本を読んでふと嫉妬している自分がいることに気がついた。この本に、というか宮野氏に、だろうか。「魂を分け合った」なんていえる相手に出逢えること。こうして彼女の「生」と「死」が刻まれた書籍が出版されたこと。はたまた。

「死」という偶然性を孕んだ必然。「かもしれない」が個人の日々の在りようを一変させる、未来の可能性を封じてしまうこと。僕が「老後2000万円問題」に感じる違和感はこれだ。「安全な」未来に向けた「(己による)リスク管理」の重要性が騒がれるいまに、「今を生きること」を見直す時間。

この本を読んでいて、以前読んだ「選挙に行こう」 という文句の根本的な誤りについてをどうしてか思い出した。それは、「選挙に行こう」と書くとき、そこには「選挙に行かない」という選択肢が〈ある〉ことになってしまう。だから、そう言い続けるかぎりは「選挙に行くことが当たり前」にはならないのだ、といったようなことだったと思う。必然があるから偶然がある。〈ある〉があるから〈ない〉がある。「選挙に行く」があるから「選挙に行かない」がある。

「選ぶ」とは落ち着く、なじむこと。合理性と快適さ・懐かしさ。不運を妖術のせいにする、という『アザンデ人の世界』の話を読んで、「妖怪ウォッチ」を思い出した。しかし同時に、怠慢は個人の責任である(当然!)らしいので「妖ウォ」ではないかもしれない。原始偶然とは「それ」が「いま」起きた理由を説明するミッシングリンク、というのは考えたことがなかった。

高い建物に人が密集していることの恐ろしさ!ここにはたくさんの「生活」が正確な直方体に押し込められて存在していると思うとき、ぼくはいつも気圧されてしまうので、宮野氏も同じことを感じていると知ってなんだか嬉しかった。

偶然性は遭遇/邂逅/出会い。ぼくは徹底的な運命決定論者だが、それはやはりそう思う方が楽だから、なのだろう。しかし、その一方で、さまざまな流れが「出会い」、偶然に「いま」が産み落とされることの美しさには納得せざるを得なかった。運命を引き受けることと漫然と生きることは決して同一なんかではないのだ。最後の最後で世界で生じることに身を委ねること、そこで手を離す強さ。そういえばぼくは「テスト」が大好きだった。どれほど勉強しようが、ヤマの張り方、「問い」になる場所や形式、当日の体調、そんないくつもの条件によって結果はいとも容易く左右されてしまう。それでも勉強をし、最後の最後でその「運命」を前に手を離すのだ!やはりテストは楽しい。「ライブ」も好きだ。その日のさまざまなコトやヒトが出逢って生まれる「いま」を猛烈に感じるから、だろう。踊ってばかりの国を見る野音、ふと見上げた空を往った飛行機がいまも妙に忘れられない。それはいいことばかりではないけれも、だからこそ「よく」なりもするのだ。そして、「映画」もそうだ。徹底的に計算されたカメラの位置や距離という「必然」に対して、被写体や風の動きといった「偶然」の美しさや面白さ。逆も然りだ。

徒歩旅行と輸送の話も興味深い。当て処なく歩く、そして歩くからこそ出逢えるのだ。点と点を結ぶ連結器でなく、「軌跡」として生きること。「運動」の美しさ。これこそまさに映画における「ショット」の美しさ、ひいては映画そのものの美しさだろう。これは「中動態」ではないか。するとされる、偶然と必然、私とあなた。これはその「あわい」に産み落とされる「いま」の話だ!

