川喜田敦子のレビュー一覧

  • ヒトラー 上:1889-1936 傲慢

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    ヒトラーが名もなき学生で、世間と隔絶した性格の持ち主で、うだつの上がらない学生時代を過ごし、その後弁舌の才に気づき、幸運と時代の流れに後押しされ、権力を獲得する様が丁寧に綴られています。傍聴していく風船のように権力や自意識は膨れ、もはや自惚れで、周りが見えなくなっている。下巻が楽しみです。

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    2022年05月01日
  • ヒトラー 上:1889-1936 傲慢

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    ヒトラーの伝記であり、研究書でもある。
    今まで歴史上の謎とされたことが明らかになっていたり、今回解明された新たな事実もある。
    研究書でありながら描写が小説のような迫力に満ちており、格調高い文章で素晴らしい。

    ヒトラーを演じたチャップリンは「一人を殺せば殺人者だが100万人を殺せば英雄だ」と言っている。4000万人殺したと言われるチンギスハンはモンゴルでは英雄であり、同じ数を虐殺した毛沢東は天安門広場には肖像画が今も掲げられている。しかしヒットラーのことを英雄視する者はいない。近現代の戦争が起きるのは複数の要因から生まれるものだが、6600万人死亡した2次大戦だけは戦争を起こした原因も一つしか

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    2022年03月07日
  • ヒトラー 上:1889-1936 傲慢

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    世界的なナチズム研究者である英国人教授による、ヒトラーの伝記。近年になって公開された新たな資料を含め、膨大な資料に基づく客観的な研究成果となっている。ただし、ヒトラーの能力や功績を過小評価しているようにみえる。また、反ユダヤ施策について、ヒトラーは明確に推し進めていないにもかかわらず、過度にヒトラーの責任に結びつけようとしているように感じる。経済政策の適否についての考察も薄い。下巻に期待したい。
    「いかにしてヒトラーが権力を絶対的なものとし、かつて一兵卒でしかなかった者の下す命令に陸軍元帥を含む将官たちが何の疑問も持たずに従うようになったのか、高い技術を持つ「専門家」やあらゆる領域の優れた人々

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    2023年11月03日
  • ヒトラー 上:1889-1936 傲慢

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    やっと読み終わった。時間掛かった。しかしこの本分厚すぎる。自立して立ってびくともしない。でもその分内容が充実している。今どこにいるのか分からなくなるが。ヒトラーだけが悪いのか、何でヒトラーはああなったのか、周りは止められなかったのか、って自問しながら書いているんだろう。何回も止まる可能性がある出来事はあったが止まらなかった。それもまた運命なのかな。日本もそうだけど、この時代を理解するには共産主義がどのくらい社会の雰囲気として重要性を持ったか、当時の空気を理解しないと駄目だなと再確認。後はユダヤ人の迫害。これもその時の空気もあるんだろうが、ヒトラー的には分かり易いスケープゴートであり、そこまで理

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    2020年10月27日
  • ヒトラー 上:1889-1936 傲慢

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    原著は1998年出版で、2016年に日本語訳が出版されたヒトラーについての研究書。膨大な資料をもとに、ヒトラーの生涯を時系列で追っていく伝記的な資料になっています。伝記というと個人にフォーカスを当て基本的には偉業をたたえるようなイメージりますが、本書はもちろん「偉業」はたたえないし、著者も序文で記載しているように「本書を執筆するあいだ私をとらえて離さなかったのは、1933年から45年にかけてドイツの命運をその手に握ったヒトラーという人物の特異な性格ではなく、むしろヒトラーなるものがいかに可能になったかという問い」をベースに、全編にわたって記述されています。
    ヒトラーが導いた最悪の事態は、ヒトラ

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    2019年04月20日