ジョー・キャラハンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
大好きなM.Wクレイヴン氏からの激賞を浴びたとあっては読まねばなるまい!
本当は、AIとバディ…うーん、興味が湧いたら…としばらく積んでいたのだが…
でも読んで良かった!
やはりM.Wクレイヴン氏、間違いなし…(笑)
女性として叩き上げで警視正としたキャットはロックという名のAI捜査官とともに失踪事件の捜索をすることになる
青島俊作のように昔気質の「直感」で動くキャットと
一瞬で大量のデーターを分析し数値化するロック
相反するふたつの頭脳が何度もぶつかりながら事件に挑んでいく!というストーリー
人間はどうしてもバイアスのかかった判断をしてしまう…
しかし人間の感情などどうでもよいAI捜査官…
それぞれが足りないところを補い合う
本作ではそれが絶妙に描かれていたと思う…
そしてなんといっても
警視正のキャットやキャットの部下たちも魅力的だ
実はキャットは休職明けで、女性としても妻としても母としても、なんとか折合いをつけて生きている
また部下たちも、それぞれに問題を抱えながらも日々を過ごしている
そんな彼らの心理描写も素晴らしく、人物像が浮かび上がりつい感情移入してしまう
AI捜査官のロックがキャットから学んだことを理解しようとしている姿もとても良かった
物語中盤では私の傍にもホログラムのロックがいたしね…
きっとロックのようなAI捜査官が実用化される時代も遠くない
青島俊作の隣にいかりや長介のホログラムが現れて一緒に捜索をする!「青島くん、その確率は12%だ…」なんてな…
まっ…悪くないか…(笑)
(昨日、踊る大捜査線を鑑賞したところ…)
本国では既に刊行されているという続編の邦訳が楽しみだ
-
Posted by ブクログ
ネタバレ信じられないくらい面白かった!!人生で10本の指に入るくらい
主人公のキャット警視正があまりにも好きだった。自分でもよくわからないくらい随所で泣いた。
キャット警視正とロックがそれぞれ強さを証明する話なのが好きだったのかも。
キャットは、決して強い人じゃない。夫の死を克服しきれていない。息子のことが心配でもある。良き母親でありたい。二十五年のキャリアを持つベテランなのに、現場の人間も信頼する上司もキャットの精神状態を心配して信じない。憎むべきAIのパイロットプロジェクトを任されて、開発者の教授も癪に障るのに、キャットはずっと振る舞いは理性的で正しい。ずっと自分を律してる。
没入しすぎて、マクリーシュがキャットを外そうとしたときは苦しくて涙が出たし、ロックだけがキャットを信じたときも、涙が出た。
ロックがキャットから学んだことを一生懸命吸収しているのも良かった。
あまりにも良い作品。 -
Posted by ブクログ
久しぶりに最高!
休職明けの警視正キャットが未解決の失踪事件の捜査をともにすることになったのは、ロックという名のAIの捜査官だった。
ベテラン刑事とAIが見せる警察小説の傑作。
まずは英文独特の言い回しがなく、とてつもなく読みやすい。
話の緩急のつけ方、さらっとしているが骨太な人物背景と登場人物の成長、絶妙な伏線の張り方など、まさに優等生。
圧倒的なリーダビリティでぐいぐい引っ張る。
警察小説としてはオーソドックスな展開で未解決事件の謎を追うごとに物語が深まっていくという流れで、びっくりするようなどんでん返しなどないのだが、たぶん一番の焦点はもちろん事件の捜査にAIを活用するところだと思う。
今の時代では捜査にAIが活用されるという設定は、そんなに珍しくないと思うのだが、
AIが 「何を」 どこまでできるのか?、
人間は 「何が」 どこまでできないのか?
という線引きが結局のところ一番難しいと思う。
AIが万能でありすぎれば興が削がれるし、人間が本能的でありすぎても混乱するし。
しかしながら本作は客観的な視点から合理的で効率的な判断を下すAIに対して、直感的で経験則的な判断を下す人間の線引きがしっかりしていて、その掛け合いが絶妙だと思う。
人間はバイアスのかかった判断をするし、AIは統計学に基づく判断をするのだが、最終的にはお互いを超越した人間の信念を貫く意志の強さに重きが置かれているように思う。 -
Posted by ブクログ
この本の登場人物でAI捜査官ロックの開発者オコネド教授の言葉にハッとさせられた
"警察が実際の証拠よりも偏見に従うことで、愛する人を失うというのがどういうことか知っています。それが、わたしがロックを開発したそもそもの理由です。"
多くの人が仕事などで実際にAIを使い始めているから、それよりも劣るAIを登場させたら時代遅れなストーリーに感じてしまう
既にすごい性能になってるAIの延長線上を想像して書くのはほんと難しそう
だけどこの著者がデビュー作で描いた未来のAI捜査官には絶妙なリアリティを感じた
そしてそれに加えて、人間の感情の機微(親子の愛情や喪失や欲望)とそれに振り回されるAI捜査官を描くことで、両者の前向きな共存のあり方が提示されていたと思う
I was deeply struck by the words of Professor Okonnedo, the creator of the AI investigator "Lock" in this book:
“I know what it’s like to lose a loved one because the police followed their prejudices rather than the actual evidence. That is the very reason I developed Lock.”
