オレリア・ミシェルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“Black Lives Matter”がメディアを賑わした際、「まだそんなこと言ってんの⁉︎」と思わず口をついて出てしまった。当たり前のように人種差別の愚かさを学校で習い、「人類みな兄弟」の風潮にどっぷり浸かってきたもんだから、不思議で仕方なかったのだ。
本書を知った時その出来事がフラッシュバックし、気づけば当時感じたモヤモヤもだいぶ大きくなっていた。
著者はブラック・アメリカを専門とするフランス人歴史家。フランスは移民大国で、著者の講義にもかつて領土だったアフリカやカリブ海出身の学生が目立つという。
「生物学的に人種は存在しない。しかし政治的、社会的現実として人種は存在する」
後者の忌ま -
Posted by ブクログ
戦後すぐにユネスコによって否定された「人種」という概念が今なお根強く存在する。本書は人種の起源を奴隷制に置いてその本質を明らかにしていく。
奴隷制は人種差別によって生み出されたのではなく、奴隷制こそが人種概念を生み出した。すなわち、奴隷制が解体される中で支配のツールとして白人、黒人という区別を設けていった。筆者は、奴隷の本質は親族性の否定と言う。そして、黒人は家族や国家の構成員ではないという意味で親族性が否定された下位の人種であり、奴隷と概念的に連続している。
本書は本体の人種に入る前に壮大な奴隷の歴史について論じている。ヨーロッパ諸国が奴隷貿易に関わる前の奴隷制の歴史から始まっていて、直前に