「コントロールの欲求」という言葉をずっと求めていた気がする。「わからない」「知らない」ことはそんなに不安だろうか。むしろその痛気持ちよさこそが面白いではないか、とぼくは思う。

だから、ぼくの持つ「運命決定論」は「未来は決まっている」という諦念ではなく、これも「運命」としてその偶然を受け入れる勇気なのかもしれない。結局は想像力をもつことが大切なんだろう。 「この勝負、絶対に勝ちに行きましょう」。ここで「絶対に」という言葉を使えるところが素敵だ。「なめんなよ、磯野真穂」。

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2026年07月17日

Posted by ブクログ

むちゃくちゃすごい本だった。これは魂が宿っている。

映画化もされたけどこの本自体は物語ではなく哲学者と人類学者の往復書簡という形式でこういう本は初めて読んだ。

ガンを患った哲学者の死生観や病気への受け入れ方、日々の生活という部分にフォーカスしてその考え方を深ぼっていくのが往復書簡を始めた経緯だとは思うが、本当に哲学者の方が具合が悪くなってしまい、そこから展開が急スピードで進んでいき最終的には2人の魂の触れ合い、その出会いに感謝に帰結するという凄まじい濃さの本になっている。

病気への受け入れ方をここまで言語化出来るのが単純にすごいし、それでも尚必死に生きている哲学者である宮野さんの様はかっこいい。

そしてこの本を傑作たらしめているのは恐らく藤野さんのエグいストレートな会話のボール。8章か9章あたりの藤野さんの投げ方は相当な覚悟がないと聞けないはず、、なので不思議と感動してしまった。その投げた質問文の勇ましさに。

死生観の話がいつの間にか2人の友情に落ち着く事に、友情が死生観を超えていくような愛の深さ、そしてその出会いがわずか数ヶ月という濃さ。

こんな本がこの世にあることを全く知らなかったことを後悔するくらいのものでした。

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2026年07月14日

Posted by ブクログ

映画を先に見て購入。
「いつ死んでも悔いがないように」という言い方に欺瞞を感じるという宮野さん。合理的に選択することはできるけれど、私たちは本当に「選ぶ」ことなんてできるのだろうか、という問い。「かもしれない」という確率論やデータに囲まれて「意思に基づいた選択」を迫られている人が、そのデータに基づかない一つの選択をした時、良い結果になれば「何も悪いことがなくてよかった」と言い、悪い結果になれば「そんな選択をするからだ」と責めることができる「弱い運命論」。これにからめとられていると感じることは確かに多い。
宮野さんは、人に迷惑をかけずに自己責任で生きていくために、できるだけ客観的にリスクとベネフィットを合理性に則って判断する資本主義的な生き方をしているかも、と自己分析する。不確実性の時代に、コントロールする、という欲求だと。
映画の中で、資本主義を定義する場面があった。円形の中心に位置する人間が、周囲の自然や労働力を”消費“していき、どんどんと居場所を狭めていく図。原作の往復書簡にその記述はないが、ひたすら予測に頼り、描いた確実な未来を生きていこうとするその思考の狭さが重なって見える。
制限があっても不運に見舞われても、自分の人生を手放さなければ「不幸」ではない、という宮野さんの言葉は金言。
選ぶとは、不確実性を許容すること。選べるのは、この先不確定に生きるどんな自分なら許せるのか、選ぶことで自分を見出す。選ぶ時に「確定した自分」を持っている人はいない。そう思う。だからどんな選択をするかが大切なのではなく、その選択に納得できるように、その先努力できるかが大切なのだろう。

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2026年07月09日

Posted by ブクログ

人と人とが関係し合う事の意味
私はこんなにも誰かと真剣に線を描こうとしたことがあったかな。
ボールを投げられても、受け取れないフリをしてヘラヘラと「ごめーん」と言いながら逃げ続けてきていたような気がする。

いつか、運命的な人が現れてくれないかなぁなんてそう思っていたけれど、偶然の出会いがもたらされた時に、それを掴み離さず必然的な運命に引き寄せる力。

どうなるかなんて分からない人生にここまで命を使って生きることが私にできるのだろうか。
きっと、その先にある景色をこの2人はしっていたから(それがどんな景色かはわからずとも)その景色を見ようと足掻くことができたのだと思う。

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2026年07月05日

Posted by ブクログ

とても心に残る本でした。
ガンになった哲学者の著者と文化人類学の著者の往復書簡を本にしたものです。

読んでいて、心苦しくなる場面も多々ありますが、とても素直に、哲学者として考察し書かれていて、本当にすごい人だなーと感心し涙が出ました。

この本は映画にもなるみたいですが、内容がだいぶ違うみたいなので、ぜひぜひ本で読んでもらいたいです!

