横山勲のレビュー一覧
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ネタバレ匿名で企業版ふるさと納税→自治体から案件受託したコンサルがその金で寄付した会社の子会社に委託発注というマネーロンダリングを東北の地方紙である河北新報が暴いた話。まず隠匿されたその実態を度重なる取材で暴いた河北新報の記者の執念がすごいし、それを指摘されても集団として責任逃れに走る自治体の姿も書かれていてムラ社会化した限界地方自治体は腐るんだなと感じた。
それを暴かれたコンサルも、「大きな自治体だと大企業に勝てないから、俺らは誰も目につけない弱小自治体を相手にする」(意訳)というようなことを述べていて、よくそういうこと思いつくなと思ったと同時に、システムの抜け穴作った総務省にも責任あるなと感じた -
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地方自治の現場を長く歩いてきた者として、本書『過疎ビジネス』は胸を締めつけられるほどリアルだった。小規模自治体に人員も専門知識も足りず、複雑な制度の前で思考が止まり、コンサルの提案を十分に吟味できないまま事業が動き始めてしまう——そんな“構造的な弱さ”が、鮮烈であり、痛々しいほど描かれている。
特に福島県国見町の救急車リース事業は圧巻だ。合理性が見えないまま突き進む行政、形骸化した議会、常駐できず深掘りしきれない地方メディア。町にとってどんなメリットがあったのか、なぜここまでのめり込んだのか——この「動機の闇」は最後まで完全には解き明かされない。しかし、その“説明不能”こそが地方行政の危うさ -
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2022年2月、福島県国見町で、寄附額の最大9割が税額控除される企業版ふるさと納税を財源に不可解な事業が始まろうとしていた。
制度をもとに寄附された4億3200万円で高規格救急車を12台購入し、国見町では使わずに他の自治体や消防組合にリースするという何とも理解しがたい地方創生事業だった。
寄附したのはDMM.COMとその傘下の2社。救急車の車両製造はDMM.COM傘下のベルリング。事業は研究開発という位置づけで公募型プロポーザル事業になっており、唯一応募し、受託したワンテーブルという企業は地方創生のコンサルだった。
ワンテーブルはベルリングに車両を発注するということで、救急車の仕様書作成に関与 -
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本書に出てくる「企業版ふるさと納税」を活用(悪用)したスキームは、私の地元である北海道でも、本書に出てくる以外の自治体で似たような事例を見たことがあり、非常に不信感を持っていたところだったので、とても興味深く本書を読ませていただいた。
私自身が、地方自治体や公共団体等を相手にしたITコンサルティングを生業としているので、本書に出てきたようなコンサル会社が地方から日本をダメにし、コンサル業界の評判も下げていることに強い憤りを覚える。
常々、助成金ありきの事業や、経営コンサルという名の補助金コンサル、ふるさと納税コンサル、デジ田交付金コンサルなどは、すべて消え去るべきだと思っている。
私は以 -
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私自身もコンサルという職業に身を置いている。日々、お客さんと課題を整理してその解決に励んでいるつもりだが、最近、「あー。コンサルなんですね。虚業ですねー。」とか、「コンサルは信用できないし口だけですよねー。」といった辛辣な言葉を浴びせられる。この本を読むと確かにコンサルが信用できない理由が理解できる。(自分はこうならないという戒めも込めて。)
日本は衰退の一途だと長らく指摘されている。政治もずっと混乱してるし、社会自体も安定を欠き始め、暗い気持ちに覆われることが増えている。たしかに目も当てられないほどの課題が山ほどあるけれど、この本は日本が民主主義国家であることの希望を感じさせてくれる。癒着 -
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寄付金の最大9割が法人税などから控除される制度である企業版ふるさと納税を活用し、匿名企業(後にDMM.com及びそのグループと判明)から福島県国見町が受けた43,000万円の企業版ふるさと納税を財源に、地方創生コンサルタントのワンテーブルによって実施された、地方創生事業を悪用した環流ビジネスを追った河北新報の報道の書籍化。本の帯の通り、正に「コンサル栄えて国滅ぶ」。寄付を受けるために地域再生計画を策定したいが、その能力も人員も覚悟もガバナンスもない自治体、チェック機能を放棄した議会、その状況を看破して付け入るコンサルという日本の地方の何処にでも起きていそうな話なだけに根深い。たまたま国見町幹部
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ヒリヒリした。
ワンテーブルの件は、はっきりとした言質が取れてしまっているからこそ言い逃れできなくなっているが、こんなことが横行してしまっているんだろうなと思う。
個人的には企業版に限らず、一般のふるさと納税に関しても社会的なロスだと思っているので見直してほしいところだ。
メインの話題が強烈な分、北海道の事例の弱さに肩透かしをくらった気分。恐竜博物館にシアター入れて何が悪いの?万博とか見ても展示施設に映像を取り入れるのはスタンダードじゃないのか。
ソリューションが似通ってくるのも人的資源の限界でしょう。
そうなってくると、本書でも結びで述べていたように国の地方創生政策が無責任で有効じゃないとい