白石正明のレビュー一覧
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「ケアをひらく」シリーズを世に送り出した編集者白石さんの編集の先生はべてるの家の向谷地さんなのだそうだ。
あのシリーズがどうしてああいう本たちなのか(漠然としているが)、なんとなく分かってくる本。
「ケア」とはー
「何がむずかしいのか。一つは今の世の中の基本的な価値観と逆のことをやっているからだ。自分の身は自分で守るという「自立/自律志向」とか、最小のインプットで最大のアウトカムを得ようとする「効率志向」にまずは反している。それだけではない。この“志向”という言葉が前提としていること、つまり「未来の目標のために現在を手段にする」という姿勢そのものから、ケアはかけ離れているからだ。
むしろ -
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自己啓発書的な紹介文だけど、障がいのある方や精神疾患のある方など、様々な病気を持つ人のケアと、ケアを扱う本の作り方についての本だった。
日頃読まない分野の本で、ちょっと思ったのと違うか?と一瞬思ったが、もう一回読み直したいほど興味深い話がたくさんあった。
「それ自身には改変を加えず、その人の持って生まれた〈傾き〉のままで生きられるように、背景(言葉、人間関係、環境)を変えること」というのは、病気以外の様々なケアにも応用が効きそうだ。
治療としての対話を、「手段ではなく目的として楽しむ」というのも含蓄がある。
作中で紹介されていた、ALSという難病を発症した実母を介護した娘の記録という『逝かな -
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ネタバレまた、読みたい本が増えてしまった。
困ったなーw
・・・・
勉強会で紹介された本。
すごく興味を引く題名・内容だが、
今の積読本の多さから、今回は見送らせていただこうと思っていた。
しかし、
行く先々で、旅先でも、表向きで本棚に飾られており、
こちらに視線を送ってくる。
いや、こちらが出向いているのかもしれない。
かくして、自分の手元に。
(あの時の決意はどこにいったのか)
手元に来てから
他の積読本の前に「少しだけ・・」と読み始め、ほぼ一気読み。
「ケアとは何か?」の視点が、また増えた。
こんなにクリアに言語化してもらえる体験が待っていたとは!
好きな部分は、
本筋からずれるのかもしれ -
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「ケア」と「編集」には類似性がある。
それを述べていく本だとのことだが…
著者の白石さんについてはまったく知らなかった。
福祉系の出版社から医学系の出版社に転職。
雑誌「精神看護」、ケアをひらく〉のシリーズを立ち上げた、とある。
〈ケアをひらく〉といえば、東畑開人『居るのはつらいよ』、国分功一郎『中動態の世界』、伊藤亜紗『どもる体』…。
えっ?この本にも、この本にも関わってるの?と、何度も驚いた。
カリスマ編集者じゃないか。
しかし、文体は軽く、読みやすい。
医学とケアは方向性が違う。
原因を取り除き、将来の治癒、改善のために現在に(時に苦痛を与えて)介入するのが医療。
一方、ケアは現在志 -
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「ケア」と「編集」、不思議なタイトルだなと思い手に取ってみました。著者の白石さんは、医学書院で、シリーズケアをひらく、の編集長をしていた方です。
あとがきをパラパラと読むと、「ケアと編集は近い」という感覚を、言語化して示すために、「それを探すために」書いたとあり、更に面白そうだなと感じて読み進めることにしました。
ケアについては、私は幾度も医療や福祉にお世話になっているので、その関わりのある人たちの感覚に近いものがあるのかもしれないと思っていました。
本書を読んでみて納得したのは、ケアは現在志向であり、世の中の逆ベクトルで展開される手法のようなものだと知りました。
今の世の中は、未来 -
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とてもよかった。精神科看護に携わる者として、読まねばならぬ本だった。文字で見ると本当にありえない酷いことだと思うけれど、つい人を変えようとしてしまいがち。幸せであってほしい、が社会に適応できたら幸せなはず、になり、社会適応できるようにと相手を変えようとしてしまう。摂食障害を否定はしないけれど、どこか自分の中でも悪いこと、修正させなければ、との思いが湧いてきてしまう。向谷地さん、発想がすごいな、包容力が桁違いだなと思う。べてるの家のことは知っていたけど、実に表面的にしか知らずにいた。この本を読んで、読まねばならない本が増えた。あとで、リストアップしなければ。
本の評価は星5つなのだが、自分への反 -
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“同じ“〝質〟の上にあるけれど、〝量〟が違うからこそ大変なのに、そこは軽くとらえられて 「自分にもある」で終わってしまう。質的に近いと、量の問題が無視されてしまう。しかし当事者の日常生活の困難は、なによりその「量の違い」に大きく左右されているのだから、結果として具体的な困難がうまく伝わらないことになる。
「わかるからこそ、わからない」――発達障害者の「わかられにくさ」には、単純にわからないという問題と、「共感されるけれど正しく理解されない」というこの問題のように、いくつかのレベルがあるように思う。”(p.154)
“成長という言葉も、教育という言葉も〝善きもの〟とされているが、「現在のま -
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面白かったー!まだまだ読んだことないシリーズケアをひらく本はあるので、少しずつ手に取りたい気持ち…。
自分は現在を刹那を大切にしたいと思っているし、進歩観的な価値観・時間に対して疑義を持つようにしているけれど、それでもそういったものに縛られているのも事実で、それに限界も感じたし、自分がドツボにハマっていることも気づいてはいたけれど、どうしようかと思っていた。友人に何を言われても素直に受け取れなかったのに、本という媒体を通して受け取れてうれしい。良かったです、今このタイミングで読めて。
「信じる」問題は扱いがむずかしい。普通は「信じる/信じない」の二項対立となって埒が明かない。ふしぎなのは、信 -
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ノンフィクションでおすすめされていた記事を読んで。
ケアをひらくのシリーズの編集者さんだったのか。なんで岩波新書?と思っていたが、あとがきを読んで納得。むしろ、ずっと残るだろうから単行本よりも正解かもしれない。
様々な価値観のあるジャンルで、自分なりに都度咀嚼して見解を綴れる人がそもそもすごいと思う。
本も映画も飲食店ですら、口コミを見て、引っ張られてしまうことも多い。すごくいいなと思った本でも、酷評されていたら、モゴモゴと仲間内にしか勧められないこともある。
とりあえず、ケアをひらくで読めていなかった「逝かない身体」を読んでみたいと思った。ALSの方の話がこわくて辛そうでこれまで読めなか