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2026年07月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『急に具合が悪くなる』のは誰にでも起こりうるけど、まさか著者の宮野さんがホスピスを探すように医師から言われた時の言葉だとは思いもよらなかった。

哲学者の宮野真生子さんと、人類学者の磯野真穂さんの20通の往復書簡。
映画が公開されることを知り、手に取った。
宮野さんにとって、医師の言葉はどれほどの衝撃だったことだろう。
でも宮野さんは患者として固定されるのを良しとせず、哲学者として考え続ける道を選ぶ。
偶然なのに、人がそれ以前と変わるほどの出会いがある。
二人の誠実さ、真剣さ、覚悟が怖いくらいだ。
最後はやはり込み上げてくるものがあった。

心に残った言葉を少しだけあげておく。

「分岐ルートのいずれかを選ぶとは、一本の道を選ぶことではなく、新しく無数に開かれた可能性の全体に入ってゆくことなのです。」

「不運という理不尽を受け入れた先で自分の人生が固定されていくとき、不幸という物語が始まるような気がするのです。」

「わからなさの前で、自分を取り返すために、私たちは問わねばならない。これは何なのだと。(中略)安易な物語に取り込まれない立脚点を、わからないことに怒り、それを問う力を、自分の人生を取り返す強さを、哲学は私に与えてくれたのです。」

「この先不確定に動く自分のどんな人生であれば引き受けられるのか、どんな自分なら許せるのか、それを問うことしかできません。そのなかで選ぶのです。(中略)選ぶことで自分を見出すのです。(中略)◯◯な人だから△△を選ぶ、のではなく、△△を選ぶことで自分が◯◯な人であることが明らかになる。偶然を受け止めるなかでこそ自己と呼ぶに値する存在が可能になるのだと。」

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2026年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

10便 ほんとうに、具合が悪くなる
哲学者 宮野真生子
「偶然を生み出すことが出来たのは、自然発生だけではなく、そこに私たちがいたからです。」
「それぞれに引き出す勇気をもち、偶然を必然として引き受ける覚悟をもって出会えたからです。」

この言葉と宮野さん、磯野さん二人の関係性に心を打たれた。人生の中で無数に広がる出会いがある中でこの出会いを互いに「意味」をもたせることができたこと、そこには他者との出会いを引き受ける勇気と覚悟があったから。
私たちはこの世に生み落とされ、必然である「死」に向かって、流れていく時間の中を生きる。無機質に過ぎ去るかもしれない「偶然」で満ちた世界でどう「生きる」のか、二人の対話で向き合うことができた。この作品に出会えて良かった。

