庄司薫のレビュー一覧
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ネタバレ再読。
薫クンシリーズとしては2番目に出たらしいのですが、
時間的にはゴールデンウィークまっただ中のお話なので3番目。
(『白鳥の歌なんか聞こえない』が3月のお話)
シリーズの他の作品ではつねに余裕綽々であり、
憧れるべき人生のセンパイとして描かれる
薫くんより1世代上のお兄さんとその仲間、
さらにその1世代上の先輩達が、「男が人生の夢にやぶれる」
ということがどういうことなのかを見せてくれるお話です。
薫くんはそれをいつもの透明な目で見つめ、あわてふためき、
傷つき、怒り、おびえるんですが、それでも、
いつか自分もその負け戦しか待っていないんじゃないかという
「悲壮な戦場」へ出ていくと -
Posted by ブクログ
定番青春小説と呼ばれるので読んでみた。面白かった。ストーリーは、東大入試中止になった年に高校三年生だった主人公が今年は大学を受けないことを決意し、そういう決断をした自分について考えながら、ガールフレンドや友達やおばさんとかいろんな人に会って、悩んですっきりする話。まず、あの女医のシーンがエロイ。軽く起き上がってしまった。そして感受性の強い18歳というものの描き方が巧いと思う。最後の一連のシーンだけど、どうでもいいことを無理やり自分にとって重要な出来事に変えてしまう、この青さはなかなか書けない。30年くらい前の本だけど、今読める度が非常に高い。
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Posted by ブクログ
庄司薫、青臭くて面倒臭くて好きだ。青春論なんだけど、何も若さの特権とか、逆に若気の至りを説いているわけじゃない。庄司薫は生涯ずっと青二才かもしれないし、むしろ読者としてはそうあってほしい。人間として大切な純粋さや誠実さは、年齢に関係なくいかに獲得してきたか、いかに失ってきたか、それによって決まるものだと。オイラは後悔しない代わりにあまり反省をしないけど、自己否定のきっかけとして時々は反省しようと思った。
それにしても70年代に書かれたものにもかかわらず、いま読んでもまったく違和感がないことに驚いた。「大きな大人」は2019年でも増加中だ。情報洪水と言っていたけど、いまは自分からそこに飛び込んで -
Posted by ブクログ
薫君4部作に引き続き、庄司薫を読む。
この本は小説ではなく、エッセイだ。1971年の刊行なので、かなり古い本だけれども、僕は庄司薫は小説だけしか読んでいないので、この本は初読。
饒舌な文体で書かれているところは小説と同じなのだけれども、内容は読み取るのにかなり骨が折れる。巻末に素晴らしい解説(萩原延壽と御厨貴の2人)がついていて、この本の読み取り方の素晴らしいサンプルを示してくれてはいるが。
内容の読み取りが浅いことは承知の上で(内容ばかりでなく、論の進め方もまわりくどいという印象がある)、この本の好き嫌いを言えば、あまり好きではない。
解説からの孫引きになってしまうけれども、このエッセイに -
Posted by ブクログ
死について見つめだした10~20代の男女の群像劇。
あれこれ理屈をこねまわす主人公に最初はいらいらしながら読んでたけど、個人的にあれこれ頭で考えてしまう部分もあるのであまり主人公のことを悪くは言えない。というか確かに高校卒業したての頃の色々考えてしまう脳みそっていう感じ。若い。
主人公の友達や幼馴染みの女の子もあれこれ考えていて、なんだか友達の話を聞いているような気分で読めます。
これまで「純粋=すぐ行動にうつす」だと思っていたけれど、「純粋=あれこれ考えてしまって動けない」という部分もあるなあと思い返しました。
前作の「赤頭巾ちゃん気をつけて」では主人公の内面の苛立ちに焦点が