林道義のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
「意識とは無意識という海に浮かぶ島のようなもの」である。
本書は、ユング心理学の基本概念をもとに、無意識と意識がいかに関わり、人の心が成り立っているのかを解説している。
「心が発達するプロセスとは」(太母と英雄)、「人の性格はどのように分類できるか」(タイプ論)、「女性的な心と男性的な心の働き」(エロスとロゴス)、「人間と神の関係」(宗教論)、「マンダラの意味とは」(対立物の結合)……。
心の見取り図を鮮やかに描き出した、ユング心理学の入門シリーズ第二弾。
[ 目次 ]
第1話 自我と影―否定しあう心と心
第2話 太母と英雄―自立へのプロセス
第3話 心理的タイプ―人の性格を分 -
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非常に納得できる点もあるが、これが本当に正しいことなのかは疑問である。
事実として観測されていることは、多くは真実だと思う。しかし、それを一般化して、「父性の強かった時代に戻ろう」というのは、あまりにも単純な思考であると思う。
ただ、本書で記載されていること、例えば父性が弱まった結果、不登校が多くなる等、それらの因果関係は確かにある程度の真実は含まれていると思う。
これらのことを直視する必要がある。
一方、今の時代の子育ての考え、特にアドラー心理学をもとにした子育てでは、親と子が上下関係ではなく、横の関係を持つべき、との主張は、本書と真っ向から対立するのである。
これらを、どのように消 -
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ネタバレ[ 内容 ]
「無意識」「コンプレックス」「元型」…。
目には見えない「心」の領域に、新たな学問の地平を切り開いたユング。
しかし、その複雑多彩な思想を、言葉の定義だけで理解することは難しい。
本書では、「心・魂・精神の違いは?」「自我はどれくらい意識的か?」「夢とシンボルの関係は?」など、様々な概念の関わりや、ユングの父母体験からフロイトとの訣別といった、ユング心理学が生まれる背景までを、第一人者が易しく解きほぐしている。
中学、高校生から読める入門三巻シリーズの第一弾。
[ 目次 ]
第1話 心とは何か、無意識をどう捉えるか(心とは主体である;心とはイメージである ほか)
第2話 ユング -
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ネタバレ[ 内容 ]
父の役割は家族を統合し、理念を掲げ、文化を伝え、社会のルールを教えることにある。この役割が失われると子どもは判断の基準、行動の原理を身につける機会を逸してしまう。
いじめや不登校が起こり、利己的な人間、無気力な人間が増えるのもこの延長線上にある。
独善的な権威を持って君臨する家父長ではなく、健全な権威を備えた父が必要だ。
父性の誕生とその役割を家族の発生と社会の形成との関連から検証し、父性の条件を探る。
[ 目次 ]
序 父性なき社会
1 父性はどのようにして生まれたか
2 子どもの心理的発達と父性
3 父性の条件
4 父性の権威
5 現代社会と父性
6 父性復権への道
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タイトル通りフェミニズムへの理論的批判が詰まった本である。
今、巷を賑わせている「フェミニズム」に対して、それはまやかしの議論に基づいて構築されていると断罪し、真っ向から論理的に批判している。それと同時に、「フェミニズム」を標榜している人々の真の目的を読み解き、その裏側に潜む危険性を高らかに警鐘している。
それは家族の空洞化であり、社会の破壊であると筆者は説く。フェミニズムを研究してきた筆者による結論だけに、その言葉には重みがある。
フェミニストという人達には非常に耳の痛い本ではあろうが、是非ともこの本に対しての「理論的批判」を発表してもらいたいものだ。
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シリーズ最終巻。本書では、著者自身のユング理解が積極的に語られています。
まず、神経症と失調症について、ユング心理学の立場からの解説がおこなわれています。また、人間が無意識の中にある対立を生かしつつ統合して成長を遂げていくという、著者自身の主張がくわしく語られています。
ただ、こうした解説にはどうしても著者自身の価値観が入り込んでいるのではないかという疑いが拭いきれません。とくに、随所でフェミニズムに対する批判が表明されているので、そうした価値観が本書の叙述のなかに織り込まれているのではないかと勘繰ってしまいます。
そのほかには、錬金術についてのユングの解釈や、ユングがナチスを支持したと -
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父性≠父親が必ずしももっているもの
という考え方をもとに、育児における父性の重要さを説明している。
規律を教えることの大切さ。共感だけではいけない。
今の若者の「無気力さ」も父性が欠けていることが関係しているのではないか。
終戦で価値観の変容を求められて、権威から離れようという意識がおこって、それで父性が表に出にくくなった。その流れは理解できる。
ただ、夏目漱石などの小説を例に挙げて同じようなことを説明するのであれば、
そのころ失われていた「父性」が戦時中になぜ表に出てくることになったのかが、ややわかりにくさが残った。
育児において、あたたかな接し方と、毅然とした態度の双方が重要。その