鈴木麻純のレビュー一覧
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叙述トリックと呼んでもいいのだろうか?
確かに新興宗教の教祖や窃盗犯のボスという立場では誰に話しても信用してくれなそう。
それにしても雷は恐ろしい。気を付けよう。
そういえば具体的な元ネタがないように思えた。元ネタはなんなのだろうか「罪人は誰か」。
隅田川もそうだが、親が子供を思ってしたはずの事でも、結果的に一番最悪の選択肢になってしまうのは解せない、というよりも救われなくて無情だと思う。最後は自業自得だが。
今まででも十分えげつないしもやもやした終わりかただと思っていたが、先代の方が十分ひどかった。
シリーズ全体の一応の終着点が見えてきたかも。 -
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確かに鍾馗の言うことは間違ってはいないし、信太郎の言い分も分からなくはないと思うからこそ複雑な問題なんだと思う。
身に覚えがないとは言い難いので気を付けたい「姥捨て山」。
一部を切り取ればハッピエンドだが、文香にしたら救いがない気がする。
権力のある酒乱は厄介という教訓を残した「打金磚」。
いっそ彼のように自由気儘に生きることができたらベストではなくともベターな人生であったとか思いながら死ぬことができるのかもしれない。
自分は嫌いじゃないし、このようなキャラクターは創作物の中にいるのであれば、むしろ好きと言えるのかもしれない。
彼女があそこまで彼を憎んだのは、遊びだと割り切ることもできない -
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流石に女子高生にも非があるように思うのだが、痛い目を見ないとわからないとでも思ったのだろうか…。
すこし幻想的でエロティックであったように思う。
知人割引にしても四十万円は高すぎる「サロメ」。
老婆の人生には同情も覚えるが、因果応報と言われてしまえば反論することはできない。
しかしそれでもかわいそうに思えてしまう。
手段が目的になってしまうのは結構多いと思う。
何かを手に入れるために努力した結果、本当に大事なものを忘れてしまうことはしたくないと思った。
他人からの純粋な善意ですら素直に受け取ることの出来なくなった彼女は死んでもなお救われないのだろうか「かえる取りの女」。
辰史にも子供時代が -
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恵子のしたことは間違いなく犯罪だが、美樹が望んだ報復も恐ろしい。
幸福の代価であるとはいえ、警察ですら分からなかったものにそんな大金を払うわけないと自分は思うが、当事者となれば話は変わってくるのだろう。
悪い魔女と可哀想な子供たちではなく、親切な老婆と彼女を貶めた残酷な子供たちという構図は新鮮であり、とても印象的。
もうこの物語をただの御伽話としては読めなそう「ヘンゼルとグレーテル」。
どちらも子供との幸せな生活を望んでいただけなのに、どこで二人の明暗を分けてしまったのだろうか。
因果応報とはいえ、自らの子供を守るために他人の子供を傷つけて結果的に自分の子も守ることができないだなんてやるせな -
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人は如何様にでも残酷になれるし、社会に向けている顔と本当の顔が本当とは限らないし、自らが狂気に飲まれるかもしれない。
自分にもそんな面がありそう、というよりも存在していることを自覚しているからこそ尚更怖い「ジーキル博士とハイド氏」。
二人の選んだ選択肢は結局、一番悪い選択肢になってしまったのではないか?
それが残念「泣いた赤鬼」。
花房も悪い人ではあるが、比奈の報復も恐ろしい。
辰史ではなく比奈が報復するというのも新鮮。
今回は前回と比べて人間味があるというか、優しいというか…。
蛟堂の店主でありながらも一人の人間であることを実感した。 -
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読む人を選びそうな作品。
各々の話自体に救いはないが、元々復讐や報復なんてそんなものだと思うから、幸せな終わりなんてありえないと思う。
どう見ても被害者に非はないし、加害者の方が悪なのだということは分かるが、報復をするのであれば自らも悪に手を染めたも同然だから完全に被害者の立場に立つことはできないし、相応の代償が必要だということだろうか?
それでもその金額は高すぎる気がするが……。
目には目を歯には歯をとはよく言うが、逆に言えばお金さえ払えば復讐を代行してくれるのだからそれはそれでましなのかもしれない。
一番好きなのはピノッキオの話。
「ハッピーエンドがハッピーエンドである所以は、人生の絶 -
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琴線にふれた一節。 ネタばれ注意。
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「そういう貴方こそ、自分が正しいと信じる言葉の刃が他人を傷付けていることに気付けない」
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「血が繋がっているから気になるってだけでさ。他人の中に自分と似たところを見つけることも、
そう難しいことじゃない。 身内なんて言っても、自分自身ではないからね。
世の中には血の繋がっている人間とそうでない人間とで線引きをする人が多いけど。
結局のところは、自分か他人か。それだけなんだよ」
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「みんな、喋ることを我慢しすぎているんだよね。胸の内を表すことのできる、最も単純な
手段だって言うのに。人を傷付け -
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気に入った一節。
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-----ああ、こうして何も知ろうとしない以上、僕の人生は誰の人生とも交わることはないのだ。
傷付かずに、傷つけずに生きるということは、つまりはそういうことだった。
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「二人が絶縁して十年。十年は長いよ。十年前と言えば、君は十歳だろう?
その間で変わらなかったことを挙げる方が難しいはずだ。年月は、経験でもある。
多少は考え方も変わってくるだろうし、周囲を見渡す余裕も出てくるだろう。
二人だって、本当は相手の主張を理解しているはずなんだ。
ただ二人とも、相手に対して感情的だからね。
互いが絡むと、驚くほどにその目を曇らせてしまう。
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気に入った一節
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ああ、何て不確かで頼りない感情だ。裏切られたかと分かった瞬間に、激しい憎悪に変わるのだ。実に恐ろしい感情ではないか。
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その裏側に激しい愛情があるからこそ、裏切られた相手は深く傷付き悲しむのだ。自分が壊れてしまわないように相手を恨むのだ。共に過ごした幸福な日々が偽りであったなどと信じたくはなくて、執着し、仕返しをしたいと思うのだ。
どれだけ自分が傷ついたか。どれだけ自分が愛していたのか。
それを相手が分かってくれたのなら、また、もしかしたらやり直すことができるのではないかと。後悔と謝罪を口にしながら許しを請うて、再びその唇で愛を紡いでくれるのではないかと―――淡い期待