宮野真生子さんのご冥福をお祈りします。

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2026年07月01日

Posted by ブクログ

不運は点で、不幸は線。
何かを選ぶことで自分がどんな人であるか明らかになる。選ぶことは偶然を許容すること。

世界は偶然の出会いに溢れていて、それを選び、選んだ先で出会った他者と生きていくことが人生だと。映画を見る前に本で読んで良かった。宮野さん、強くてかっこよかった。

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2026年06月28日

Posted by ブクログ

映画を観て、気になって原作を読んだ。
映画もよかったけれど、それとはまた違う魅力があって良いい。

感動とも違うし、面白いとも違うんだけど、なんだかいいものを読んだな、という快感だけがじんわり残る。

往復書簡という形式で展開される、哲学者と人類学者の美しいやり取り。

序盤は穏やかにやり取りされる中で、ちょいちょい感心させられたり、考えさせられたりしながら進む。
しかし時間が進むにつれ、宮野氏の症状が悪化していく。

これに伴い、二人はより具体的な事象を取り扱うようになり、言葉に熱がこもっていく。

哲学者宮野の生き様はこうだ、と見せつけられ、魂を震わせられる。

ぜひご一読あれ。

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2026年06月28日

Posted by ブクログ

癌の転移を経験しながら生き抜く哲学者・宮野さんと、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者・磯野さんが、死と生、別れと出会いについて交わした往復書簡
。宮野さんの具合が悪くなっていく過程は読んでいて辛いものがありましたが、お二人が真摯に生と死に向き合い、言葉を紡いでいることが文章からひしひしと伝わってきました。
特に印象的だったのは、6便の『転換とか、飛躍とか』で、宮野さんが日常フェーズと患者フェーズを分けて考えられていたこと。100%患者でいたくない宮野さんならではの考え方で、病状が進行すると日常が患者フェーズに塗れつぶされそうになってしまう。本来、日常生活というのは、いろいろなフェーズが混じり合って行き来しているものだから、はっきりと線引きするのではなく、ぬるっとした変化が癌患者にとって必要なのでは?と。「ほどほどの患者」というポジションを探るという考え方が、癌以外の病気にも言えることで、『病人』という枠にはまっていくことが、自分自身を失ってしまうことではないかと思いました。9便の世界を抜けてラインを描け!というお話しも良かったなぁ。
受け取るものが多い作品だったので、折に触れて読み返したいと思います。

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2026年06月27日

Posted by ブクログ

読んでいて辛かった。哲学とか医療人類学とか、難しいことはよくわからないけれど、本当に急に具合が悪くなってきて、その様子が切々と伝わってきて辛かった。
選ぶとは、「それはあなたが決めたことだから」ではなく、「選び、決めたこと」のさきで「自分」という存在が生まれてくる。
人生の分岐を経て、わたしは今ここにいる。偶然、必然、運命、いろんな言葉があるけれど、全ては知らぬ間にわたしが選択したことなんやなぁ。
ものすごく重い、重かった。映画も観たい。

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2026年06月24日

Posted by ブクログ

偶然と運命について、描いた往復書簡。
不確実性のリスクを負いながら、患者としての役割を拒否し、今ここを生きることを選択した人の人生を鮮やかに見せてもらった。
これは折に触れ、読み返す気がする。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

2人の学者の書簡でのやり取り。何気ない日常の会話からやがて深刻なテーマへと切り込んで行く。
相手を気づかいながらも、真摯に意見を述べ、交流を深めていく様子に引き込まれた。
急に具合が悪くなるかもしれないというのは単なる確率の問題か、それとも精神論か。
様々な哲学や科学の引用を元に議論されており、見識が深まったし、生きていく上での大切な事にも気付かされたように思う。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

愛の本より、愛の本だし、友情の本より友情の本だし、哲学の本より、哲学の本だ。
言葉を通じて、知性というものが、人生にもたらす素朴で深くて美しい意味を持つことを教えてくれる。
堅苦しい学問の壁を軽々と超えて、出会い、ほとばしる。
誰かと出会い、誰かと生きるって、最高だな。

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2026年06月25日

Posted by ブクログ

小さい時に、哲学ってどういうもの?と聞いて、当たり前のことを難しく考える学問、と親か兄妹に答えられたのを覚えている。まさに、死が迫り来る、急に具合が悪くなる可能性について、時に明るく面白く、時に真剣に熱く、語り合う往復書簡はだんだんと手に汗握る様相となってくる。難しくて理解できないところもある。でも、偶然、腑に落ちると腑に落とす、選ぶ、決める、タイミング、そういった言葉のひとつひとつを吟味し考え抜き、お互いの気持ちも思いはばかりながらも正直に交わされていく往復書簡はとても読み応えがありました。映画もよかったけれど、映画よりずっと深い。お二人の結びつきが羨ましくさえ感じました。迷いが生じた時に、パラパラと読み返したくなる本になりそうです。

