【感想・ネタバレ】心の不思議を解き明かす ユング心理学入門Ⅲのレビュー

あらすじ

神経症や分裂病のような心の病はどうして起きるのか。又、人はなぜナチスのような恐ろしい思想の虜になるのか。さらに、錬金術の本に描かれた不思議な絵は何を意味しているのか。本書は不思議な心の現象について、ユング心理学の眼を通して解明する。「心的エネルギー論」では、精神病とは心的エネルギーが無意識の中へおいやられ、空回りしている状態だという。すなわち治療とは、心的エネルギーの自然な流れを戻すことである。又、分裂病というのは元型的イメージが強く、自我が乗っ取られてしまった状態であるという。それらの分析は、ユング自身が分裂病的体験と闘う中で発見した独自の理論である。さらにユングはナチスのような妄想に人々が熱狂するのは、人間が持つ元型的イメージのなせる業であるという。それらの深い洞察は、精神的な病理を抱える現代人の魂に、希望と救いをもたらしてゆく。どの解説書よりもわかりやすいと好評のシリーズ完結編である。

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Posted by ブクログ

シリーズ最終巻。本書では、著者自身のユング理解が積極的に語られています。

まず、神経症と失調症について、ユング心理学の立場からの解説がおこなわれています。また、人間が無意識の中にある対立を生かしつつ統合して成長を遂げていくという、著者自身の主張がくわしく語られています。

ただ、こうした解説にはどうしても著者自身の価値観が入り込んでいるのではないかという疑いが拭いきれません。とくに、随所でフェミニズムに対する批判が表明されているので、そうした価値観が本書の叙述のなかに織り込まれているのではないかと勘繰ってしまいます。

そのほかには、錬金術についてのユングの解釈や、ユングがナチスを支持したという説への反論などがあります。

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2017年12月23日

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