Since so many of us have already integrated AI into our professional lives, featuring an AI that is less capable than our current technology would make a story feel instantly dated. It must be incredibly difficult to write a convincing future by extrapolating from the high-performance AI we see today, yet the AI investigator in this debut novel possessed an exquisite sense of reality.
Furthermore, by juxtaposing the subtleties of human emotion—filial love, loss, and desire—with an AI investigator that is swayed by them, the author presents a hopeful vision of how the two can positively coexist. -
Posted by ブクログ
昔ながらの刑事とAI捜査官のバディもの
上記の要素自体はよくあるが、『昔ながらの刑事』が子を持つ母親である点は本書の特徴ではないかと思う。脇を固めるチームメンバーもしっかり深掘りされるので、最後まで読み進めるとチームみんなにそれなりの愛着を覚えていた。
真相が判明するまでの過程はスリリングではあったけど、犯人とその動機についてはそこまで心を揺さぶられなかった。目的が壮大すぎるからかな?
個人的に一番心に残ったのはP475の、事件が解決し、ロックと共に橋の上で川を見つめるキャットが、彼の慰めの言葉に対して返したセリフ。
人間とAIどちらが上だとか、AIに人の感情が理解できるかできないかとか、そういうことを超越したキャットの言葉がこの作品の結末として相応しいと感じたし、この二人の話をもっと読みたいと思わせてくれた。 -
Posted by ブクログ
人工知能捜査体のロックと、自らの堪に従って動く刑事のキャットがバディとなり、事件解決を目指す話。
AIに肯定的か否定的かと言ったら、キャットは間違いなく後者で、ロックのやることを非難したり、ロックのことを「それ」と呼んだりしており、読んでいて(何もそこまで嫌わなくても...)と思った。
ただ、ロックにしたらキャットの自分に向ける感情なんて気にすることではないから、別に良いんだろうけど。
そんな2人(正確には1人+AI)が一緒に事件の捜査をするって...どうなってしまうのかという心境で読み始めた。
捜査は地味に進んでいく。(地味過ぎて少し眠くなってしまった。)
キャットが夫を亡くしていること、息子が精神的な落ち込みからやっと回復したことが判り、彼女を応援したい気持ちになったが、もうちょっと周囲とうまくやればいいのに...と思ってしまう。でもこれぐらい性格がキツくなければ、女性が警察組織で上に上がっていくのは厳しいのかもしれない。
2つの失踪事件と、息子の失踪との共通点をキャットが思いついたときはまさかと思った。刑事の勘も馬鹿にしたものじゃない。
確かに、AIの統計的な確率も捜査にかなり役に立つが、キャットのような昔ながらのやり方も必要だ。うまくAIを使えるかどうかが鍵だが、人間ってどうしても「人間の方がAIより偉い」と根底で考えているから、うまくいかないところがある。
ロックがなぜ人間は、AIが人間のようになりたがっていると考えるのかと言っていた。確かにそうだ。人間は驕っている。
AIに感情はないことは分かっているのだが、ついつい感情があるように接してしまう。それは悪いことではないよね? -
Posted by ブクログ
直観派の刑事と最新のAIがバディを組むという近未来警察ミステリ。
近未来と書いたが数年先の未来ではない。もう今でも最先端テクノロジを惜しげもなく使えば可能なのではないかと思われるような直近の近未来だ。すぐそこにある未来だからこそイメージしやすく、自分の職場でこういうAIがバディだったら仕事も楽だし効率上がるだろうな。いや、待てよ、これだとマネージャーは部下が不要になるんじゃね?とかいう具合に想像できる。少なくとも近々ホワイトカラーはAIに職を奪われる未来が来るだろう。本作を読んでいると「AIすげ~!有能すぎ!」と思うが最大の魅力はそこではない。最先端でありながら英国警察ミステリの伝統を踏襲した普遍の面白さがある。最近読んだ「ストーンサークルの殺人」と似た部分が多いが、頑固で直感で動くベテラン刑事と天才だが社会性に欠けるパートナーが喧嘩やユニークな掛け合いをしながら徐々にお互いを理解し尊重していく流れ。そして事件の謎を解くために地道な捜査による証拠を積み上げていく過程。これらは英国警察ミステリの定番といってよく、だからこそ読んでいて心地いい。英国推理作家協会(CWA)賞受賞も当然だろう。
この凸凹コンビもシリーズ化しているようだが、現在の生成AIの進歩は凄まじいためAI捜査官ロックの進化にキャットがどう対応していくのか楽しみだ。