加藤喜之のレビュー一覧
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本書は、福音派という日本人には捉えにくい宗教勢力を、神学だけではなく政治との関係史という切り口から通時的に整理した、優れた入門書です。
トランプ現象を「突然の異常事態」と見るのではなく、半世紀以上続くアメリカ政治の流れの中に位置づける視座は、アメリカ政治、ひいては国際政治を理解するうえで大きな助けになります。
いまアメリカで起きていることを単なる「トランプ現象」として見るのではなく、その底にある宗教、歴史、喪失感、そして終末論まで視野を広げて考えるための、非常に有効な補助線を与えてくれます。
アメリカ政治のニュースをただ追うだけでなく、その底流まで理解したい人に、強くおすすめしたい一冊で -
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⭐️5.0
めちゃくちゃ面白かった。
福音派はトランプ政権で台頭したものだと思っていたが、その歴史は想像以上に古く、アメリカというキリスト教国においても異端視されていた一宗派が、いかにして政治と結び付き、社会に浸透していったのかを、時代ごとの背景とともにわかりやすくまとめられており、一気に読み終えてしまった。
本書を通じて、アメリカ人にとってキリスト教がいかに社会や価値観の土台となっているのかを改めて実感した。また、日本人にはあまり馴染みのない南部地域の実態にも驚かされた。例えば、つい最近まで進化論の教育に否定的な州があったという話などは、世界の盟主というイメージを抱いていたアメリカとの -
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キリスト教「福音派」とはなにか。宗教やキリスト教の理解が浅い私にとって、2025年4月21日にNHKのバタフライエフェクトで「“神の国”アメリカ もうひとつの顔」を繰り返し視聴し、アメリカの近現代史にキリスト教にも福音派が存在し、人種差別撤廃や女性解放などに異を唱え、共和党の岩盤支持層となり、政治、社会、戦争等を別の視点で捉える機会となった。自由の国アメリカ、アメリカンドリームなど、アメリカを肯定的に捉える日本の言説とは裏腹に、差別・排外主義が跋扈するアメリカが見えて来た。本書では、アメリカの近現代史を縦軸に、キリスト教原理主義を横軸に膨大な資料から歴史考証する。第2次世界大戦後のアメリカと
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面白かった。
福音派が主張を強めているのは中流の白人が相対的に貧しくなっているのも原因になっていて、だからこそ希望(Make America Great Again)を謳うトランプが支持されるのだと。日本における選挙戦のアジェンダ設定も同じようなところがある気がする(トランプ戦略を参考にした日本人ファーストや、日本列島を強く豊かになど)自国民が貧しくなるとアイデンティティを取り戻したいという欲求が強まるんだな。。
終章での福音派は対立する相手を悪魔やサタンの支配下にあるとみなす傾向があるため、妥協が困難となる。結果として政治的なリベラリズムに不可欠な対話は機能不全に陥る。という考察が面白かっ -
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『裂け目』の読書会で。歴史苦手なのもありこういう新書はなかなか手に取らないのだが、めちゃくちゃ濃密な内容で楽しく読めた。個人的には20年代の文化も60年代の文化も虚しさという点で共通していて好きなのだが、福音派の視点から見ると異なるらしい。
『インザメガチャーチ』を読んだばかりなので「教団」としてのチャーチというあり方にはそんなに抵抗はないが、著者が鋭く指摘していた通り、教義よりも他者を抑圧するための道具になっているのはいただけない点。
・ディスペンセーション主義(聖書の記述を文字通り読もうとする)
・メディアを巧みに利用した
・中絶反対派の展開する論理が現在左派が掲げるものと似ていた(胎児 -
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分断するアメリカ社会で福音派がどのようにして政治に参加するようになり、影響力を強めていったのか時系列で非常に分かりやすく教えてくれる。
福音派の中でもイスラエルの行動を支持する人々は「終末論」を信じている人が多くいる。無宗教者には理解できない価値観が多いのが難しいところだが、いつの時代も政治的に影響力を強めたい人や、強めようとする人のバックには必ずこうした宗教母体や思想を持った人たちがいるんだということに注意しなければならないと感じた。
表現の自由があるので批判できないが、思想を広めるためにはメディアをも活用して扇動しようとするくらい行動力の強い人たちはアメリカに限らず日本にもいると思うので -
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現在の科学文明を牽引しているアメリカであるが、宗教国家という側面があり、その点を理解しておかないと、アメリカの行動原理は理解できない。
未だに進化論を信じていない人が一定数存在するというとはとても驚き。
タイトルになっている福音派は人口の25%を占め、終末論を信じており、イスラエルの地にユダヤ人国家が建設されるのは、終末に向けて必要なステップであるため、アメリカとイスラエルの強固な関係性が維持されているらしい。そもそも、ユダヤ教とキリスト教で異なる宗教なのに、なぜこれほどまでにイスラエルを支持するのか、その裏にはこのような宗教的なロジックがあるという新たな視点を与えてくれる本でした。 -
Posted by ブクログ
冷戦や公民権運動、ベトナム戦争反対運動、多文化主義にグローバル化…と、社会の変化による白人達の不安を啜って力を付けてきたキリスト教原理主義の歴史を学べた。ただ、福音派の主要人物と歴代大統領との関わりにフォーカスしている為、福音派以外のところでアメリカ社会や世論がどう変わって行ったのかがアメリカ近現代史の基礎知識のない自分にはちょっと分かりづらかった。
国会を襲ったり、差別を広げたり指導者達の不祥事が多過ぎたり、といった理由で福音派自体は減少傾向だと書かれていたのは良かった。とはいえ福音派は対立する人をサタンと見做すので対話が成り立たないって…民主主義に向かなさ過ぎて厄介だなぁ -
Posted by ブクログ
【本を読もうと思った理由】
イラン戦争を見て、アメリカ政治に興味をもったから。なぜこんなことが起こるのか、トランプのパーソナリティだけでは説明できないのでは、と思ったから。
【本の感想】
キリスト教や福音派のことは、元々ほとんど知らなかったが、本書を読んでその理由が、あまりに多様で一緒くたにできないから、だったということがわかった。アメリカ国内だけでも、宗派、世俗性、人種、性別等々、それぞれの人にとっての捉え方があり、外から見えるのは、常にある側面でしかないのだと理解した。さらに、キリスト教者の中でも、信仰することと教会に属することは異なっていることも、本書で初めて知ることができた。
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