樺山紘一のレビュー一覧

  • 《英雄》の世紀 ベートーヴェンと近代の創成者たち

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    神聖ローマ帝国三十年戦争は新旧キリスト教の覇権争いであったが、散発的戦闘が長期化し、なんら実りなく講和に至った。帝国の権威は大いに失墜し、代わりにオーストリアが台頭した。フリードリヒ大王の下国力を増やしたプロイセンは、オーストリアと王位継承戦と七年戦争を戦った。
    仏革命後、18世紀後半からのヨーロッパは英雄の時代である。古い貴族の支配を打ち壊し、個人の才覚で市民を解放する英雄である。その時代の目撃者、ゲーテ、ベートーベン、ヘーゲルもまた、個人の人格の発露を全面に押し出す創作を行なった。
    天才とは衆愚には思いも付かない価値を初めに発見するものである。ナポレオンは軍事的天才であった。
    皇帝即位後、民法典制定、初等教育の拡充、都市整備、国民軍の規律化等の成果を上げた。
    その頃、神聖ローマ帝国帝国は皇帝退位により消滅した。元々有名無実化しており、800年の帝国の歴史はあっけなく終わった。
    ナポレオンの軍下に落ちたプロイセンは絶対主義的国家を維持できず、民主主義、自由を基調とする改革を行わざるを得なかった。
    スペイン内乱鎮圧に苦戦しナポレオンの没落が始まった。ナポレオン戦争の後始末としてウィーン会議が開催、会議は踊るされも進まずと評される。各国は自国の既得権復活のみに執着し無為な舞踏会ばかりが行われた。仏革命以降の改革は旧態に戻された。
    しかし社会構造の変化は不可逆的に進んでいた。七月革命により再び市民革命がなされたように、ウィーン体制は綻びを見せていった。

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    2022年03月27日
  • ヨーロッパの出現

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     この本は、ヨーロッパ大陸全体の歴史をコンパクトにまとめたもので、それぞれのテーマごとに年表が用意されているので、世界史の出来事を意味づけて整理するのにとても良い本です。講談社学術文庫の本は、一般的に硬過ぎて読みづらい本が多い中で、この本はとても読みやすく、ボリュームも200頁程度なので、挫折することなく完読できます。

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    2026年08月24日
  • 《英雄》の世紀 ベートーヴェンと近代の創成者たち

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    本書「英雄の世紀」と言う時の、英雄とは誰のことか?
    副題に「ベートーヴェンと近代の創世者」とあるように、ベートーヴェンがその一人であることは間違いない。
    表紙には、ベートーヴェンと並んで、ナポレオン•ボナパルト、ヘーゲル、ゲーテの肖像が掲げられている。
    「英雄たち」とは、彼らのことに間違いない。
    彼らは同時代人であり、この英雄たちが近代を生み出していったと言うのが、著者の見立てだ。
    とは言え、本書は講談社の『ベートーヴェン全集』に連載されたものだ。
    だから、英雄の中でもベートーヴェンを中心に激動の時代を描いた「ベートーヴェンとその時代」と言っても間違いではない。
    激動の時代を、ベートーヴェンを通してみる。
    ついでに、ベートーヴェンを時代ごとに聴きながら、読む。
    ダブルで美味しい、とはこのことだ。

    重要な年代は1770年。
    時代は、1770年から1800年までの30年間(18世紀「旧体制時代」)と、1800年から1830年までの30年間(19世紀「新体制時代」)で、完全に転換した。
    これはベートーヴェンの生涯とほぼ一致する。
    つまり、ベートーヴェンは、二つの世紀、二つの体制(新旧の体制)を生きた、ということになる。

    1770年はフランス「政治革命」とドイツ「精神革命」の濫觴の年だと著者は言う。
    何故なら、それまで敵対していたブルボン家とハプスブルク家の婚姻の年であり、ベートーヴェンとヘーゲルの生まれた年だからだ。

    それから23年後、フランス革命の渦中に、ブルボン家のルイ16世とハプスブルク家のマリー•アントワネットは断頭台の露と消え、革命の嵐の中から英雄ナポレオンが登場してくる。
    そして、ナポレオン無くしてはベートーヴェンの活躍もヘーゲルの観念哲学も生まれなかった、という関係がある。
    政治革命と精神革命は深く繋がっていたのだ。
    政治的な後進国のドイツが、精神革命では世界をリードしたのもナポレオンという英雄の登場がもたらしたものなのだ。

    従来は、政治的な歴史が中心に語られ、文化的歴史は、それに従属する位置しか与えられなかった。
    本書では、政治的歴史と同じ比率で文化的歴史が語られる。
    それを同じ土俵で語るために選ばれたのが「英雄」という用語なのだ。

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    2025年03月16日
  • 《英雄》の世紀 ベートーヴェンと近代の創成者たち

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    楽しく、高揚した気分で読めるような、大げさともとれる表現のつながりが、ベートーヴェンのシンフォニーにような効果をあげる・・・ことをねらった本だと思う。フランス革命から19世紀にいたる、ヨーロッパの歴史を堪能できる。

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    2021年05月13日
  • 世界史への扉

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    世界史のさまざまな場面を
    随筆の形式でつながりなく点描して
    改めてつながりを点検するような作品
    折に触れて確認し返して
    立ち位置地点を確かめる一冊

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    2018年11月13日
  • 世界史への扉

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    世界史上のさまざまなテーマについて、1項目につき約4ページほどの分量で、コンパクトに論じた文章が収録されています。世界史の全体を俯瞰して統一的な見方を示すのではなく、多様なトピックをそれにふさわしい仕方で取り扱う手法がよく示されています。

    アナール派以降の歴史学は、実証的に細かいトピックを取り上げるばかりで、歴史の全体像を描き出そうとする志向に乏しく、ずぶの素人としてはどうにもとっつきにくい印象があるのですが、本書にも同じようなことを感じてしまいました。

    かといって文明史のような大掛かりな話が展開されている本を読むと、どうにもうさんくさく感じてしまいますし、まだ歴史との付き合い方がうまくつかめないでいます。

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    2015年04月22日