新井満のレビュー一覧

  • 木を植えた男を訪ねて ふたりで行く南仏プロヴァンスの旅

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    名絵本「木を植えた男」の原作者、ジャン・ジオノの故郷を旅したエッセイ。
    二人が旅先でいろいろなものに触れていくにつれ、『木を植えた男』にどんどん生命が吹き込まれていくように感じました。
    こんな旅、いいな。

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    2012年04月30日
  • 尋ね人の時間

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    月子という名の女の子が出てくる。
    以前から、こういうタイプの登場人物(それが男でも大人でも)に強く惹かれる方。
    肌になじむというか、どこかすーっと自分の中に溶けていくような感じ、かな。

    小説を無理やり太陽と月に分けるとするなら、まさに月の部に入る小説だと思う。
    淡々とした語り口で暗いわけではないけれど、神島も月子もその他の人々もどこか寂しげ。
    心のなかの空虚な部分を覗いているようなそんな気がした。

    神島や山田の写真、見てみたくなった。

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    2013年09月19日
  • 尋ね人の時間

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    作品集らしい
    「水母」と「尋ね人の時間」の二つ。
    「水母」は30ページの短編でもう一つの後に書かれた作品で、それのプロローグみたいなもん。現代小説らしい作品だなーって。

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    2011年05月21日
  • 尋ね人の時間

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    存じ上げなかったが、「千の風になって」の作詞もした作曲家で、写真を撮ったりとマルチに活躍する人の小説。

    中堅写真家の神島は、男性的不能となり、妻と別れてから評価の高い作品を作り活躍している。たまに会う、ボーイッシュな実娘月子や駆け出しのモデルの圭子など、様々な人達と絡む人間模様を描いた、連作短編集。

    冒頭の作品が、話途中な感じで突然終わって、ああ、純文学だったのかとはじめて気づいた。そこまで探偵小説か何かと勘違いしていた。その後の作品も、無理に落ちをつけようとせずにふわっと終わるが、比喩をこねくり回して無理やりゲージツ的に描こうというところは、触手が伸びていく部分を除いてほとんど無いため

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    2019年12月18日
  • 尋ね人の時間

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    インポテンツがマッチョイズムの喪失に根差すものであるとして
    マッチョ否定が戦後民主主義の目指す理想であるとするならば
    勃起回復の願望は、マッチョイズム回帰の願望でもあるわけだが
    それはもちろん戦後民主主義への憎悪をともなうもので
    同時に、それを押し付けてきた女性(母親)たちへの憎悪をも
    含むことになる
    しかし憎悪は、愛との二律背反として、互いを抑圧しあうことになろう
    結果、インポテンツは解消されぬまま
    或る象徴的な現象が表出されることになるのだった

    「尋ね人の時間」は88年の芥川賞で
    ノル森と同時期の作品なんだが手や口を使う描写は無しだ
    作者の新井満はのちに
    老いと死をテーマにした歌唱作品を

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    2016年04月18日
  • 尋ね人の時間

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    1988年上半期芥川賞受賞作。それぞれの場面は鮮明でありながら、統体としては夢の連鎖であるかのような印象を受ける。月子のイメージなどはことにそうだ。また、それはあえてそのように書いているのだが、登場人物同志の関係性も極めて儚く、主人公は敢えて孤独を選ぶ。ただ、主人公の神島をあえて性的不能に設定するのは、そうした構図と、物語の構想が顕わ過ぎて感心しない。なお、選考委員の吉行淳之介も指摘しているが、神島のもとを去っていった妻のカオルが新たに選んだ男は、「文学」の対極にあるようで、たしかに笑ってしまいそうだ。

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    2013年11月23日
  • ハイジ紀行 ふたりで行く『アルプスの少女ハイジ』の旅

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    内容(「BOOK」データベースより)
    さあ出かけよう!のんびりぜいたくな夫婦ふたり旅。ヒルツェルからチューリヒ、そしてマイエンフェルトへ。「アルプスの少女ハイジ」の故郷をたずね、作者シュピーリの生涯をたどる感動の夢紀行。後年、いのちの歌「千の風になって」を作ることになる作家夫妻の旅はここから。スイス旅行必携のガイド。

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    2009年10月04日
  • 尋ね人の時間

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    誰がつくったのか知らないけどそれは神様からの試練だという人もいるかもしれないけど。その世代にはその世代がちゃんと受け入れていかなきゃいけないものがあるってこと。問題をクリアする知性とか経験とか相当タフになってきたはずなのに。なかなか越えさせてくれない。自分はどこへいってしまったのか。ちょっと読むのはやすぎたかも。

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    2011年09月15日