【感想・ネタバレ】日中外交秘録 垂秀夫駐中国大使の闘いのレビュー

あらすじ

「中国が最も恐れる男」衝撃の回顧録!

中国共産党内に裏人脈を張り巡らせ、機密情報を誰よりも早く入手し、理不尽な恫喝にも屈しない――異能の外交官が明かす秘話満載の外交秘録!

中国から「やられっぱなし」のように見える日本外交だが、けっしてそんなことはない。
2023年末に駐中国大使を退官した垂秀夫は、独自の人脈からもたらされる機密情報、たぐいまれな戦略眼、そして恫喝に屈しないタフな姿勢で、中国共産党から恐れられてきた。中国政府側から「スパイ」と名指しで批判され、危険な目に遭ったことも一度や二度ではない。
しかし、度重なる嫌がらせや障害をものともせず、要人たちとのバックチャンネルを構築し、重要な情報を入手し、独裁に抗う改革派知識人たちを支援してきた。また、中国の「戦狼外交」に対して一歩も引かず、逆に向こうをギャフンといわせてきた。
そんな垂秀夫が歩んできたチャイナスクール外交官としての道程を赤裸々に公開したのが本書である。

本書の魅力は、エピソードの面白さだけではない、
垂秀夫は独自の視点から習近平体制の本質を分析し、中国に内在する「弱点」をあぶりだす。
そして、日本はどのように中国に対峙すべきなのか、大局的な戦略を示す。
また垂秀夫は、命を懸けて中国を変えようとしている改革派知識人への協力も惜しまない。そのせいで中国共産党から睨まれようとも動じない。それは「歴史に恥じない外交をしよう」「後世による『歴史の検証』に耐えうる仕事をしよう」という信念があるからである。
日本が中国と対峙するうえで数多くのヒントが含まれている傑作である。

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おもろい

中国に対する知見の広さが伺える。
そして、中国政府はこの本を本当に嫌がっていることがレビューを見ればわかる。
工作員のレビューに騙されることなくこの本をぜひ読んでほしい。

#深い #カッコいい #共感する

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2025年07月11日

Posted by ブクログ

ある限られた情報しか日頃摂取してないんだなと思わせる本。中華人民共和国の成り立ち、台湾(中華民国)との関係、尖閣問題、台湾有事など我々のナショナリズムを喚起し煽る投稿や報道が溢れているが、そこで目にする、耳にする情報と異なる深い洞察が得られる。

教養とは歴史だと言われるが歴史を知らなければ目の前のニュースの適切な判断は難しい。特に中国共産党によって検閲されている情報ならなおさらだ。

中国の台頭や在留外国人の増加は、将来への不安を煽るし、決して気持ちいいものではないが、このあと個人として、社会としてどう立ち向かうべきかを考えるには、歴史と適切な情報から学ばなければならないなと、本書を読んで思った。

0
2025年08月17日

Posted by ブクログ

気骨ある外交官。我々が知らないところで中国や台湾からの無理難題に対して、時には日本政府を使い、時には日本政府と戦いながら自らが信じた国益を守る、歴史に恥じない外交をしてきた垂氏。

この本を読むと鄧小平が掲げた経済中心の国づくりから、習近平体制で経済より国家の安全を最重要の国づくりを目指して変遷している事がよくわかる。
習近平体制が続く限り方針は変わらないが、習近平後には必ず新しい中国になる。新しい中国を作るのは誰か?それは今不遇な環境にいる民主活動家たちかも知れない。将来の孫文が日本にいるかも知れないと言う。

垂氏は対中強硬派と言われるが、決して反中ではなく中国との関係改善を求める戦う外交官である。

0
2025年08月11日

Posted by ブクログ

中国が最も恐れる男垂秀夫氏による衝撃の回顧録。『中国との外交に関わることは日本の歴史を創ることだ。歴史に恥じない外交をしようではないか』

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

前中国大使垂秀夫さんによる一冊。

全豪大使の山上慎吾さんもそうだったが、公務員でありながら外交官は多分に政治家的というか、そういう視点と気概がなければ務まらないと感じる。

へこへこ仲良くしてねえへへ的に見える外務省の中でしかし、国益を考えていうべきことを言うというのは、非常に難しい。本人一人でなく、周囲にそれをサポートできる、あるいはそれ以上の人がいないと叶わない。

面白く読んだ。

今のチャイナは、経済優先から国家の安全最優先になり、一党独裁から一人独裁になって、それは別の国になったに等しい。集団指導でなくなったから、誰かを切って収めるという手段もとれず、これまで以上に無謬性を押し出して拳を下ろせなくなった。

今、目の当たりにしてることやな。

厳しい時ほど強固で確実なラインが必要。その通りっぽい。今はそれがない。

結局、それがこれまでの外交の答えでもあるわけだ。
残念なのは日本国内の反中傾向で、彼らは日本に来るが金の使い方がわかってないのかもしれないし、のあたりは、違和感。