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

 哲学者・宮野と医療人類学者・磯野の同年代の2人の女性が交わした20通の往復書簡。
それは宮野が癌宣告を受けて、講演に行けなくなる可能性があるということで磯野へ連絡したことから始まる。死とは何か、何のために生きているのか、を問う宮野に対して磯野が応答するという形で進み、わずか3か月ほどの交流が二人の間の歯に衣着せぬざっくばらんな会話で進む。宮野は九鬼隆三の「偶然とは何か」の研究者であり、偶然、不運、しかし不幸ではない!などの対話が興味深い。宮野が引用するハイデガーの「死はたしかにやってくる。しかし今ではないのだ」(存在と時間)という言葉が意味深長に響く。そして彼女は「私の生は途中で打ち切らざるを得ない。人生は完成することなく、人間はつねに未然を生きる存在」「ラインの踏み跡となって、新しい始まりにたどりつきたい」と語るのである。宮野亡き後の磯野に与えた影響の大きさ、空白感が痛切に感じられる。この本が映画化されカンヌ映画祭の最優秀女優賞でも話題になった。一体どんな映画になったのか!

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2026年07月17日

Posted by ブクログ

乳がんが転移し、有効な治療法もなく、余命を生きる哲学者・宮野真生子と、そんな彼女と出会い、どういう訳か書簡のやり取りをする事になった医療人類学者・磯野真穂。
二人はもともとはお互いにもっと色々な話題を取り上げようとしていたつもりが、やはり話題は宮野のガン患者としての生き方、死への向き合い方についての話となっていく。
死に向かう患者に寄り添うとか、なんかそういうありがちな話を想像していると痛い目に合います。
ここで交わされる書簡に書かれていることは、もっと直球です。しかも豪速球の。しかも、一度では読み取れないくらい情報量が多いし、哲学の素養がないと理解しようとしても難しいかもしれない。

これは今年公開された映画「急に具合が悪くなる」の原作というか、原案となったものです。
映画は死を覚悟している哲学専攻だった演出家と、彼女の演出した一人芝居を観て魅かれるものがあった文化人類学専攻だった介護人の二人のドラマでしたが、この書簡集とあの映画を直接関係付けるのは難しいかもしれません。

けれど、映画と同じくらいの力をこの書簡のやり取りから感じました。

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2026年07月14日

Posted by ブクログ

映画化された作品なので、物語かと思いきや、手紙のやり取りを綴った作品。内容はかなり哲学的な内容に踏み込んでいて、難しいと感じる箇所もあったが、実際の患者による思いの吐露によるものであり心を打つ内容だった。

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2026年07月11日

Posted by ブクログ

映画を観て、もともと原作とはずいぶん違うとは聞いていたけど(そもそもアカデミックな内容の往復書簡なのだ)、読むとエッセンスが随所にあって、セリフのひとつひとつにもっと深い意味やニュアンスがあったのかなと思う。
妖術の話が出てくるあたりから話にドライブがかかってくる。
映画パンフの磯野さんのインタビューで、京都滞在のシーンは原作では7.8便あたりに当たると言っていたので、どういうことかと思ってたけど、そういうことか。
宮野さんの精神力もすごいが、磯野さんの踏み込む力もすごい。これ、学者さんだからこんな対話が可能なのだろうか。

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2026年07月08日

Posted by ブクログ

大人になるほど、物事を「経験に基づく確率」で考えるようになります。

成功する可能性はどれくらいか。
失敗するリスクはどれくらいか。

もちろん大切な考え方です。

でも人生には、確率だけでは決められないことがあります。

この人と仕事をする。
この人の言葉を信じる。
この人と共に生きる。

経験値に基づく確率論で考え、最終的には誰を信頼するかという考えに切り替える事があります。

この本は、がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者と、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者が、互いの人生を賭けて交わした20通の往復書簡。

偶然性を巡る対話と論理と信頼の往復の過程が最初はゆるやかにはじまり、終盤に行くにつれ、魂のぶつけ合いが加速します。時間経過と共に文章が変化し、互いの信頼関係が紡がれていく軌跡は圧巻です。

