樺山紘一のレビュー一覧

  • 《英雄》の世紀 ベートーヴェンと近代の創成者たち

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    神聖ローマ帝国三十年戦争は新旧キリスト教の覇権争いであったが、散発的戦闘が長期化し、なんら実りなく講和に至った。帝国の権威は大いに失墜し、代わりにオーストリアが台頭した。フリードリヒ大王の下国力を増やしたプロイセンは、オーストリアと王位継承戦と七年戦争を戦った。
    仏革命後、18世紀後半からのヨーロッパは英雄の時代である。古い貴族の支配を打ち壊し、個人の才覚で市民を解放する英雄である。その時代の目撃者、ゲーテ、ベートーベン、ヘーゲルもまた、個人の人格の発露を全面に押し出す創作を行なった。
    天才とは衆愚には思いも付かない価値を初めに発見するものである。ナポレオンは軍事的天才であった。
    皇帝即位後、

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    2022年03月27日
  • 《英雄》の世紀 ベートーヴェンと近代の創成者たち

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    本書「英雄の世紀」と言う時の、英雄とは誰のことか?
    副題に「ベートーヴェンと近代の創世者」とあるように、ベートーヴェンがその一人であることは間違いない。
    表紙には、ベートーヴェンと並んで、ナポレオン•ボナパルト、ヘーゲル、ゲーテの肖像が掲げられている。
    「英雄たち」とは、彼らのことに間違いない。
    彼らは同時代人であり、この英雄たちが近代を生み出していったと言うのが、著者の見立てだ。
    とは言え、本書は講談社の『ベートーヴェン全集』に連載されたものだ。
    だから、英雄の中でもベートーヴェンを中心に激動の時代を描いた「ベートーヴェンとその時代」と言っても間違いではない。
    激動の時代を、ベートーヴェンを

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    2025年03月16日
  • 《英雄》の世紀 ベートーヴェンと近代の創成者たち

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    楽しく、高揚した気分で読めるような、大げさともとれる表現のつながりが、ベートーヴェンのシンフォニーにような効果をあげる・・・ことをねらった本だと思う。フランス革命から19世紀にいたる、ヨーロッパの歴史を堪能できる。

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    2021年05月13日
  • 世界史への扉

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    世界史のさまざまな場面を
    随筆の形式でつながりなく点描して
    改めてつながりを点検するような作品
    折に触れて確認し返して
    立ち位置地点を確かめる一冊

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    2018年11月13日
  • 世界史への扉

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    世界史上のさまざまなテーマについて、1項目につき約4ページほどの分量で、コンパクトに論じた文章が収録されています。世界史の全体を俯瞰して統一的な見方を示すのではなく、多様なトピックをそれにふさわしい仕方で取り扱う手法がよく示されています。

    アナール派以降の歴史学は、実証的に細かいトピックを取り上げるばかりで、歴史の全体像を描き出そうとする志向に乏しく、ずぶの素人としてはどうにもとっつきにくい印象があるのですが、本書にも同じようなことを感じてしまいました。

    かといって文明史のような大掛かりな話が展開されている本を読むと、どうにもうさんくさく感じてしまいますし、まだ歴史との付き合い方がうまくつ

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    2015年04月22日