新井満のレビュー一覧

  • 木を植えた男を訪ねて ふたりで行く南仏プロヴァンスの旅
    名絵本「木を植えた男」の原作者、ジャン・ジオノの故郷を旅したエッセイ。
    二人が旅先でいろいろなものに触れていくにつれ、『木を植えた男』にどんどん生命が吹き込まれていくように感じました。
    こんな旅、いいな。
  • 尋ね人の時間
    月子という名の女の子が出てくる。
    以前から、こういうタイプの登場人物(それが男でも大人でも)に強く惹かれる方。
    肌になじむというか、どこかすーっと自分の中に溶けていくような感じ、かな。

    小説を無理やり太陽と月に分けるとするなら、まさに月の部に入る小説だと思う。
    淡々とした語り口で暗いわけではないけ...続きを読む
  • 尋ね人の時間
    作品集らしい
    「水母」と「尋ね人の時間」の二つ。
    「水母」は30ページの短編でもう一つの後に書かれた作品で、それのプロローグみたいなもん。現代小説らしい作品だなーって。
  • 尋ね人の時間
    存じ上げなかったが、「千の風になって」の作詞もした作曲家で、写真を撮ったりとマルチに活躍する人の小説。

    中堅写真家の神島は、男性的不能となり、妻と別れてから評価の高い作品を作り活躍している。たまに会う、ボーイッシュな実娘月子や駆け出しのモデルの圭子など、様々な人達と絡む人間模様を描いた、連作短編...続きを読む
  • 尋ね人の時間
    インポテンツがマッチョイズムの喪失に根差すものであるとして
    マッチョ否定が戦後民主主義の目指す理想であるとするならば
    勃起回復の願望は、マッチョイズム回帰の願望でもあるわけだが
    それはもちろん戦後民主主義への憎悪をともなうもので
    同時に、それを押し付けてきた女性(母親)たちへの憎悪をも
    含むことにな...続きを読む
  • 尋ね人の時間
    1988年上半期芥川賞受賞作。それぞれの場面は鮮明でありながら、統体としては夢の連鎖であるかのような印象を受ける。月子のイメージなどはことにそうだ。また、それはあえてそのように書いているのだが、登場人物同志の関係性も極めて儚く、主人公は敢えて孤独を選ぶ。ただ、主人公の神島をあえて性的不能に設定するの...続きを読む
  • ハイジ紀行 ふたりで行く『アルプスの少女ハイジ』の旅
    内容(「BOOK」データベースより)
    さあ出かけよう!のんびりぜいたくな夫婦ふたり旅。ヒルツェルからチューリヒ、そしてマイエンフェルトへ。「アルプスの少女ハイジ」の故郷をたずね、作者シュピーリの生涯をたどる感動の夢紀行。後年、いのちの歌「千の風になって」を作ることになる作家夫妻の旅はここから。スイス...続きを読む
  • 尋ね人の時間
    誰がつくったのか知らないけどそれは神様からの試練だという人もいるかもしれないけど。その世代にはその世代がちゃんと受け入れていかなきゃいけないものがあるってこと。問題をクリアする知性とか経験とか相当タフになってきたはずなのに。なかなか越えさせてくれない。自分はどこへいってしまったのか。ちょっと読むのは...続きを読む