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もはやこれまでと諦めてうなだれたとき,足元にまったく違うモノサシが落ちている.与えられた問いの外に出てみれば,あらふしぎ,あなたの弱さは克服すべきものじゃなく,存在の「傾き」として不意に輝きだす──.〈ケアをひらく〉の名編集者がみんなの弱さをグッと後押し.自分を変えずに生きやすくなる逆説の自他啓発書.
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Posted by ブクログ
ノンフィクションであり、エッセイであり「ケアをひらく」シリーズのブックガイドのようにも感じた。 自らの、そしてその事物そのものの位相や環境を変えることで世界が変わる。
身内の介護経験と、傾聴ボランティアから始まり福祉業界の片隅にいたことから、〈ケアをひらく〉シリーズは『驚きの介護民俗学』に始まり、10冊以上読んで来た。そのすべての編集に携わってきた白石正明さんが定年退職するにあたり書き下ろした本書が、おもしろくないわけがなく。あとがきに紹介されている熊谷晋一郎さん...続きを読むのエピソードもさすが!まだまだ読むべき本を発見したのも嬉しい。
「ケアをひらく」シリーズを世に送り出した編集者白石さんの編集の先生はべてるの家の向谷地さんなのだそうだ。 あのシリーズがどうしてああいう本たちなのか(漠然としているが)、なんとなく分かってくる本。 「ケア」とはー 「何がむずかしいのか。一つは今の世の中の基本的な価値観と逆のことをやっているから...続きを読むだ。自分の身は自分で守るという「自立/自律志向」とか、最小のインプットで最大のアウトカムを得ようとする「効率志向」にまずは反している。それだけではない。この“志向”という言葉が前提としていること、つまり「未来の目標のために現在を手段にする」という姿勢そのものから、ケアはかけ離れているからだ。 むしろケアは「現在志向」だと思う。今を少しでも楽にする。痛いことはしない。この場にある不快をとにかく除去する。そこに居られる「現在」をつくる。 将来のために現在を犠牲にしたりしないのだから、言葉のイメージは別にして、ケアに対して「刹那的」という表現を当てるのは正解だと思う。もちろん現在の状態を楽にすることで、結果的によいことがやってくるかもしれないが、それは副産物である。やってくるかもしれないし、やってこないかもしれない。それはどうでもいい」p.4
編集それ自体とケアの関係性という表題の問題についてはそれほど納得に至らなかったが、ケアをひらくシリーズの編集者としての功績や繋がりを得た人々についての語りを通して、筆者自身の個人的な部分が見え、学ぶところもあり好感を持てた。
人間とは関係であり、場である。これは倫理観とも呼べるものであり、あらゆることに通じると思う。一気に通読できるテンポのよさもある。
自己啓発書的な紹介文だけど、障がいのある方や精神疾患のある方など、様々な病気を持つ人のケアと、ケアを扱う本の作り方についての本だった。 日頃読まない分野の本で、ちょっと思ったのと違うか?と一瞬思ったが、もう一回読み直したいほど興味深い話がたくさんあった。 「それ自身には改変を加えず、その人の持って生...続きを読むまれた〈傾き〉のままで生きられるように、背景(言葉、人間関係、環境)を変えること」というのは、病気以外の様々なケアにも応用が効きそうだ。 治療としての対話を、「手段ではなく目的として楽しむ」というのも含蓄がある。 作中で紹介されていた、ALSという難病を発症した実母を介護した娘の記録という『逝かない身体』は、ちょっとの引用だけで泣きそうになった。 植物人間となった母に、「植物としてその人を慈しめばいいじゃないか」というのは、経験者でなくては辿り着けないような結論。絶対に読みたい。
ケアをひらくシリーズを編集された方の著書。このシリーズがいかに産まれたかを述べられる舞台裏を見る楽しさ満載の書である。本書はそれぞれのケアをテーマにした作品を、編集作業でケアをしていく、ケアの重層的な内容で語られている。新書であっという間に読めるが、行間にもケアが溢れており、繰り返し読むことで味が更...続きを読むに出ると思われる。
