垂秀夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ある限られた情報しか日頃摂取してないんだなと思わせる本。中華人民共和国の成り立ち、台湾(中華民国)との関係、尖閣問題、台湾有事など我々のナショナリズムを喚起し煽る投稿や報道が溢れているが、そこで目にする、耳にする情報と異なる深い洞察が得られる。
教養とは歴史だと言われるが歴史を知らなければ目の前のニュースの適切な判断は難しい。特に中国共産党によって検閲されている情報ならなおさらだ。
中国の台頭や在留外国人の増加は、将来への不安を煽るし、決して気持ちいいものではないが、このあと個人として、社会としてどう立ち向かうべきかを考えるには、歴史と適切な情報から学ばなければならないなと、本書を読んで思 -
Posted by ブクログ
気骨ある外交官。我々が知らないところで中国や台湾からの無理難題に対して、時には日本政府を使い、時には日本政府と戦いながら自らが信じた国益を守る、歴史に恥じない外交をしてきた垂氏。
この本を読むと鄧小平が掲げた経済中心の国づくりから、習近平体制で経済より国家の安全を最重要の国づくりを目指して変遷している事がよくわかる。
習近平体制が続く限り方針は変わらないが、習近平後には必ず新しい中国になる。新しい中国を作るのは誰か?それは今不遇な環境にいる民主活動家たちかも知れない。将来の孫文が日本にいるかも知れないと言う。
垂氏は対中強硬派と言われるが、決して反中ではなく中国との関係改善を求める戦う外交 -
Posted by ブクログ
前駐中国特命全権大使垂秀夫氏の約40年に亘る対中国外交の記録。
南京大学留学以降、氏は官民、体制派/反体制派を問わず、これはと思う人物との公私両面の交流に力を注ぎ、その人脈、情報収集・分析力は日中(米)の政権中枢からも高く評価された。
多くの中国・台湾の要人と胸襟を開く関係を築き、国益を賭けた戦いの最前線に立ち続けた氏の指摘はどれも深い示唆に富む。
「親しき仲には礼儀なし」の中国人だが、「水を飲むときは井戸を掘った人のことを忘れない」は中国共産党の大嘘。
中国嫌いの風潮の中、日本の政治家の訪問先は台湾一辺倒だが、中国とのパイブも太く維持すべき。
毀誉褒貶あるが、野中、二階のパイブは太く、 -
空虚で退屈な本
著者の日本外交への貢献には大変感謝しているが、明らかに著者は文章を書く資格がない。本書には、先入観にとらわれた悪意ある憶測や、根拠のない傲慢さがあまりにも多く見られる。日本と複雑な歴史的因縁を持つこのような国を前に、本来であれば常に謙虚でいるべき釣り英雄氏であるが、そうしなかったことが、現在の対中外交の劣悪な状況につながっている。釣り英雄氏が中国をよく知っていると思い込んでいるからこそ、中国に対する誤解が相次いでいるのだ。総じて内容は空虚で退屈であり、これは私が当初期待していた本ではなく、著者が金のために書いたありきたりな本に過ぎないのだと気づかされた。