垂氏も色々書いておられるが、一般日本人のかなりは、チャイナの人たちがどういう考え方をするか、何をするか、そういうことをしっかり見て、嫌になったのだと思う。
ぶっちゃけ、嫌ってくれよと言われ続けて、嫌いになった。

そうでないなら、そこは政治がきちんとしてくれよと思う。

あいつらなあ、本当は違うんだ、いいやつなんだ、長い目で見てくれよと言われ続けた結果が、今なんだろう。

それでも今もこれからも、チャイナの意向に沿うことが生き延びる道だと信じてる人たちも逆にいるようだけど。

本としては、かなり面白かった。

0
2025年12月11日

Posted by ブクログ

とても分厚い本だったが、読む手が止まらなかった。 
垂さんの凄さはニュースで何となく知っていたが、まさかここまでとは。。。これが本当の国益を守る外交官の仕事だなぁと感心した。

なかなか垣間見ることができない、外交官の日常、出世、異動、転勤なども興味深かった。

0
2025年11月06日

Posted by ブクログ

前駐中国特命全権大使垂秀夫氏の約40年に亘る対中国外交の記録。

南京大学留学以降、氏は官民、体制派/反体制派を問わず、これはと思う人物との公私両面の交流に力を注ぎ、その人脈、情報収集・分析力は日中(米)の政権中枢からも高く評価された。

多くの中国・台湾の要人と胸襟を開く関係を築き、国益を賭けた戦いの最前線に立ち続けた氏の指摘はどれも深い示唆に富む。

「親しき仲には礼儀なし」の中国人だが、「水を飲むときは井戸を掘った人のことを忘れない」は中国共産党の大嘘。
中国嫌いの風潮の中、日本の政治家の訪問先は台湾一辺倒だが、中国とのパイブも太く維持すべき。
毀誉褒貶あるが、野中、二階のパイブは太く、水面下の対中国交渉に大きく貢献した。
台湾への武力侵攻の可能性には否定的、むしろ海上封鎖や「平和的統一」に危機感を持つ。

習近平「一人独裁体制」となって以降、非公式の交流は官民問わず極めて難しくなっており、このままでは忌憚なく本音で情報や意見をやり取りできるパイブが失われてしまうことに氏は強い危惧を抱く。

常在戦場である中国における外交の現場は生易しいものではなく、世間から媚中、従中と呼ばれる外務省チャイナスクールだが、そんなことはないとチャイナスクールの一員である氏は強く否定する。

一方で氏自ら「チャイナスクール的体質」と呼ぶ「ほぼ事なかれ主義とイコール」な体質の存在は認めている。
それはむしろ、外務省本省や政府全体に染み付いた体質で、それについては元駐豪大使の山上氏の見解とも一致する。

「歴史に恥じない、歴史に耐えうる外交(政治)を」という氏の提言は公務員から政治家に至るまで、政治に携わるすべての人間が肝に銘じるべきだろう。

0
2025年09月22日

Posted by ブクログ

歴史に恥じない外交をしてきたという。立派である。
でも何を実現したのだろうか。不明である。
日本人拉致問題。北大教授一人だけは成功した。それ以外は全く無力?
日本人学校襲撃。予防対処をしたのは素晴らしい。しかし結果的に防げていない。
日本の食糧輸入ストップ問題。xを使って情報発信したのは素晴らしい。でも何も変わらなかったのでは。
大使がいくら頑張っても。。ということなのだろうか。

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2025年08月19日

退職官僚の金儲けの方法

この本は食後の娯楽としては良いが、中国に対する理解が狭く偏っているため、真剣に読むには適していない。日本は歴史的に中国にとって特別な存在であるにもかかわらず、著者は著作の中でこの点を一度も認識しておらず、中国に対する理解は表面的である。この本には個人的な意見が多く含まれており、事実は無視されており、捏造された噂もいくつか含まれています。これは私が今まで読んだ中で最も耐え難い伝記です。

#泣ける #スカッとする

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2025年06月27日

空虚で退屈な本

著者の日本外交への貢献には大変感謝しているが、明らかに著者は文章を書く資格がない。本書には、先入観にとらわれた悪意ある憶測や、根拠のない傲慢さがあまりにも多く見られる。日本と複雑な歴史的因縁を持つこのような国を前に、本来であれば常に謙虚でいるべき釣り英雄氏であるが、そうしなかったことが、現在の対中外交の劣悪な状況につながっている。釣り英雄氏が中国をよく知っていると思い込んでいるからこそ、中国に対する誤解が相次いでいるのだ。総じて内容は空虚で退屈であり、これは私が当初期待していた本ではなく、著者が金のために書いたありきたりな本に過ぎないのだと気づかされた。

#切ない #エモい #深い

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2025年06月27日

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