アントニイ・バークリーのレビュー一覧
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クリスティのミス・マープル・シリーズを読み返している関係で、同時代のクラシックをもう一冊と思って読み返す。1964年「カリブ海の殺人」がキャラクター造詣も鮮やかで一編の小説としても十分に読めるのに対し、1930年「牧師館の殺人」はそれほどでもなかった。ほぼ同時代に発表された1929年「毒入りチョコレート事件」も同様で、キャラクター造詣よりも推理の構成に重きを置いた実験小説といった趣きが強い。しかし、この「探偵推理カタログ」とでも言うべき「毒入りチョコレート事件」が純粋な犯罪パズル時代の頂点(というか限界)を示したお陰で、ミステリー小説と言えども徐々に人間描写に重きを置く時代へと移っていくのであ
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Posted by ブクログ
毒の仕込まれたチョコレート製品を食べてしまった夫妻。夫は一命を取り止めるも夫人は死亡、しかもそのチョコレートは夫妻とは違う人物に贈られた代物だった。迷宮入り寸前警察が助けを求めたのは「犯罪研究会」の面々、斯くして風変わりな面々の推理合戦が始まった。
推理合戦ものの祖という古典中の古典。推理合戦といえば「ミステリーアリーナ」や「聯愁殺」など素人探偵たちが独自勝手に推理を披露しながら真相に進んでいく形式。本作は素人探偵ながら警察以上の捜査能力や人脈を見せつけ、迷宮入り寸前の事件のはずなのに新事実が出てくる出てくる。登場人物は被害者も含め貴人が多く、端々にお硬い感じが見られる。 -
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Posted by ブクログ
毒入りのチョコレートを食べて死亡するという一見シンプルな事件について、「犯罪研究会」の6人が調査、推理をして順番に発表していく。発表されるたびに新たな事実が発覚し、事件の様相が変わっていく。
最後には犯人(と思しく人物)は判明するが、明記はされていないので、まだ他の解釈をする余地も残されている。実際、『ジェゼベルの死』の著者、クリスチアナ・ブランドは「『毒入りチョコレート事件』第七の解答」を書いている。
イギリスの作家らしく、皮肉っぽい文章が随所にみられる。(作者は女性蔑視の傾向があったらしい)
「こうして誰を憚ることもなく正々堂々と愛し合って、ベンディックス夫妻は現代の第八の奇跡、幸福 -
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Posted by ブクログ
ネタバレクラブの顔見知り、ユーステス・ペンファーザー卿に届いた箱入りチョコを偶然譲り受けたベンディックス氏。 ところが、大量に食べた彼の妻は死亡し、数粒食べたベンディックス氏はなんとか一命をとりとめる重体に。
チョコレートにはニトロベンゼンが混入されていた。
ベストセラー作家のロジャーは名探偵的人物だけで組織された「犯罪研究会」の六人を集め、迷宮入りしそうなこの事件の謎を解くことを提案。
六人それぞれが推理を披露するが。
かなり昔、児童向けの本(何かの付録?)で読んだことがあったはずなんだけど、かなりはしょられてたなー。
1929年作なので、言い回しや当てこすり表現が難解で、ここのところライトな本ば -
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