「ケアをひらく」シリーズは好きで、何冊も読んでいて、その編集をしていた方が著者で、読んだ本がどのようにできてきたのか、各本の著者が個性的なのも伝わってきました。 マジョリティからではなく当事者から見た世界観、つまりモノサシを変えれば、今まで見えていた世界がガラリと変化するのは、ケアをひらくシリー...続きを読むズの特徴で、読む度に目から鱗がポロポロおちるのですが、そうしたモノサシの転換が困難なケアの世界を生き抜くヒントでもあると、著者の体験から綴られていて、納得でした。 これからも、目から鱗の体験をケアをひらくシリーズから、たくさんしていきたいです。
「ケア」と「編集」には類似性がある。 それを述べていく本だとのことだが… 著者の白石さんについてはまったく知らなかった。 福祉系の出版社から医学系の出版社に転職。 雑誌「精神看護」、ケアをひらく〉のシリーズを立ち上げた、とある。 〈ケアをひらく〉といえば、東畑開人『居るのはつらいよ』、国分功一郎『...続きを読む中動態の世界』、伊藤亜紗『どもる体』…。 えっ?この本にも、この本にも関わってるの?と、何度も驚いた。 カリスマ編集者じゃないか。 しかし、文体は軽く、読みやすい。 医学とケアは方向性が違う。 原因を取り除き、将来の治癒、改善のために現在に(時に苦痛を与えて)介入するのが医療。 一方、ケアは現在志向。 患者が今を乗り切ることに注力する。 医学系出版社で、看護(医療領域だけど、ケアを担う)や、介護の本を企画するという特異な立ち位置にいる人は、こういう違いに敏感になれるのだろう。 「編集的思考」は、たとえば図と地のずらし(編集はこういうことをしばしばする。松岡正剛さんの編集術でもこれにふれていた)によって、ある問題に別の角度から光をあてる。 本書でもこのような見方の転換により、ある心の病に苦しむ人に対し、病巣を取り除くことより、その病があなたを成り立たせているのだから、あなたと環境の組み合わせを変えればいい、と考えることになる。 筆者にこういう気づきを与えたのは、統合失調症の人たちの作業所、浦川べてるの家の実践にあるということだった。 驚きの思考方法。 一瞬、それは問題を弥縫しているのではないか、と思うのは、やはり自分が一般人でありながらいつのまにか「医療的編集」に取り込まれているからなのだろう、か。 が、老化のように、原則として治ることが期待できない症状には、この考え方は必要だと理解できる。 もうひとつ、新たな視点を与えてくれたところがあった。 依存の話だ。 本書でも出てくる熊谷信一郎さんが「自立とは依存先を増やすこと」と書いているのを、以前どこかで読んだことがある。 本書では、その話を延長して、「依存症は依存が足りない」という。 つまり、依存できる先が一つしかないのが依存症だというのだ。 しかし、これを「弱さを克服する」物語に当てはめていくのではなく、視点を変えて弱いことを肯定すると、周りを巻き込む力を見つけ出していけたりする。 現場を知らず、本を通してしか知らない自分にとっては、実感を持った理解がどこまでできているか心もとないが、視点の転換が世界を変えることの可能性を信じてみたい気持ちになる。
「ケアをひらく」シリーズ編集者白石正明さんの新書。そこまで多く読んでいる訳ではないが大好きなシリーズで、語りたくなったり、人がどう語るのかを知りたくなる書籍も多いので他の方の書評やレビューなどを読むのも楽しいのですが、著者でもなく、読者でもない、編集者という特殊な立場から語られる「ケアをひらく」はま...続きを読むた新鮮でとても面白かった。ケアと編集という本書の主題自体よりも紹介される本が「ケアをひらく」のものもそれ以外のものも、どんどん読みたくなる読書でした。特に前々から気になっていた「弱いロボット」の読みたさがググッと増して楽しみになりました。
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