北澤豊雄のレビュー一覧
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産経新聞に掲載されており、ベネズエラの国政や経済破綻のことを全く知らずに購入。
筆者は中南米を中心に取材しており、ベネズエラに3度にわたって潜入した記録となっている。
2021年3月に刊行されたばかりで、情報としての鮮度が高く、筆者の取材した中南米の実情がリアリティをもって感じられた。
こういったジャンルは、ともすればオーバーに感じられる表現が多くなりがちと感じることも多い。けれども、とても冷静な視点で対象を描いており、かつ読み物としても文章が上手い。協力者や取材対象者の描写が丁寧なため、引き込まれる。ベネズエラからコロンビアに出国する際のエピソードは、手に汗握る展開。 -
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南米の小国ベネズエラ。とてつもないインフレで国家財政は破綻。公共サービスはほぼストップ、治安は悪化、富裕層は国を去ったこの国の取材を著者はライフワークとする。アルバイトでお金を貯めては何度もベネズエラに潜入する。本書は「潜入記」というだけあって、著者のベネズエラ入国、取材、出国の苦労話、失敗話が中心。
手を変え品を変え、ベネズエラに入国する著者の情熱はどこから来るのか、この国のどこに魅力があるのか、著者は多くを語らない。そこに山があるから登るのが登山家なら、著者にすれば、ベネズエラのことを知りたいから潜入するということなのだろう。
しかし、興味欲だけで、こんな危険な国を目指すなんて、絶対に -
Posted by ブクログ
国家破綻寸前といわれるベネズエラに、コロンビアから入国しルポを試みた潜入記。まずいちばん反省しなくてはいけないのは、ベネズエラの現状、みたいなことに全く無関心であったこと。潜入記自体は、国境あたりの話に終始していて、肝心の現状のルポは少なめの印象。だけど、それこそがリアルなのだろう。もうひとつ、メキシコからアメリカへの移民が乗る旅客用の列車。彼らはその列車の屋根に乗り、アメリカへの入国を試みて、大怪我や命を落とすものもいる。通称、「野獣列車」。これも、ライター自身、乗ろうとするが乗れない。取材対象になかなか入り込めず、それでも入り込もうとする姿勢がとてもリアルでした。
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Posted by ブクログ
北澤豊雄は快著「ダリエン地峡決死行」の著者。コロンビアの日本料理屋「侍や」を拠点に中南米を旅するライターが破綻国家と噂されるベネズエラに2019年に3度「潜入する」。潜入すると言っても、不法入国するわけではない。スポーツ記者と偽ったり、単なる旅行者と偽ったり・・・まあ、そんな感じで入国し、取材する。
世界一の埋蔵量を誇る石油で豊かな社会経済を作っていたベネズエラだが、どこでどうしたのか・・今や最低賃金が月額400円(時給ではない、月収!)の国になってしまっている。そして、報道で伝えられる悲惨な状況。
その本当を見たいと思った著者はいろんな手段を使って使って「潜入」する。何しろ「ベネズエラ -
Posted by ブクログ
コロンビアとパナマ国境に広がるダリエン地峡。ここで、中米と南米は完全に断絶されている。道路はなく、グーグルで検索しても経路が出ないという。基本的に、飛行機で飛ぶか、カリブ海、または太平洋を渡るしかない、そんな場所。年間降水量が2万ミリを超える密林に反政府ゲリラ、麻薬組織が蠢き、そしてスペインが侵略する前から先住民が生活を営んでいる地。
そんな場所がまだあったのか、ということにまず驚く。そして著者は、その道無き道をコロンビアからパナマへ踏破しようとする。3回目のチャレンジで友人になった先住民のエドガルとともについに走破する。ところが、国境を越えた村で警備隊に捕らえられ、拘束され・・・・。ダリ