映画を観る前にと想い、手にとったのですが、凄まじかった。とんでもない熱量でした。

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2026年07月05日

Posted by ブクログ

理系の自分には難しい内容でした。ただ、必死になって生きて、最期まで諦めずに哲学者として人生に向き合う姿は感極まります。また、それを伴走者のように見守り、支えていく人類学者にも拍手を送りたい。

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2026年06月30日

Posted by ブクログ

2026年10冊目
旅の方法と、コミュニケーションの方法を重ねて、会話がどんどん深くなっていく流れがとても興味深かった。濱口監督がこだわる、「偶然」や「運命」を掘り下げて考え続ける素晴らしい書簡だった。

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2026年06月29日

Posted by ブクログ

映画が先です。
本は抽象的な表現が多く字面をすべり読みしてなんとか。自分ごとに当てはめられることもあるようなことも。フワフワした感想しか書けない。

演出家と介護施設のディレクターという設定にした濱口監督の発想に改めて感心する。
抽象的な表現が多くあり消化しきれてないが「魂の分け合い」、確かに。

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2026年06月27日

Posted by ブクログ

九鬼修造すごいな。原始偶然や、間主体性の開示により根源的社会性を構成するのくだりなど、フランス現代思想っぽい。映画も観たい。

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2026年06月24日

Posted by ブクログ

濱口竜介監督の最新映画公開にあわせて拝読。
カンヌで女優賞を受賞したニュースを見た時、面白いタイトルだなと思うとともに、原作があると知り気になって予約した。

本書はイベント開催をきっかけに出会った2人の往復書簡をそのまま載せたものである。
死というのは誰もがいずれ経験するものであるが同時に、健康なうちは身近なものとしては認識しづらい。著者のひとり、宮野さんは自分ががん患者としていつ具合が悪くなりどれくらい余命があるかもわからないという状況だからこそ、そうした目線から語られることは学ぶべき点も多かった。
特に、患者という属性についての話。宮野さんは患者でありながら、患者という属性以外にちゃんと人生を楽しみたいという気概がある。どうしても、周りも患者という属性に落とし込んで全てその括りで扱ってしまうけれど、そりゃあ常に具合が悪いわけではないし、悲観的な捉え方ばかりしたくはないよね。でも、お互いが物語に巻き込まないように、背負わせないようにと気を遣ってしまう点は想像できたし、愛のすれ違いは悲しいから、自分ももしそうした病人と関わる機会があったら参考にしたいと思った。
また、不幸と不運についての話も印象的で、不運は点であり、それを不幸とするかは自分で決められるんだと思った。自分の人生、まだまだ諦めたくないな。
約束は未来への責任、みたいな話も良かった。

最初は小難しい話も多くて少し読むのに苦戦したが、次第に2人の関係性も深まり、モルヒネが常備され、物事への感覚も研ぎ澄まされていく著者が紡ぐ言葉に食い入ってしまった。

映画は日本人とフランス人の話だがここからどう改変していくのだろう?ドライブマイカーの脚色も結構好きというか、とても自然な物語の繋ぎだったので今作も期待したい。

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2026年06月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

難しいな!難しいよ!宮野さんと磯野さんのほのぼのエピソードをもっと交えてほしかったよ。とはいえ、「急に具合が悪くなるかもしれない」とは一体全体なんなんだろう。医師にそんなこと言われたら、私の脳みそはどう思うんだろうか。「急っていつだよ?」とは間違いなく思うけど、それはふつうに生きてるいま時点でも起こる可能性はある。医師に言われているか、言われていないかの差でしかない。でもでも、言われてたほうが覚悟はできるし、言われたほうがマシなのかな。哲学的な話によっていて、2周読まないと、私には分からん!答えはでず。

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2026年07月14日

Posted by ブクログ

映画からこちらの原作を手に取りました。癌と分かってからの手紙のやり取り。だんだんと具合が悪くなっていく様子が伝わりました。哲学者と人類学者?のお二人らしく、結構哲学的に難しいお話をされています。

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2026年06月27日

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